
昨今の物価高は国民生活に大きな打撃を与えている。なかでもコメ価格の高騰は深刻な問題であると言える。埼玉県はあまり知られていないが、意外にも米どころだ。特に川島(かわじま)町は稲作が盛んな地域であり、江戸時代は天領地として幕府へコメが届けられていた。有名なブランド米であるコシヒカリだけでなく、彩のきずなと呼ばれるコメが栽培されている。その川島町の町制50周年を記念して令和3年に開催されたのがCAR FESTIVAL IN KAWAJIMA。今回で5回目となることでもわかるよう、非常に人気を博するイベントだ。

川島町が主催して日本旧軽車会が協力するイベントで、川島町長の藤間隆さんがクルマ好きということもあって町を上げての盛り上がりを見せる。事実、今回のエントリーは実に350台にもなり、日本旧軽車会へ事前の問い合わせ数も過去最高だったそうだ。この日は別にも旧車イベントが各地で開催されたが、それらの中で最大規模となったことだろう。

会場は川島町役場の敷地内で、ここには町立図書館やコミュニティセンター、武道館や体育館が隣接している。そのため展示スペースが非常に大きく、エントリー台数が350台になっても無理なく並べることができる。この日は隣接する野球場を解放して見学者駐車場としていたため、来場者の数も非常に多かった。これまで取材した旧車イベントの中でも屈指の来場者数といえるレベルだったこともお伝えしたい。

会場には色とりどりの旧車が並んでいたが、なかでも多かったのが軽自動車とネオクラシックカー。開催に協力している日本旧軽車会会長の吉崎 勝さんも明確に80年代や90年代のネオクラシックカーに注力していて、昨今のネオクラ人気を後押ししている。そのためだろうか、来場者を観察していると通常の旧車イベントより若い層が多かった印象だ。従来の旧車イベントだと60代以上の層が圧倒的に多いのだが、このイベントでは40代や50代が中心層と思われ、さらに若い20代30代の姿も結構見られた。こうして旧車ファンの新陳代謝が促進されるのは、文化として残すためにも有効だろう。

ネオクラに力を入れていることが関係しているのかもしれないが、従来のイベントのように日産車、特にスカイラインばかりが並ぶことはなく各メーカーのモデルがバランス良く展示されたことも特徴だろう。確かに台数で言えば日産車が多いのだが、負けないくらいトヨタ車も多くスバル車やいすゞ車、さらにはスズキやダイハツなどの軽自動車も展示されたため来場者は飽きることなく見学できただろう。

もちろん輸入車も展示されたのだが、今回はアメリカ車とフォルクスワーゲンが多かった印象だ。また商用車も意外なほど展示されていて、中には前1輪後2輪のオート3輪が何台もあったことには驚かされた。それらがネオクラと同じ会場で見られるのだから、来場者に人気なことも頷ける。さすがにオート3輪は無理だろうが、ネオクラだと運転自体が容易なこともあり、昨今では女性オーナーの参加も増えているそうだ。

旧車オーナーは雨の日を避ける傾向がある。この日の天気予報は曇りで降水確率も高かったが、エントリーしたほとんどの車両が参加していたようだ。だが残念なことに午前中から小雨が降ったり止んだりの天気模様。お昼を過ぎると雨が降り続けるようになり、予定していた時間より早めの解散となった。こうした臨機応変さも大切な配慮だろう。おそらく来年以降も継続して開催されることと思われるので、秋のイベント見学の候補として推薦したいと思えた。ここからは当時の模様を写真でお伝えしよう。















