V8を捨てても速さは進化。次期RS6が目指す新たな頂点

アウディが開発を進める次期RS6の最新プロトタイプが目撃され、その全貌が少しずつ見えてきた。これまでRS6といえば、大排気量V8ツインターボを搭載するハイパフォーマンスワゴンの代名詞だった。次期型では長年親しまれてきたV8を廃止し、V6プラグインハイブリッドへ移行するとの情報が有力視されている。ダウンサイジングという大胆な決断を下しながらも、ライバルBMW「M5」を上回る性能を狙っているというから驚きだ。

アウディ RS6 アバント 新型プロトタイプ スパイショット

今回、オーストリア・アルプスで撮影された開発車両は、従来以上に張り出したフェンダーや巨大な20本スポークホイールを装着し、ひと目でRSモデルとわかる迫力あるスタイルを披露した。さらにフロントフェンダー後方には新たなエアアウトレットを備えており、高出力ハイブリッド化によって増える熱を効率よく排出するための装備とみられる。

アウディ RS6 アバント 新型プロトタイプ スパイショット

一方で最も注目されているのが、ボディ各部に貼られた黄色い高電圧警告ラベルです。これはハイブリッドシステムを搭載していることを示しており、RS6がいよいよ電動化へ踏み出すことを裏付けている。

当初はベントレー・コンチネンタルGTスピードが採用する4.0L V8ツインターボPHEVを流用するとの見方もあった。しかし最近では、その可能性は低くなり、新開発のV6ツインターボハイブリッドが採用されるとの情報が浮上している。

V8を失うと聞けば物足りなさを感じるファンも少なくないだろう。しかし、性能面では後退どころか進化する可能性がある。現時点で伝えられている情報では、システム最高出力は約750psに達すると予想されており、現行BMW M5の727PSをわずかに上回るスペックになるとも噂されている。クワトロとの組み合わせによって、これまで以上に圧倒的な加速性能を実現することになりそうだ。

近年の欧州メーカーは、排出ガス規制への対応だけでなく、高出力化と電動化を両立するため、ハイパフォーマンスモデルにもハイブリッド化を積極的に取り入れている。BMW M5もV8プラグインハイブリッドへ移行しており、メルセデスAMGも電動化を進めている。その流れを考えれば、RS6だけが従来型V8を維持する可能性は高くない。

もっとも、アウディは単純に環境性能を優先したわけではなく、「最速ワゴン」の称号を守るために電動化を選んだと見るべきだ。車重は増加するとみられるが、モーターアシストによるレスポンス向上や四輪駆動との協調制御によって、サーキット性能はさらに引き上げられる可能性がある。

実際、5月にはニュルブルクリンクでテスト中のプロトタイプがコースアウトしてバリアへ衝突する場面も目撃されている。しかし、これは限界性能を探る開発過程ならではの出来事であり、市販モデルの完成度を判断する材料にはならない。むしろ、アウディが徹底的に走り込みを重ねていることを示すエピソードと言えるだろう。

次期RS6は2027年春のワールドプレミアが有力視されており、今回は従来のアバントに加え、ファストバックセダンも設定される見込みだ。価格はBMW M5と同等になると予想されている。

V8サウンドを愛するファンにとっては寂しさも残る世代交代となりそうだが、もし750ps級のV6ハイブリッドが実現すれば、その実力は歴代最強のRS6になる可能性がある。次期RS6は、「V8かV6か」という議論ではなく、「電動時代の最強スポーツワゴン」を巡る新たな戦いの幕開けを告げる一台となりそうだ。