
ニュルブルクリンクで捉えられた最新プロトタイプには、これまでとは異なる2種類の仕様が確認されている。なかでも大型リヤウイングを装着した車両は、サーキット性能を徹底的に高めたハードコアモデルの存在を予感させるものだった。

このことから、GR GTは標準モデルに加え、より走りに特化した高性能仕様が設定される可能性が浮上している。
現在、GR GTは2027年の市販化に向けて開発が進められており、同車をベースとしたレーシングカー「GR GT3」もFIA世界耐久選手権(WEC)への参戦が予定されている。今回確認されたプロトタイプは、その両者をつなぐ“公道走行可能なハードコアモデル”の存在を示唆しているのかもしれない。
標準仕様とは異なる空力パッケージを装着
今回スクープされたハードコア仕様は、標準仕様と比べて空力性能を大幅に高めたとみられる装備が数多く確認されている。
フロントには大型スプリッターやカナード、フェンダーにはエアアウトレットを装着。リアには高い位置に固定されたスワンネックタイプの大型リアウイングを備え、一目でサーキット志向と分かるスタイルとなっている。
一方、同時に確認されたもう1台のプロトタイプは、フロントスプリッターやリヤスポイラーが控えめで、フェンダーベントも装備されていなかった。こちらは高速巡航性能や日常域での扱いやすさも考慮した標準仕様に近いモデルと考えられる。
こうした違いを見る限り、トヨタは用途の異なる複数の仕様を並行して開発している可能性が高そうだ。
また、ニュルブルクリンクでは、ポルシェ911 GT3 RSのようなハードコアスポーツを意識したとみられるテストも行なわれており、GR GTがサーキット性能を重視したロードカーとして仕上げられていることをうかがわせる。
GT3レーシングカーとは異なる存在
とはいえ、今回のプロトタイプはGR GT3そのものではない。
GR GT3はサイド出しエキゾーストやポリカーボネート製ウインドウ、専用ボディ、レーシングタイヤなどを採用した純粋な競技車両だが、今回確認された車両はナンバープレートを装着した公道仕様である。
レーシングカーで培った技術を積極的に取り入れながらも、公道での使用を前提とした高性能ロードカーという位置付けになるとみられている。
近年はポルシェ911 GT3 RSやメルセデスAMG GT Black Seriesのように、レースカーに迫る性能を備えたロードカーへの需要が高まっている。GR GTにも同様のキャラクターを持つモデルが加わる可能性は十分考えられるだろう。
新開発V8ハイブリッド搭載が有力
パワートレーンについては、入手した情報によると、新開発の4.0L V8ツインターボエンジンをベースとしたハイブリッドシステムの採用が有力視されている。
現段階で入手している情報では、システム最高出力は650〜700ps級を目標に開発が進められているようだ。0-100km/h加速は3秒前後、最高速度は320km/h級を視野に入れているとの見方もある。
さらに、軽量なアルミスペースフレームやカーボンファイバー製ボディパネル、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキ、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2など、本格的なサーキット走行を見据えた装備が組み合わされる可能性がある。
ハードコア仕様が設定されるのであれば、専用セッティングのサスペンションやさらなる軽量化、空力性能の強化によって、標準仕様との差別化が図られることになりそうだ。
トヨタの新たなフラッグシップスポーツへ
GR GTは、トヨタが長年培ってきたモータースポーツ活動の成果を注ぎ込む、新世代フラッグシップスポーツとして開発が進められている。
今回ニュルブルクリンクで確認された2台のプロトタイプを見る限り、そのキャラクターはひとつではないのかもしれない。快適性やロングツーリング性能も重視した標準仕様と、サーキット性能を徹底的に追求したハードコア仕様――。
そんなふたつの個性が用意されるのであれば、GR GTは幅広いスポーツカーファンの期待に応えるだけでなく、トヨタスポーツの新たな頂点として存在感をさらに高める一台になる可能性がある。正式デビューに向け、今後の開発動向からますます目が離せない。
















