三菱「ミラージュ」がSUVとして復活する?
鍵を握るのはルノー・日産アライアンス

三菱自動車のコンパクトカー「ミラージュ」が、SUVへと姿を変えて復活する可能性が海外で浮上している。その名も「ミラージュ・クロス」だ。
現時点で三菱から正式な発表があったわけではない。しかし、近年の三菱がルノー・日産とのアライアンスを活用してラインナップを拡充していることを考えると、意外に現実味のあるモデルといえそうだ。

三菱 ミラージュ・クロス 予想CG

ミラージュは1978年に初代が登場。日本では一度販売を終了した後、2012年に世界戦略車として復活した。タイ生産のコンパクトカーとして日本にも導入されたが、国内では2023年に販売を終了している。

三菱 ミラージュ(2023年)

一方、世界の新車市場ではコンパクトなクロスオーバーSUVの人気が拡大している。三菱もSUVを主力とするブランドへと変化しており、アウトランダーPHEVやエクリプス クロス、エクスフォースなどを展開。今後さらにラインナップを広げるなら、その下に位置するエントリーSUVはひとつの空白地帯である。

三菱 ミラージュクロス 予想CG

そこで注目したいのが、ルノー・日産との関係だ。現在の三菱は、地域によってアライアンス各社の車両を活用する戦略を積極的に採用している。
欧州向けASXはルノー「キャプチャー」、コルトは「クリオ」をベースとし、新型グランディスもルノー車をベースとするなど、開発コストを抑えながら商品を増やす手法が定着しつつある。

三菱 ASX(2024年)
三菱 コルト(2023年)
三菱 グランディス(2025年)

ならば、さらに小さなSUVでも同じ戦略を採用する可能性はある。その候補として興味深いのが、ルノーがインドなどで展開する「カイガー」だ。

ルノー カイガー

全長4mを切るコンパクトなクロスオーバーSUVで、日産「マグナイト」と同じCMF-A+系アーキテクチャーを使用する。都市部で扱いやすいサイズと低価格を武器とするモデルだけに、三菱版が設定されればブランドのエントリーSUVとして成立しやすい。

日産 マグナイト

「ミラージュ・クロス」を大予想

そんな可能性を具体的な姿にしたのが、今回制作された「ミラージュ・クロス」の予想CGである。
提携するデジタルアーティストのTheottleが手掛けたもので、カイガーをベースに三菱らしいデザインへ変更。フロントには三菱のSUVを意識した力強い表情を与え、コンパクトなボディながらクロスオーバーらしい存在感を強調している。

もちろん、このCGそのものは三菱の開発情報に基づくものではなく、クリエイターによる提案である。ただ、ベース車の選択には説得力がある。

三菱 ミラージュ・クロス 予想CG

カイガーやマグナイト級の車両を活用すれば、新規プラットフォームをゼロから開発する必要がなく、価格を抑えた小型SUVを比較的短期間で商品化できる。アライアンスの資産を利用してラインナップを補完する現在の三菱にとって、十分にあり得る手法だ。

さらに「ミラージュ」という車名との相性も悪くない。歴代ミラージュは、三菱のラインナップにおける比較的手頃なエントリーモデルとして長く使われてきた。セダンやハッチバックの需要が縮小する一方、SUV人気が続く現在、その役割を小型クロスオーバーへ移すという考え方は自然である。

三菱 ミラージュ・クロス 予想CG

実際に登場するなら、注目したいのがパワートレインだ。
カイガー/マグナイト系の車体を活用するなら、1.0L級ガソリンエンジンを搭載する低価格仕様が基本線となりそうだ。一方、三菱はエクスフォースHEVに、1.6L MIVECエンジンと最高出力85kW(約116ps)のモーターを組み合わせた独自のHEVシステムを投入している。

今後このシステムの展開が広がれば、ミラージュ・クロスにもHEVを設定し、ガソリン車との2本立てとする可能性もある。

とくに「ミラージュ」の復活を印象づけるなら、単なる低価格SUVではなく、電動化された新世代エントリーモデルとする意味は小さくない。ボディサイズや価格を考えればPHEVよりHEVの方が現実的で、三菱がASEANで進める電動化戦略とも整合する。

三菱 ミラージュクロス 予想CG

では、日本での復活はあるのか。
ここは慎重に見る必要がある。カイガーやマグナイトは新興国市場を強く意識したモデルであり、そのまま日本へ導入できるとは限らない。安全・環境基準への対応に加え、日本では軽自動車やコンパクトSUVとの競争も激しいためだ。

それでも三菱には現在、かつてのミラージュが担った小型乗用車のポジションに空白がある。アライアンスを利用した低コストのコンパクトSUVを投入するなら、「ミラージュ・クロス」という選択肢は十分に魅力的である。ルノー・日産との車両共有を拡大しながら、ASEANではHEVの展開も加速させる三菱。日本から姿を消した「ミラージュ」の名前が、今度は電動化も視野に入れた小型SUVとして復活するのか。その動向が注目される。