ランドクルーザー250とかなり近いボディサイズ

先代の4代目発売から約20年ぶり(生産終了から約6年ぶり)に復活を果たした三菱自動車の新型「パジェロ(タイ仕様、豪華仕様)」が9月2日にワールドプレミアされた。パジェロといえば、「ダカールラリー」で12回の総合優勝を果たすなど、陸の王者として君臨してきた。SUVブームの中でもクロカン人気は根強く、2026年12月17日の日本発売に向けて注目度は高まるばかりだ。

ワールドプレミアには、タイとフィリピン、インドネシア、オーストラリア各国の大使も招かれていて、外国メディアも大勢訪れていた。世界戦略車としての期待値が高いのがうかがえる。
新型パジェロのボディサイズは、全長4920×全幅1925×全高1910mmで、サイズ的にはトヨタ「ランドクルーザー250」の全長4925×全幅1925×全高1925mmと非常に近くなっている。
もしかして「パジェロイオ」や「パジェロミニ」も復活する?

ワールドプレミア後の記者会見で岸浦恵介社長兼CEOは、2026年度内で1万台の販売台数目標について、新型パジェロが販売される、約100の国や地域の中でも日本市場で最も売れて欲しいという観測を語っていた。少なくても日本では、これくらいのボディサイズが比較的取り回ししやすいに収まっているといえるだろう。

先代のロングボディは、全長4900×全幅1845×全高1870mmで、先代デビューから全幅と全高は、ふたまわり程度以上大きくなっている。

なお、新型パジェロ・シリーズには、岸浦恵介社長兼CEOが宣言したように、コンパクトSUV、スモールSUVも控えている。ということは、かつての「パジェロ(ラダー/ビルトイン)」、「パジェロイオ(C〜Bセグメント級)」、軽自動車の「パジェロミニ」の系譜を復活させる狙いがあるのだろう(車名も明らかにされなかった)。プラットフォームやコンパクトSUVがBセグメント級なのかCセグメント級なのか、スモールが軽なのかAセグメント級なのかも現時点でははっきりしないものの、ルノー・日産・三菱アライアンスのプラットフォームを活用すれば、技術的には十分に可能だろう。
ラダーフレームだがフレームなどを強化

プラットフォームは、「トライトン」由来の新世代ラダーフレームを使うが、超高張力鋼板の使用比率拡大をはじめ、クロスメンバーの追加と剛性アップなどフレームを強化している。サスペンション取り付け部の局所補強、キャビンマウント(ボディ取付け部)の最適化などを盛り込み、ピックアップトラックであるトライトンから大幅に乗り心地やハンドリングなどの質感アップを図っているという。
三菱重工と共同開発したVGターボを搭載

エンジンは、「4N16」型の2.4Lクリーンディーゼルターボを搭載する。三菱重工(MHIET)と共同開発されたというワイドレンジのシングルVG(可変容量ターボ)ターボで、低速域のトルク増強に寄与している。最高出力は150kW、最大トルクは480Nm。

なお、一部仕様では470Nmとなっているが、詳細は明らかにされなかった。組み合わされるスポーツモード付8速ATは、ワイドギャード化とローギアード発進をはじめ、高速巡航時の静粛性と燃費向上、変速ショックの抑制などが図られているほか、VGターボとの緻密な連携やロックアップ領域の拡大などのほか、「SS4-Ⅱ」と「S-AWC」との協調制御も盛り込まれている。
ダンパーは旧SHOWA製

記者会見では、大きなクルマにはそれにふさわしいエンジンが必要として、環境性能を確保しつつ、同ディーゼルエンジンを搭載したという。電動化については触れられなかったが、クルマの大きさに合った最適なパワートレーンが必要という見解も披露された。ただし、市場環境やユーザーニーズなどに応じてガソリン車やハイブリッド、PHEVの追加については、適切な時期に説明するとして含みを持たせていた。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リヤが5リンク式リジッドコイルで、悪路走破性はもちろんのこと、3列目のシートは配置や居住性、ラゲッジの広さなども重視したためだという。乗り心地への影響についても配慮しているそうだが、ダンパーは従来のKYB製から日立Astemo(旧SHOWA)製に変わり、開発陣によると極低速域(初期減衰)からの乗り心地向上に寄与しているという。
気になる居住性、積載性は?

さて、新型パジェロはシート配列は「2-3-2」の7人乗りで、サードシートはフラットに床下に格納できる。3列目を起こした状態だと荷室奥行きはあまりないものの、床下収納も確保している。1列目と2列目はシートサイズも大きく、前方見晴らし性も良好だ。

2列目は、前後に150mmスライドする。3列目は床下収納できることからも分かるように、座面も背もたれもやや平板で厚みもそれなりではあるものの、身長170cmの筆者であれば短時間、エマージェンシーとしては十分に機能する印象。頭上空間の余裕はそれなりだが、2列目座面下につま先も入るため、姿勢の自由度も確保している。ただし、後方に行くほど床面が高くなるため、3列目の乗降性はそれなりにタイトだ。

テールゲートは、横開き式からオーソドックスな上開き式になり、横開き式時代にあった背面タイヤも当然ながら廃止されている。ワールドプレミア後の記者会見では、上開き式にすることで広い後方スペースを確保する必要がなくなり、アウトドアなどで屋根代わりに使える利点などの説明もあった。もちろん、軽量化や衝突安全性の向上(後突)、後方視界の確保、空力性能や静粛性への影響も配慮されたのだろう。

なお、パジェロといえばダカールラリーが思い浮かぶが、岸浦恵介社長は、いつかは明言できないが、参戦できるように企業体力、技術、そして出て勝負ができるクルマに仕上げて、ぜひ参戦できるようになりたいと語っていた。まずは「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」への参戦を目指す、という開発陣からのコメントもあった。

新型パジェロの予約受付開始は2026年10月1日で、予約注文は10月29日まで(価格発表も29日)、12月17日の発売予定となっている。価格に関しても当然ながら現時点では未公表。「S-AWC」など装備やハイクオリティな内装などからしてもライバルのランドクルーザー250寄りも装備や質感の面でも“盛っている方向”であり、ランクル250と同等以上、あるいは600万円〜700万円程度になる可能性もありそうだ。
