連載

あのころ、あのとき、あのカタログ 青春型録!

語り合うのはこの2人!

津田洋介:80’sスクーターを中心に往時のバイク文化にあまねく精通する「TDF」代表。
宮崎正行:CB750Fにずっと乗っています。グラトラを格安で手に入れました。気負いのまったくない原付みたいな250です。

ド級に軽薄イメージだけど中身は意外に骨太だった?

▲ヘンテコリンな形、メットオン、背筋がピーン! が「このバイクの特徴!」と言い切る、ズークのユルさと所ジョージさんのキャラがジャストフィット。メットオンの発想も素晴らしく、ズークらしい引き算がそこにある。

宮崎:ズーク。発売当時、やたらとインパクトありました。

津田:所ジョージさんのテレビCMはかなり鮮烈だったね。「ヘンテコリンが、気持ちいい!」って。実車の華奢さを見て二度びっくり。

編集部(以下、編):所さんって、キャラにブレがないなあ。変にカッコつけたりせずに、軽さを全うしている。

宮崎:そんな所さんをCMキャラクターに起用したセンスはさすが。個性的すぎるズークのキャラクターをしっかり受けとめていますもんね。

津田:なんで「ズーク」って車名だか、その謂れを知ってる?

一同:知りません。

津田:その説明の前に、ホンダが発売当時に発行したリリースから抜粋します。

一同:おっと。

▲バイクのカタログは「この新技術、すごいだろ!」が基本トーンだけど、このズークはまったく違った。「装備なんてそこそこでいいんじゃない?」という力のヌケ切ったアプローチで新しいビークルの形を提案する。

津田:「このズークは、昨年の東京モーターショーに『MS50』として参考出品し、若者を中心に注目を集めたモデルで、高付加価値化の進むスクーターに飽き足りない都会派ヤング向けのトレンディなニューモデルとして二輪車の原点に立ち帰り、『乗って楽しく』『見て楽しく』を徹底追求した新しいスタイルの原付タウンビークルである」

宮崎:死語がモリモリですね!

編:一文が長すぎる。悪文。

津田:「都会派ヤング」「トレンディ」あたりがムズムズするな(笑)

宮崎:二輪車の原点に立ち帰り……は、マジでそうかも! 車体構成は思いっきりシンプルだし。

津田:短い距離をいかに手軽に移動するか──に真剣にアプローチしている。実車を目の当たりにすると、なんだか笑っちゃうけどね。

宮崎:で、名前の由来は?

津田:おっと、そうだった。バイクの「ズック(スニーカー)」だからズーク。あとは「〜ずく」= 〜の傾向が生じる、からヒントを得たホンダの造語という話も。結果、そのフォルムはびっくりするくらいシンプル。他のスクーターではあれだけ〝足し算〟でいろんな装備が加えられていった時代背景を考えると、めちゃくちゃ引き算なのがズークなんだ。

▲搭載される2サイクルエンジンは3.3㎰を発揮し、乾燥重量はたったの41㎏。カラーは緑、青、赤、白、灰、茶と6種もあった。キック始動のみで、車両価格は8万9000円。

宮崎:もともとのイメージソースはスケートボードらしいですね。

津田:シートハイトは2段階で簡単に調整できるんだ。800㎜と770㎜でね。

編:小ぶりなシートは体重100㎏超のオレには不向きかも。

津田:それはシートが可哀想。

宮崎:きょうび、これほど肩の力の抜けたバイクなんて売ってませんよ。

津田:うんうん。抜け切っていて、さらに来世へと解脱している。

編:ホンダの「とりあえず出してみるか!」のパワーは、令和の今こそ各メーカーに見習ってほしいッス。

宮崎:めちゃくちゃ変わったルックスなんだけど、狙っているコンセプトは意外と直球なんだよね。自転車みたいに普段使いしてほしい! って。言い訳がなくて、清々しい。

津田:おいおい、なんだかズークが気高く思えてきたぞ(笑)

編:ズークを評価するんだったら、チョイノリだってもっともっとリスペクトしてほしい!

一同:さすがスズキ党(笑)

編:いえ、クロスカブも持ってます。

▲個性派ズークはオプションパーツも個性的。車体をスニーカーに見立てた「スニーカーレプリカ」なるプロテクター、1900円也。ステップマット(2500円)も靴底柄なのだ。

津田:ズークって、乗ってると子供に指差されて笑われるんだよなー。背筋もホントにピーンと伸びるし。でもタクト系の2ストだから、4ストOHVのチョイノリよりもずっと速い。時速50㎞/hはすぐに出る。

編:ちなみに同年1990年には、3ローターのユーノス・コスモやホンダNSXが発売されている。

宮崎:ホンダも余力あったなあ。

津田:そんなこんなで鳴り物入りだったズークだけど、たった1年ほどで生産終了してしまったみたい。

編:そりゃまた短命な……。

宮崎:ホンダの決断、早ッ! マルコのアソコ並み!

編:そのマル秘情報はどこから入手したのかな?

宮崎:「俺サマは例外なく早い!」っていつもジマンしてんじゃん。

津田:アホなの?(笑) まあそれも生き様みたいなもんか……。

宮崎:そうそう。いまどき笑ってもらってナンボ!

編:もはやネタでしかないけどね(笑)。えー、ちなみにズークに純正装着されていた懐かしの「足跡パターンタイヤ」なんですが、なんとズーク発売から30年以上が経った今でもIRCで新品が手に入ります。

一同:それはスゲー!


【モトチャンプ編集部】

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