日本の狭い道路環境にもフィットするコンパクトEV「インスター」

ヒョンデのBEVラインアップで最もコンパクトなのがインスターだ。全長3830mm×全幅1610mmというボディサイズは、日本の市街地や狭い駐車場でも扱いやすい。最小回転半径も5.3mに収まり、まさに日常使いを意識したサイズである。

現在はCasual、Voyage L、Voyage、Lounge、Crossを設定し、一充電走行距離は393~477km。最長477kmを実現するVoyage系なら、コンパクトEVながら日常用途だけでなく、ある程度の長距離移動にも対応できる。
走り出してまず感じられるのは、EVらしい静かで滑らかな加速と軽快さだ。日本向けにチューニングされた足まわりと高いボディ剛性によって、荒れた路面を含めて乗り心地にはしっかり感がある。回生ブレーキの強さを段階的に選択でき、完全停止まで行なえるのも市街地では便利だ。
一方、高速道路ではロードノイズがやや気になり、ACCの再加速もやや穏やか。とはいえ、混雑した街中での扱いやすさという点は、インスターならではの明確な強みである。

サイズと航続距離を両立し、ちょうどいいサイズのSUV「コナ」

インスターよりひと回り大きく、SUVらしい実用性を備えるのがコナだ。全長4355mm×全幅1825mmと、日本でも比較的扱いやすいボディサイズながら、室内や荷室には十分な余裕がある。
一充電走行距離はグレードによって456~616km。特にVoyageは616kmを実現しており、日常の移動からロングドライブまでカバーできる航続性能を備える。

コナで特徴的なのは、日本市場への細かなローカライズだ。ディスプレイ表示を日本語化するだけでなく、ウインカーレバーを左側から右側へ移設。さらにECOとNORMALでは発進時の唐突さを抑え、SPORTではよりダイナミックな反応となるようドライブモードも調整されている。
街中ではアクセル操作に対する反応が自然で、滑らかな走りを見せる。一方、ワインディングで強くアクセルを踏み込むような場面では、トルクステアを感じることもあった。街乗りを中心に、航続距離や荷室、装備までバランスよくまとめたBEVという位置づけだ。

長距離性能に優れる「アイオニック5」、Nブランドの「アイオニック5 N」は650PSを発揮する

ヒョンデのBEVラインアップで大型モデルとなるのがアイオニック5だ。全長4655mm×全幅1890mmのボディに3000mmという長いホイールベースを組み合わせ、前後方向だけでなく左右方向にもゆとりのある広い室内空間を実現している。直線基調のシンプルなデザインによって、実際のボディサイズ以上にすっきりと見えるのも特徴だ。
標準モデルは84kWhのバッテリーを搭載し、RWDモデルでは一充電走行距離703kmを実現。インスターやコナに比べてボディは大きいものの、そのぶん室内のゆとりや長距離性能に優れ、日常使いからロングドライブまで幅広く対応できるBEVに仕上がっている。

一方、アイオニック5をベースに開発された別モデルが「アイオニック5 N」だ。ヒョンデでは「N」を独立したハイパフォーマンスブランドとして位置付けており、アイオニック5 Nは単なるアイオニック5の上位グレードではなく、NブランドのハイパフォーマンスEVとして展開されている。

アイオニック5 Nは、前後2基のモーターを搭載するAWDで、N Grin Boost使用時には最高出力650PSを発揮する。疑似的なエンジンサウンドと8速DCTを模した変速感覚を組み合わせる「N e-Shift」により、アクセル操作に合わせてシフトアップ/ダウンを行なう感覚まで再現する。EV特有の途切れない加速とは異なる、エンジン車的な高揚感を意図的に作り込んでいる点も見逃せない特徴だ。

同じヒョンデのEVでも狙いは大きく異なる
インスター、コナ、アイオニック5は、そしてアイオニック5 Nは、単なるサイズ違いではなく、それぞれに明確な個性を持っている。インスターは日本の道路環境での扱いやすさを重視したコンパクトEV、コナは取り回しやすいSUVサイズと航続距離、実用性をバランスさせたモデル、アイオニック5は広い室内空間と長距離性能を備えたBEVだ。
そして、アイオニック5 Nは、ヒョンデ・NブランドのハイパフォーマンスEVとして、高い動力性能に加え、エンジン車のような操作感や高揚感まで追求している。
コンパクトEVからSUV、長距離移動を得意とするモデル、さらにNブランドのハイパフォーマンスEVまで揃うヒョンデのBEVラインアップ。ユーザーそれぞれのライフスタイルや使い方、クルマに求める性能に合わせて、自分に合った1台を選べる多彩なラインアップもヒョンデEVの魅力である。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.180「2027年 最新EVのすべて」の再構成です。

