550馬力のBNR32から超ワイドV36へ!
走り好きが本気で作った“魅せるGTマシン”
躍動感あふれる造形もさることながら、全幅2100mmオーバーというワイドボディの迫力で、周囲の視線を釘付けにする正体不明の1台。その正体は、CKV36スカイライン370GTタイプSをベースにワンオフカスタムを重ねて作り上げた、はたぼーさんのオンリーワンGTマシンだ。

現在、ボディプロショップ キャンベルで鈑金塗装に従事しているはたぼーさんだが、もともとは走りを楽しむチューニング派。若い頃には550ps仕様のBNR32でサーキット走行を楽しんでいた。しかし、家族を優先してファミリーカーに乗り換え、一度はクルマ遊びを封印。再び好きなクルマに乗ろうと思い立ったのは、7年前のことだった。

ところが、気になるスポーツモデルは軒並み価格が高騰。そんなときに出会ったのが、LBワークス仕様のV36だった。
「ワークスフェンダーのワイドボディは迫力満点だし、V36なら手頃な価格で300psオーバーの6速MT車が手に入る。チューニングはお金も掛かるし、これからはスタイリングを追求して楽しもうと、すぐに乗り換えました」。

こうして走りからカスタムへと舵を切ったものの、クルマ好きの根底にある進化への探求心までは変わらなかった。当初はLBワークス仕様を楽しんでいたが、次第に周囲にも同仕様のV36が増えてきた。そこでオリジナリティを求めてフェンダーのアレンジに着手し、そのバランスを整えるように周辺のセクションにも手を加えていった。

ボディカラーも黒から黄緑、そして現在のソリッドレッドへと変化。その間に施した細かなリメイクは、数え切れないほどだ。一方、足元のグノーシスCV203は、カスタムを始めた当初から変わらず愛用している。


現在のスタイルで圧倒的な存在感を放つのが、1770mmだった全幅を2100mmオーバーまで拡大したワンオフフェンダーだ。
フロントは斜め上方へ跳ね上がるフェンダーラインにダクトフィンを組み合わせ、リヤにはドアサイドから展開するインテークダクトや、フェンダー上部のルーバーフィンを配置。単純にボディをワイド化するのではなく、フロントからリヤまで流れるような疾走感を持たせているのがポイントとなる。

最新のリメイクでは、現代のGTマシンを思わせる薄いフェイスを目指してヘッドライトをカバーリング。78WORKS製のV36用ヘッドライトは、インナーもキャンディライトブルーでペイントし、精悍さを引き上げた。フロントバンパーの塗り分けや大胆なサイドフィンも、フェイスの薄さと立体感を強調するための演出となっている。

ボンネットはトップシークレット製をベースに、ダクトを追加してアレンジ。こちらもダクトの形状と深さが際立つように塗り分けを施し、レーシーなイメージを高めた。

サイドセクションにも細かなダクトワークを取り入れ、ドアまで回り込むリヤフェンダーによって前後の造形をつなげている。さらに、クォーターウインドウにもルーバーパネルを追加するなど、ボディ全体でひとつの流れを作り上げている。
足元については、GTスタイルの完成度が高まったことで、タイヤのサイドウォールまで魅せる18インチ化も検討したという。しかし、最終的にはキャンバーを強く付けずに20インチを履かせる現在のスタイルを選択。巨大化したボディとのバランスを整えている。

リヤセクションもフロントに負けず強烈だ。走行風の流れをイメージさせる大型ディフューザーをリヤバンパーに組み込み、ワイドボディに合わせたスワンネック式GTウイングにはサポートロッドを追加。リヤウインドウにもルーバーパネルを配置し、全身に散りばめられたダクトやフィンとの統一感を持たせている。

これだけレーシングカー然としたルックスながら、意外にもエンジンチューニングは行っていない。足まわりは車高調によるローダウンで、エンジンもノーマルのまま。手が入っているのはエキマニから先の排気系で、ワンオフ製作された114.3φの左右ダブル出しマフラーから、レーシーなV6サウンドを響かせる。

インテリアも、ウインドウ越しでは外から目立たないという理由からフルノーマルを維持。徹底して外装に労力を集中させているのだ。
しかも、これほど低くワイドなスタイルながら、足まわりはエアサスではなく車高調仕様。フェンダーやエアロの造形によって低く見せているため、見た目から想像するほど日常での不便はなく、普段使いでも行き先を特に制限されないという。

そして、このV36をここまで進化させられた背景には、はたぼーさん自身が鈑金塗装のプロであることも大きい。休日には勤務先の設備と自身の技術を活かし、できるだけお金を掛けずに愛車のリメイクに取り組んできた。
「3.7L V6と6速MTで走りは十分楽しめますし、職場が鈑金塗装を手がけるボディショップなので、休日を利用してお金を極力使わないカスタムに取り組んでいます。先日、大幅にリメイクした際にオールペンしたんですが、ソリッドの赤を選んだのも、スポーティさだけでなく、塗料代の節約や修復のしやすさまで考えてのこと(笑)」。

これで完成かと思いきや、本人にはまだ気になる部分が残っている。
「今後はV36らしさが残っているテールレンズ周りにも手を入れて、正体不明な雰囲気をさらに高めていきたいですね」
GTカーやチューニングカーから受けた刺激をそのままコピーするのではなく、ダクトやフィン、ワイドフェンダー、塗り分けといった要素を巧みに組み合わせ、自分だけのスタイルへと昇華させる。黒、黄緑、赤と姿を変えながら進化してきたV36だけに、この正体不明のGTマシンが次にどんな姿へと変貌するのか、今後も楽しみだ。
PHOTO:伊勢馬場建次(Kenji ISEBABA)/REPORT:村田純也(Junya MURATA)
●取材協力:ボディプロショップ キャンベル 大阪府寝屋川市点野5-29-4 TEL:072-865-1558
【関連リンク】
ボディプロショップ キャンベル
https://www.canbell.net

