より大きなボディと電動化技術を組み合わせたスポーツクーペに
マツダのスポーツカーに、久々の大物が加わる可能性が浮上している。かつて2ドアスペシャリティクーペとして販売された「MX-6」を思わせる、新たな車名が動き始めた。

マツダは2026年8月、日本で「MAZDA MX-6e」と「MAZDA MX-7e」を商標出願した。さらに「MX-6e」は欧州でも8月26日、米国でも9月2日付で出願されている。米国では自動車やその構成部品などを含む第12類で申請され、現在も出願手続き中だ。つまり「MX-6e」という名称は日本だけではなく、複数の主要市場で押さえられようとしている。

もちろん、商標出願だけで新型車の市販化が決まったわけではない。将来の商品展開に備えてメーカーが名称を確保するケースもある。それでも「MX-6」という名前は、マツダファンにとって気になるものだ。
日本でMX-6が登場したのは1992年。クロノスをベースとした2ドアのスペシャリティカーで、低くワイドなボディに流麗なクーペスタイルを組み合わせていた。2.0Lと2.5LのV型6気筒DOHCエンジンを設定し、2.5L仕様は最高出力200psを発揮。電子制御式の車速感応型4WSを採用するなど、当時のマツダらしい意欲的なモデルだった。日本では1996年まで販売されており、MX-6の名が新型車に使われれば約30年ぶりの復活となる。
では、新たに商標出願された「MX-6e」とは何なのか。
まず目につくのが、車名末尾の「e」である。これが電動化を示すのであれば、往年のMX-6をそのまま復刻するのではなく、電動化時代に合わせて名前を再利用する可能性が考えられる。ただし現時点では、BEVなのか、PHEVなのか、あるいは別の電動パワートレーンなのかを示す公式情報はない。
ボディタイプについても同様だ。商標だけからスポーツカーと断定することはできない。ただ、もし往年のMX-6が持っていたキャラクターを受け継ぐのであれば、現在の「MX-5」、つまり日本名「ロードスター」よりも大きな2ドアクーペとして復活するシナリオは興味深い。

そこで参考になるのが、マツダが2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開したコンセプトカー「MAZDA ICONIC SP」である。
ICONIC SPは全長4180mm、全幅1850mm、全高1150mmという低くワイドなプロポーションを持つコンパクトスポーツカーだ。パワートレーンには2ローターのRotary-EVシステムを想定。ロータリーエンジンを発電用ジェネレーターとして用い、普段はモーターとバッテリーで走行する構成で、システム最高出力は370psとされる。
もちろん、MX-6eとICONIC SPを直接結びつける情報は現時点で存在しない。ただ、ICONIC SPはマツダが電動化時代にもスポーツカーを存続させようとしていることを示す重要なモデルであり、MX-6eの正体を考えるうえでひとつの材料にはなる。
そこでスクープ班では、MX-6eが2ドアスポーツクーペとして登場した場合の姿を予想CGとして制作した。

エクステリアはICONIC SP以降のマツダデザインを発展させ、低く構えたロングノーズと、ルーフからリアへ滑らかにつながるファストバックスタイルを採用。フロントには極薄のLEDライトと大型エアインテークを組み合わせ、ロードスターとは明確に異なるワイド&ローのプロポーションとした。
一方、仮にMX-6eが登場したとしても、ロードスターを置き換えるモデルになる可能性は低そうだ。
マツダは2026年にもロードスターの商品改良を実施しており、「純ガソリンスポーツカーとしての価値を将来にわたり維持する」と明言している。最新の車外騒音規制に対応しながら、走りの魅力を継続して磨いていく姿勢を鮮明にしている。
そう考えれば、ロードスターとMX-6eが別々の役割を担う展開もあり得る。ロードスターは軽量・コンパクトな純ガソリンスポーツ、MX-6eはより大きなボディと電動化技術を組み合わせたスポーツクーペ、という棲み分けである。
さらに日本では「MAZDA MX-7e」も同時に商標出願されている。こちらも車名や市販化について公式発表はなく、MX-6eとの関係も不明だ。少なくともマツダが将来の商品展開に備え、複数の「MX+数字+e」という名称を確保し始めたことは確認できる。
現時点では、MX-6eの市販化も、スポーツカーになることも、ICONIC SPとの関係も決まったわけではない。それでも「MX-6e」という具体的な名称が日本、米国、欧州で相次いで出願されたのは興味深い動きだ。
1996年に日本市場から姿を消したMX-6。その名前が約30年を経て、電動化時代のスポーツクーペとして再び使われることになるのか。まずは「MX-6e」の商標が、実際の商品へつながるかに注目したい。



