トヨタ GR86/スバル BRZ


現在販売されているスポーツカーの筆頭に挙がるのは、トヨタ GR86とスバル BRZだ。両車はスロットル特性やサスペンションセッティング、内外装の細部が異なる程度でほぼ同じクルマであり、GR86がより安価かつスポーティな性格で、BRZの方が価格がやや高くグランドツーリングに適した味付けに仕上げられている。
全長4265mm×全幅1775mm×全高1310mmの扱いやすいサイズのボディに、2.4L水平対向4気筒自然吸気エンジンの適度なパワーとFR駆動方式を組み合わせることで、日常的な走行からサーキット走行まで幅広いシーンでドライビングを楽しめる点がこの2台の特徴と言えるだろう。
後席は狭いものの4人乗りであり、タイヤ4本を積み込めるだけの荷室スペースが確保されているためスポーツカーとして平均的な実用性を備えている。実用性や価格を含めたスポーツカーとしての高いトータルバランスもGR86とスバル BRZの持ち味だ。
新車販売価格:293万6000円〜381万7000円
マツダ ロードスター/ロードスターRF


オープンスポーツを楽しみたいならマツダ ロードスターが最良の選択肢となるだろう。ロードスターのボディサイズは全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mm。136psの直4ガソリンエンジンを搭載した2シーターのコンパクトなFRオープンスポーツカーであり、ソフトトップモデルの車重は1t強しかない。
エンジンパワーは控えめだがマニュアルトランスミッションで動力性能を引き出しつつ、FRならではのハンドリングと軽快な動きが堪能できる数少ないクルマがロードスターだ。
動力性能に不満があるのなら、184psの2.0L直4エンジンを搭載し、10km/h以下の速度であればスイッチ操作ひとつでルーフを開閉できる電動リトラクタブルハードトップが備わったロードスターRFも選べる。
車体後方には約130Lのトランクが備わるが、車内に荷物スペースなどはほとんどなく実用性は皆無と言わざるを得ない。しかしそれを補って有り余る運転の楽しさがロードスターには備わっている。
新車販売価格:289万8500円〜430万8700円
トヨタ GRヤリス


WRC(世界ラリー選手権)の参戦車両として開発されたトヨタ GRヤリスは、スポーツカーとしての性能と実用性、価格のバランスで非常に優れている。
搭載される1.6L直3ターボエンジンの最高出力は304psで、トランスミッションは6速MT。高性能な電子制御式4WDシステム「GR-Four」が搭載され、持ち前の高出力を余すことなく路面に伝える。2025年4月の改良による大幅な性能向上に加え、新たに8速スポーツAT「GR-DAT」モデルが追加されたことも大きなトピックだ。
GRヤリスは全長3905mm×全幅1805mm×全高1455mmサイズの専用2ドアボディであり、軽量化のためにドアはアルミ製、ルーフはカーボン製となっている。運転席まわりはレーシングハーネス装着時でも操作しやすいよう配慮されており、その様はまさにラリーカーと言ってよいだろう。タイヤ4本も積み込めるだけの必要十分な荷室容量を有しており、乗車定員は4人となるが後席居住空間はGR86よりもわずかに優れる。
トヨタには同様のスペックを持ちながら、より実用的な5ドアのGRカローラも販売されているが、GRカローラは依然として注文できない状況だ。
新車販売価格:356万円〜533万円
ホンダ シビックRS


ホンダには「シビック タイプR」というハイパフォーマンスモデルが存在するが、シビックタイプRは受注停止中だ。しかしシビックRSなら納期は長いものの、新車で購入可能となっている。
動力性能やコーナリングスピードではタイプRに劣るとはいえ、搭載される1.5L直4ターボエンジンの最高出力182ps、最大トルクは240Nmと十分に高性能であり、組み合わされるトランスミッションはタイプRと同様に自動的回転合わせ機構「レブマッチシステム」付きの6速MTだ。
ボディサイズは全長4560mm×全幅1800mm×全高1415mmとやや大柄だが、5人がゆったりと乗れる室内空間が備わっており、ハッチバックドアとなる荷室も使いやすい。駆動方式はFFとなるが、専用にチューニングされたサスペンションも相まって、シビックRSのハンドリングはFFスポーツと呼ぶにふさわしいものだ。
新車販売価格:439万8900円
日産 フェアレディZ


1969年に登場した初代S30型以来、国産FRスポーツカーの中核車種として人気を博してきた日産 フェアレディZは現在7代目。2022年1月の発売から半年あまりで注文受付を停止していた現行型フェアレディZは、2025年6月11日に受注再開が報じられた。
全長4380mm×全幅1845mm×全高1315mmのボディは初代S30のスタイリングを模した典型的なロングノーズショートデッキスタイルの2シーターであり、長いボンネットの下に搭載されるのは最高出力405ps、最大トルク475Nmの3.0L V6ツインターボエンジンだ。
ダッシュボード中央に備わる伝統のアナログ3連メーターと、オーソドックスなインテリアデザインはやや古めかしさを感じさせるが、昭和から平成にかけてのスポーツカーが好きな人にとってはノスタルジーさえ感じる秀逸なデザインと言えるだろう。
価格は高いものの、大排気量自然吸気エンジンのようなフィーリングのエンジンを後輪駆動で走らせられるフェアレディZは国産スポーツカーのなかでも非常に稀有な存在だ。
新車販売価格:549万7800円〜930万2700円
