「Z9」をベースとする新型SUVや、「フロンティア・プロ」をベースとした新型SUVも輸出候補になるという噂も

日産と東風汽車は、10億人民元(約200億円)を投じて輸出に特化した新会社を設立したことを発表したばかりだが、中国で生産し、現地パートナーと共同開発した手頃な価格のEVを他市場で販売することは、この困難な時期における日産の力になる可能性がありそうだ。

日産は依然として財政難に直面しているものの、競争力のある電気自動車を提供できることを示してきた。中国市場向けに開発された中型電気セダンのN7はその好例と言えるだろう。手頃な価格で洗練された外観を持ち、販売も好調であるため、日産は現在、中国以外の市場への輸出も計画している。まず、N7セダンは東南アジア、中東、そしておそらく欧州にも輸出される予定で、日本は確定していないが、今後の有力候補とみていいだろう。
中国市場において、2025年上半期(1~6月)の新車販売で、トヨタは6.8%増の84万7700台と好調だが、日産は17.6%減の27万546台と明暗を分けている。しかし、N7を筆頭に逆襲が見られるかもしれない。
6月下旬、日産の現地合弁パートナーである東風汽車集団と日産(中国)投資有限公司は、自動車輸出に特化した新会社を設立することで合意した。同社の登録資本金は10億元で、そのうち60%は日産、残りは東風汽車からの出資だ。
日産自身はまだ輸出市場を公表していないが、中国のオンラインニュースサイトXhbyの報道によると、日産は来年から中国製のN7を他の電気自動車モデルとともに東南アジアや中東を含む様々な地域に出荷する予定だということだ。中国製EVの世界的な需要の高まりを踏まえ、日産は関心が強い欧州やオーストラリア、日本でもN7の発売を検討する可能性がありそうだ。
他のモデル名は公式に発表されていないが、プラグインハイブリッドのパワートレインを搭載したピックアップトラック「Z9」をベースとする新型SUVや、「上海モーターショー2025」にて、ピックアップトラック「フロンティア・プロ」をベースとした新型SUVも輸出候補になるという噂もある。
N7に話が戻るが、現在のN7をそのまま海外に輸出するだけでは済まないだろう。日産は中国の人工知能(AI)に依存しているため、一部のソフトウェアを改良する必要があるのだ。この課題に対処するため、日産は国際市場向けに新たなソフトウェアパッケージを開発し、現地開発会社であるIAT Automobile Technologyに投資して実現させる予定だ。このハードルをクリアすれば、日本市場への導入も見えてくるだろう。
日産N7は東風eπ007をベースとしており、この車をベースにすることで、ゼロから車両を開発する場合に要する数百万ドルを削減した。
窮地に追い込まれている日産だが、コスト削減の絶え間ぬ努力と、新型モデル投入など攻める方針があれば、明るい未来が見えてくるはずだ。







