NV200でタウンエースを凌駕する居住空間を実現|タコス NV HOP

様々なジャンルのキャンピングカーを、普遍的なセンスで造り続けているビルダー「TACOS」。タウンエースをベースにした“HANA”シリーズは同社のヒットモデルで、登場から何年も経つのに未だに人気が衰えることがない。

さらに同社はバンコン、キャブコン、トレーラーと造るカテゴリーが多様なのも特徴だ。それぞれで培ったノウハウを、カテゴリーを越えて自社製品に反映しているのである。

そんなTACOSが、コンパクトクラスのバンコンにニューモデルを投入した。それが「NV HOP」だ。同社はNV200ベースの「NV JACK」というハイルーフモデルをすでにラインナップしているが、今回登場したモデルはベース車のスタイリングをノーマルのままに活かしている。

日産NV200をベースとしたバンコンのNV HOP。
ボディサイズは全長4430mm×全幅1700mm×全高1855mm。

NV200と言えば、同じマーケットのタウンエースよりも車内空間が小さい。だがNV HOPは、ある“メカ”によってタウンエースを凌駕する居住空間を実現した。それはこのクラスでは珍しい、運転席&助手席回転機構だ。

国産キャンピングカーは一般的に、運転席&助手席とそれ以降の空間に連動性がない。いわば、運転席&助手席は駐車中にはデッドスペースになってしまうのである。せいぜい、物置になるくらいだ。このもったいない空間を、シート回転機構によって居住空間に転用したわけである。

運転席&助手席を回転させることで対面スタイルを実現。

さらにこの機構は、NV HOPのダイネットを多用なレイアウトにすることを可能にした。運転席&助手席とセカンドシートの組み合わせによるダイネットが使えるにようになったことで、後部空間をミニベッドや荷室として同時活用できるようになったのである。

もちろん、従来のように運転席&助手席を前に向けたまま使うこともできる。この状態での空間レイアウトの多用さもTACOSならではと言えるだろう。セカンドシートを中心としたコの字形の座席配置を変えることで、シチュエーションに合った使い方ができる。

さて、改めてインテリアを見てみよう。車内な濃淡2種類のウッド調パネルを中心に、ノーマルのグレー内装で構成。家具は同じくホワイトウッド調のものが備え付けとなっている。

テーブルは、昨今のアウトドアシーンでトレンドのスチールを使い、車内にワンポイントの彩りを添える。照明はダウンライトが主体となり、夜間の居住空間に柔らかさを与えてくれる。

雰囲気のあるアイアンテーブル。
ウッド調のルーフにダウンライトを装備。

装備はシンプルだが、必要なものは標準化。ギャレーや集中電源、80Aサブバッテリー(ディープサイクル)の他、カーテン代わりのシェードが装備される。またリアゲートに、ブラインド付きの2重アクリル窓がオプションで付けられるのがいい。

昨今はパーキングクーラーを装備するのがスタンダードとなっているが、クーラーを使うほどではないが、ちょっと風を入れたいという時に便利な装備だ。これがあるとリアゲートを開放することがないので、防犯的にも安心だ。またファンがなくても、車内でサーキュレーターを回しておけば、ここから湿気を出すこともできる。

コンパクトなシンクも設置されている。
開閉式のリヤアクリルウインドウ。
シェードも備わる。

断熱性能面でも優れている。床には断熱材に加えて、厚みのあるパネルが張られている。天井や壁の断熱の重要だが、バンコンでは床の断熱が重要になるのだ。特に夏場、エンジンの排熱がフロアを伝って後部に回り、駐車中の車内を高温にしてしまうのだ。このような状況になると、パーキングクーラーの利きが悪くなってエネルギー効率的にも悪い。

床には厚みのあるパネルが貼られている。

一見すると原点回帰的なバンコンだが、細部を見ると実に丁寧に造られたモデルだ。なにより、NV200が持つ動力性能とスタイリッシュさは魅力と言える。

ハイエースの生産が限定的なことから、コンパクトクラスに注目が集まっているバンコン市場。491.7万円〜というプライスも含めて、またまた魅力的で夢が広がるモデルが登場した。

タコス NV HOP(VX)

■車両本体価格:469万7000円/展示車価格:491万7000円
■ベース車両:日産NV200バネット
■乗車定員/就寝定員:5人/大2人+小2人
■主要装備:サブバッテリー(鉛 80A)/走行充電/100V充電器/100Vパワーインレット/日産セキュリティ/電圧計・USB12Vコンセント/LED照明/シンク/対面対座シート/6連集中スイッチ/上下2段ベッド/10L給排水タンク
■展示車のオプション装備:リヤアクリルウインドウ 22万円