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「響き渡る8連スロットルの快音！」往年のE36型M3にアメリカンV8を搭載して世界に挑む

2025.11.04 13:00

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ブリスターフェンダーにアメリカンV8スワップ、エンジンルームまで美しさ全開。群馬の若きビルダー「ムーンテック田口氏」が、自分のE36 M3を魔改造。SEMAショーを席巻するために生み出された“夢の一台”がここにある。

ムーンテック田口氏が愛車を大幅リメイク！

E30M3オマージュのブリスターフェンダーもポイント！

群馬県伊勢崎市にある『MOONTECH（ムーンテック）』の代表、田口日央（たぐちひかる）さん。独立起業する前からアメリカに足繁く通い、海外流カスタムシーンのトレンドをいち早くキャッチし続けてきた若き匠だ。

その時の経験を糧に25歳でムーンテックを立ち上げると、色気や華やかさを重視したアメリカ仕込みのクルマ作りを猛烈な勢いで開始。そのセンスの良さとフットワークの軽さが評価され、今や日米を股に掛けたスタンス系カスタムシーンで押しも押されもせぬ存在へと成長している。

そんな田口さんにとって人生の大きな目標のひとつだったのが、自分のクルマをSEMAショーに出展すること。その夢が叶ったのが、昨年2024年のことだ。

トーヨータイヤが開設する展示スペース『トーヨー・トレッドパス』からの招待を受け、自身のE36型M3を大きくリメイク。クルマのベースも北米仕様の並行輸入車だったということで、30歳を迎える節目に愛車とともにアメリカへの凱旋を果たした。

「実はその1年前にもオファーはいただいていたんですけど、子どもが産まれて超忙しかったこともあってお断りしたんです。翌年に30歳を迎えるタイミングでキリよく出すのもいいなと思って、せっかくならやれるだけやり切ろうと決めました」。

その言葉の通り、M3は外装や内装はもちろん、エンジンルームの隅々に至るまで日本の職人技が盛り込まれ、日米両方の良さを知るムーンテックならではの仕上がりを生み出した。

まず、鉄板からワンオフで製作されたワイドフェンダーは、E36のひとつ前のモデルであるE30型のM3がモチーフ。「もしもE36のM3も当時E30 M3のイメージを継承したブリスター形状のワイドボディで出てたら、こんな感じ？」という想像を具現化した。

さらに、カーボン製のフロントリップ、リヤウイング、ディフューザーもワンオフで製作し、アクセントとして加えてある。ボディカラーはBMW純正のイモラレッドでペイント。

鈑金の技術はエンジンルームにも反映され、大阪府八尾市の『ウシオオートモービル』がエンジンベイ、コアサポート、インナーフェンダーを製作。ホットロッドにも通じるメタルワークの美技は、目の肥えたSEMAのギャラリーも唸らせた。

エンジンはもともとLS1型のV8に換装済みだったが、新たに吸気ポート容量が210cc、燃焼室容積が64ccと高回転向きな仕様となっているAFR（エアフローリサーチ）社製のアルミシリンダーヘッドを装着。さらに、RHDエンジニアリングのITB（独立スロットルボディ）が、華やかなエンジンルームのアイコンとして鎮座する。電動ビレットブレーキマスターや配管もホットロッドを思わせるような仕上がりだ。各種プーリーやA/Cコンプレッサー、各種リザーバータンク、ANフィッティングなど、細かな部品の美観にもこだわり、唯一無二のエンジンルームをクリエイトしている。

インテリアはムーンテックと同じ群馬県の太田市にある『くるまの内張屋』が担当。インパネ、センターコンソール、天井内張など、隅々までグレーのウルトラスエードで張り替えられ、さらにレナウンのステアリング、BRIDEのシート、オクヤマのワンオフロールケージも統一。

デジタルダッシュはハルテックのIC-7で、ECU本体を助手席前のパネル奥、ヒューズボックスをグローブボックスに忍ばせる。センターパネルにエアサスコントローラーとSTACKの水温計をインストール。

ホイールは日本で企画・デザインを行ない、アメリカの工場で削り出す工程で生産される『Neutrale（ニュートレイル）』の鍛造ホイールを装着。このクルマのためにワンオフで作られたセンターロック仕様の逸品で、オリジナルのターボファンまでセットしてある。

サスペンションはもちろん、ムーンテックが最も得意とするエアサスを導入。3WAY調整式のショックアブソーバーとエアバッグを組み合わせたPloomのエアサスペンションを、Airliftの3Pマネージメントで制御。ショー映えする低さと同時に、サーキットでも踏める足を両立させている。

ブレーキはムーンテックオリジナルのフロント6ポット、リヤ4ポットキャリパーに、前後330φのRdd製ディスクローターを組み合わせた。

SEMAに出ることを目的にリメイクされただけに、内容的にはショーカー寄りではあるが、それでいてパワステもエアコンも付いているところがミソ。ただでさえアメリカでも注目度の高いM3をベースに、お株を奪うV8スワップと、並の日本人なら尻込みしそうなテーマだが、臆することなく突き進むのが田口さん流。「MOONTECH from Gunma Japan、ここにあり！」を全米に見せつけた。