オフロード走行から本物ラリー車の同乗走行、トークショーまでもりだくさんの1日
TOYO TIRESが「オープンカントリー」シリーズをこよなく愛する男子に向けたイベント「俺の#オプカン~さなげ場所~」を開催した。その模様をご紹介…する前に、オープンカントリーについて軽くおさらいしておこう。

SUV/クロカン四駆向けタイヤのオープンカントリーは1983年に誕生し、今年で42周年を迎えた。TOYO TIRESのブランドの中では、実は最も歴史が長い。当初は北米市場をメインとしており、日本市場に本格投入されたのは2019年と、比較的最近のこと。しかし、折からのアウトドア・ブームやSUV人気の高まりとも相まって、急速にその存在感を強めているのはご承知のとおりだ。

現在、オープンカントリーの主力ラインナップは6種類。舗装路を重視したH/TII(ハイウェイテレーン)、オン/オフ両方の使用を想定したA/TIII(オールテレーン)、本格オフロードを想定したM/T(マッドテレーン)、A/TとM/Tの中間に近い位置で見た目のゴツさが人気のR/T(ラギッドテレーン)、R/Tの快適性を向上させたR/Tトレイル、さらにレトロデザインが目を引く785を揃え、ユーザーの幅広いニーズに応えている。

オープンカントリーはモータースポーツの分野でも活躍中だ。ダカール・ラリーでは市販車部門12連覇に貢献したほか、北海道で開催される「XCRスプリントカップ」では市販スペックのタイヤで参戦して耐久性を実証。こうした実戦のフィードバックを通じて技術を磨き、その成果を市販モデルへと還元する開発体制はTOYO TIRESの強みでもある。また、オープンカントリーは性能のみならずデザイン面でも高い評価を得ている。2025年春に発売されたR/TトレイルとH/TIIが2025年度グッドデザイン賞を同時受賞したのは、その証といえるだろう。
最近は、ジムニーの登場がきっかけとなって、オープンカントリーを履いて愛車のカスタムを楽しむ女性たち=「#オプカン女子」が急増中だ。TOYO TIRESも#オプカン女子のためのイベントを定期的に開催し、その盛り上げにひと役買っている。しかし、「女子だけ盛り上がっていてズルいのでは? 俺たちのオプカン愛も負けてないぜ!」という声が男性陣=#オプカン男子たちから届くようになり、熱烈なリクエストに応える形で昨年、TOYO TIRES仙台工場(宮城県)を舞台として初のイベント「俺の#オプカン~仙台場所~」を開催した。それが大好評だったことを受けて、今年はさなげアドベンチャーフィールド(愛知県)に舞台を移し、2回目のイベント「俺の#オプカン~さなげ場所~」の開催に相成ったというわけだ。
初心者も経験者も、オプカンを履いた愛車で走るオフロードは楽しい!
さなげアドベンチャーフィールド(以下SAF)を開催場所に選んだ理由は、#オプカン男子から寄せられた「走りたい」という要望に応えるため。オープンカントリーを愛車に履いていても舗装路しか走ったことがないというユーザーは多く、タイヤメーカーとしてオフロード走行の機会をぜひ提供したい、という思いがあったそうだ。
そんな経緯もあって、この日はオフロード走行のコンテンツがたっぷり。30人以上の参加者はふたつのグループに分かれて、自らのドライブによる愛車でのコース走行と、SAFのインストラクターの運転による同乗試乗(こちらはコースがちょっとハード)を体験することができた。
ハイラックスとジムニー シエラにオープンカントリーを履かせているというノリさんは、同乗試乗を終えると「楽しかったです!」と笑顔。オフロード走行は初めてだったそうだが、予想を超えるような悪路でも不安を抱くことなく、安心して助手席に座っていられたという。「自分のジムニーでも走ってみたくなりました」と、オフロード走行の魅力に取りつかれてしまったようだ。
これがダカールラリー王者の走りだ! 三浦昂選手の同乗走行は大迫力
さなげ場所には、ゲストとしてチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)のドライバーである三浦 昂(あきら)選手も登場。オープンカントリーのアンバサダーでもある三浦選手は、ダカールラリーの市販車部門で2024年と25年を制覇。トヨタ車体の市販車部門12連覇達成に多大な貢献を果たした。

そんな三浦選手は、ダカールラリーを走破した相棒のランドクルーザー300とともに来場。抽選で選ばれた参加者に、同乗走行の機会をプレゼントした。この同乗走行が、強烈だった。ちょろちょろっと流してお茶を濁すのかと思いきや、掛け値なしの激走を披露! 取材者は、ランクルの巨体がジャンプする姿を初めて目にしました(笑)。それでも三浦選手は十分マージンを残して走っていたというのだから、やはりダカールラリーの覇者は只者ではない…!

そんな激走を助手席で体感したクボタタイチさんに感想を聞くと「もう、異次元の世界でした!」と驚きの表情。決して広いとは言えない林間路をものすごいスピードで駆け抜けていくにもかかわらず、恐怖感は皆無だったそう。「クルマを完璧にコントロールしてますね…。クルマの性能も、ドライバーの運転も、すべてが凄い…」と、普段ジムニーでトライアル競技を楽しんでおり、オフロード走行には慣れているクボタさんにとっても貴重な体験となったようだ。
ダカールラリーからタイヤ開発の裏側まで、多彩な話が飛び出したトークショー
イベントではトークショーが行われ、三浦選手もダカールラリーという極限の舞台で戦うプロドライバーの視点から、タイヤに求められる本質的な性能について言及した。ラリーで求められるのは、特定の性能が突出したタイヤではなく、あらゆる路面状況(砂丘、硬質路面など)において80点の性能を維持し、ドライバーが「絶対にコントロールできる」という自信を持てるタイヤとのこと。
また、「値段が高いタイヤが、一番いいタイヤだと思っていませんか?」と参加者に疑問を投げかける場面も。ラリー車両のランクル300が履くオープンカントリーM/Tは約3tの車両が170km/hで飛んだり跳ねたりしても安定するよう設計されているが、これで街乗りをすると、ロードノイズが大きい上に、乗り心地がゴツゴツするためまったく快適ではない。最適なタイヤ選びをするには、自身がどういうクルマの使い方をするのか、通勤/アウトドア/競技など何をして楽しみたいか、を考えることが鍵になると教えてくれた。

トークショーにはラジオDJの大抜卓人さんも登場した。FM802では朝の帯番組を担当し、さらに毎週木曜午前8時25分〜『TOYO TIRES Good To Go』のパーソナリティを務める大抜さんの愛車は、ジープ・ラングラー。以前のノーマルタイヤでは横揺れがひどく、「コーヒーを持ってたら大体こぼれる」ほどだったという。オープンカントリーR/Tに履き替えた瞬間、「すごくスムーズに走るようになった」と感動。ホワイトレターがアクセントとなってクルマの印象も一変し、クルマに詳しくない番組スタッフからも好評とのことで、「見た目が変わるとモテます(笑)」と笑いを誘っていた。

続いてトークショーに登場したのは、オートフラッグスの近藤雅之代表。オートフラッグスは三菱車のプロショップとして名高く、最近はランクルのカスタマイズにも積極的に取り組んでいる。来場者を前にして近藤代表はカスタムの重要性や注意点をプロの立場から解説していたが、驚かされたのは近藤代表のトークスキルだ。イベントでは三浦選手と一緒に参加者の愛車を見ながらのフリートークタイムも設けられていたのだが、ユーザーカーのカスタムのポイントを引き出しつつ、ときに自社の製品も巧みにアピールして場を大いに盛り上げていた。
そして、最後に登場したのが、タイヤ開発の裏側を披露してくれたTOYO TIRESの谷口二郎さんだ。今春リリースされたオープンカントリーR/Tトレイルは、A/TとR/Tの間のギャップを埋め、オフロード性能を維持しつつロードノイズをA/Tレベルまで低減するという要求から開発がスタートしたという。デザインは「頑丈な機能」をテーマに、「城壁の石積み」から着想を得て、力強くかつ静かな印象のデザインを考案。さらにシミュレーションで接地面圧や変形を解析して機能を最適化し、最終的にはアメリカのテストコースでロッククロールやグラベル走行といった実車評価を通じて性能を磨き上げたという。こうしたタイヤの知られざる開発秘話を聞くことができるのも、このイベントの醍醐味のひとつだろう。

オープンカントリーで足元を決めたユーザー車をチェック!
最後に、参加者の愛車の中から3台をピックアップしてご紹介したい。
まずは荒木さんの愛車、ランドクルーザー70をチェック。ワールドプレミアされた際にその姿にひと目惚れし、手に入れた後はご自身の手でエンブレムをブラックでラバー塗装したり、ウインカーのレンズをオレンジからクリアに交換した後にスモーク塗装したりと、さりげないけれどセンスの良いカスタムが好印象な1台だ。タイヤは「自分の中で、デザインが一番しっくり来ました」という理由でオープンカントリーR/Tをチョイスしている。
2台目は、会場内でもかなりのインパクトを放っていた凌央さんのランドクルーザープラド。友人とよく林道を走りに行くそうで、フロントバンパーはARBに交換済み。さらに最近、コイルスプリングをドビンソン製に交換したそうで、足で2インチ、ボディで2インチのリフトアップを敢行している。そしてオープンカントリーM/Tの35×12.50R17が、ただならぬ存在感を放つ。
3台目は、ゆうきさんのジムニーだ。もともと走り系のクルマが好きで、現在もND型ロードスターを所有されているが、違ったジャンルのクルマが欲しくなってジムニーを購入。ホイールにエンケイ「RPT1」を選んでいるあたりに、スポーツカー好きというゆうきさんの嗜好が表れている。こだわりなのがタイヤサイズで、185/85R16よりも外径が大きく幅広に見える195R16を履きたくて、その設定があるオープンカントリーR/Tに行き着いたそうだ。こうした“痒いところに手が届く”サイズ設定の妙も、オープンカントリーが人気を集める大きな理由でもある。
そんなわけで、#オプカン男子たちが充実した1日を過ごすことができた「俺の#オプカン~さなげ場所~」。今回のイベントを企画・担当したTOYO TIRESの藤井直樹さん(商品企画本部グローバルマーケティング部商品プロモーションチーム商品担当マネージャー)も、笑顔で帰路につく参加者を見送りながらホッとした表情だった。気になるのは3回目の開催があるのかどうか。藤井さんに聞いてみると、「個人的には今後も年1回のペースで開催したいと思っています(会社の正式決定はまだですが)」とキッパリ。これは期待して良さそうだぞ。#オプカン男子たちは、TOYO TIRESのSNSを定期的にチェックすべし!















