それぞれに異なる表情を見せるしだれ桜に感動

松田町と聞いてピンとくる人はそう多くない。でも、東名高速大井松田インターチェンジならどの辺りか見当がつくはずだ。神奈川県松田町は丹沢山地の南西部に位置する人口1万人ほどの町で、南に足柄平野が広がる。町の東西を東名高速と国道246号線が走り、南側には国道255号線が小田原へと続く。またJR御殿場線と小田急小田原線が接続するなど、昔から交通の要衝として栄えたところでもある。町の中心はJR御殿場線松田駅、小田急線新松田駅がある一帯で、西側を酒匂川が流れる。今回目指す寄地区は、約70年前に松田町と合併する以前は寄村と呼ばれていたところで、町の中心部からはかなり離れた、丹沢の山懐に抱かれた山間部にある。

松田町へのメインアクセス道である国道246号線を西へ向かってひた走る。厚木、伊勢原、秦野と市街地を走りつなぐ国道は、とにかく交通量が多い。全体に流れが悪いうえに信号で止められることも多いので、寄への入り口である県道710号線との合流まで2時間ほどを要した。

国道246号線を右折して県道710号線に入るといきなり上りのワインディングとなり、行き交う車もガクッとなくなる。しばらく走ると新東名の工事現場が現れ、谷間に建設中の橋を見ることができる。工事現場を過ぎてすぐの萱沼入口のT字路を右折し、一段と山深い道をたどっていくと萱沼の集落に着いたところに大きなしだれ桜が現れた。寄五大しだれ桜に数えられる萱沼のしだれ桜である。民家の庭先のような場所にあるのだが、その圧倒的な存在感はまるで集落の守り神のようでもある。今年は開花が早く、桜まつりもすでに終わっているので、満開を少し過ぎたかな?という状況だったが、淡いピンク色の花をタップリと咲かせた風情は、山里の春そのものだった。

県道710号線を進んでいくと新東名高速道路の工事現場を通る。ここには松田事業PR館もある
萱沼集落にある萱沼しだれ桜。見応えのある大きなしだれ桜は集落のシンボル的存在

県道710号線に戻り、寄地区の中心地へと向かう。市街に入るところで左に道を折れ、中津川を渡って虫沢の集落へとたどる。次なる目的地は虫沢のしだれ桜だ。
寄五大しだれ桜は、萱沼、虫沢、中山、宇津茂/大寺、土佐原の5本のしだれ桜を指す。なので、これら五大しだれ桜をすべて訪ねてみようと寄地区までやってきたのだ。
虫沢のしだれ桜は民家の合間の空き地のような場所にあった。やはり満開を少し過ぎた感じだったが、大きく見事なしだれ桜だった。
寄五大しだれ桜ではないのだが、中津川の土手にもしだれ桜の並木が続いていて、鮮やかなピンク色の花が迎えてくれていた。こちらはまだ満開といった様子で、レジャーシートを広げて花見を楽しんでいる人たちもいた。しだれ桜並木の目の前にある『寄七つ星ドッグラン&カフェ』で昼食休憩した。

虫沢集落にある虫沢しだれ桜。満開を過ぎてしまったが、立派なしだれ桜であることは実感できた
中津川沿いのしだれ桜並木は満開。鮮やかなピンク色の花が特徴的だ
多くの愛犬家が訪れていた『寄七つ星ドッグラン&カフェ』。桜並木の目の前という抜群のロケーション

しだれ桜並木を眺めながら中津川沿いを北上し、大寺橋のたもとにある宇津茂/大寺のしだれ桜を訪ねた。ところがこちらはもうほとんど花が散ってしまっていた。しかし手前にやや小ぶりな桜の木があり、満開だった。そんな満開の桜を背景に2人のコスプレ女子が写真を撮っていた。せっかくなので、了承を得てカブと一緒に撮影させてもらった





宇津茂/大寺しだれ桜のすぐ横にあったしだれ桜をバックに、居合わせたコスプレ女子を撮影

土佐原のしだれ桜へは山の斜面に続く急峻な道を上っていく。途中には名所にもなっている寄ロウバイ園がある。山道を上りきったところに展望台があり、寄地区を見晴らす。展望台のすぐ下に土佐原のしだれ桜はあった。民家の庭にある木で、開けた場所にあるので観光客にもっとも人気のあるしだれ桜のようだ。残念ながらこちらもかなり散ってしまっていた。しかし周囲を見ると、満開のしだれ桜が斜面のあちらこちらに咲いていた。山道を移動しながらそれらを見て回った。

足柄茶だろうか、茶畑に立つしだれ桜など特徴的な風景を生み出しているものにも出会えて、ちょっと得したような気持になった。中山のしだれ桜は県道710号線沿いにあるのだが、すでに花は散っていた。

寄展望台から寄地区を見晴らす
直下の民家の庭に咲くのが土佐原のしだれ桜。残念ながら花は散ってしまっていた
茶畑としだれ桜。山里の美しい風景のひとつだ
土佐原地区にはたくさんのしだれ桜があり、目を楽しませてくれた

寄五大しだれ桜のうち2ヶ所しか満開のしだれ桜をみることができなかったが、中津川沿いの見事なしだれ桜並木を堪能できたし、斜面に咲く名もないしだれ桜に癒されたりと、山里の春を満喫することができた。

帰路はやはり国道246号線を走ることになるのだが、往路よりも混んでいてノロノロ運転になってしまった。このままではストレスが溜まりそうだったので、遠回りになるのを覚悟で、伊勢原から県道64号線で七沢、清川村、宮ケ瀬を走りつなぐルートを選択した。結果、走行距離およそ150km、使用ガソリンは2.29Lで、燃費は64km/L。昼食代を合わせて今回のツーリングにかかった費用は、約1300円だった。