Dolby Atmosが描く“音に包まれる”世界に驚愕
パイオニアがベルサール秋葉原で開催した「2026夏 カロッツェリア新商品体験会」。会場には今夏登場する最新モデルがずらりと並び、空間オーディオ対応のディスプレイオーディオ「DMH-SF1000」や、サイバーナビ史上最高音質を掲げる「サイバーナビ LIMITED EDITION」などを装着したデモカー5台が用意された。
新製品発表会というと、どうしても機能説明やスペック紹介が中心になりがち。しかし今回のイベントで印象的だったのは、実際に“聴く”ことに重点が置かれていたことだ。カーオーディオはカタログだけでは魅力が伝わりにくい世界。だからこそ、この体験会は非常に価値のある場だったと感じた。
まず試聴したのは、業界初となるDolby Atmos(ドルビーアトモス)再生に対応したディスプレイオーディオ「DMH-SF1000」を搭載したデモカー。
正直に言えば、筆者自身はAirPods Proで空間オーディオを体験したことがあり、その魅力もなんとなく理解していた。しかし、それがクルマの車内で同じように再現できるのかについては半信半疑だった。
ところが再生が始まった瞬間、その疑問は吹き飛んだ。
フロントとリアに左右4スピーカー、そしてサブウーファーという比較的シンプルな構成にもかかわらず、音が前後左右、さらには上方向からも降り注ぐような感覚。まるで映画館の中央席に座っているかのような立体感で、車内が一気にライブ会場へと変わった感覚。
従来であれば、このレベルの音場表現を求めるなら大掛かりなシステム構築が必要というイメージがあった。しかしDMH-SF1000なら、純正スピーカーとの組み合わせでも十分に空間オーディオの魅力を味わえるという手軽さが大きな武器になりそう。
Dolby Atmosを楽しむにはiPhoneとApple Music、さらにApple CarPlay経由での再生が必要になるが、対応音源以外でも独自機能「ステレオスペーシャルサウンド」によって2ch音源を立体的に再生できる。これなら多くのユーザーが空間オーディオの世界を体験できそうだ。
サイバーナビ LIMITED EDITIONが聴かせた極上の音質
続いて試聴したのが、デリカD:5に装着されたサイバーナビ LIMITED EDITION。
開発陣は「サイバーナビ史上最高音質」と胸を張るが、その意味は再生ボタンを押した瞬間に理解できた。
今回流れたのは普段から聴き慣れている楽曲。だからこそ違いは鮮明だった。ボーカルの声は輪郭がはっきりと浮かび上がり、楽器ひとつひとつの存在感も際立つ。高音域の伸びやかさ、息遣いまで伝わってきそうなボーカル表現、そして音の余韻の美しさ。思わず聴き入ってしまった。
オーディオの世界は専門用語が多く、「何がすごいのか分かりにくい」と感じる人も少なくない。しかし、このモデルは違う。知識がなくても「気持ちいい音だ」と直感的に感じられるレベルなのだ。
日清紡MUSESブランドの高音質オペアンプや高音質フルカスタムトロイダルコイルなど、音質向上のための専用パーツも投入されているという。正直、それぞれがどんな役割を果たしているのかを試聴だけで語ることはできない。だがひとつだけ断言できる。
サイバーナビ LIMITED EDITIONが奏でる音は、とにかく心地いい。
しかも試聴車に装着されていたスピーカーは、比較的導入しやすいパイオニアのCシリーズとサブウーファーの組み合わせ。決して超高額なハイエンドシステムではない。それでもこれだけの音を実現していたことに驚かされた。
Dolby Atmosが生み出す新しい音楽体験。そしてサイバーナビ LIMITED EDITIONが追求した究極の音質。そのどちらも方向性は異なるが、クルマの中で音楽を楽しむ価値を改めて教えてくれた。
そして何より、「サイバーナビ史上最高音質」。
その言葉は決して大げさではなかった。






