最近、トヨタ・ヤリスを見る頻度が高まってきていて、ヤリスを見るとちょっと、ときめいてしまう自分がいるのに驚いてしまう。 やっぱりこの形ってすごいのではないかと、ゆっくり見入ってしまう。 これまでヤリスのデザインに苦手な意識があったのは、リヤフェンダー。リヤドア部分をあそこまで彫り込んでもリヤフェンダーを豊かに見せたかったのか、という部分がどうにも好みではなかったのだ。 しかし、ことあるごとに街を走っているヤリスのフォルムを眺めて見ると、その狙いがゆっくりと見えてきたように思う。そうなって見れば、あの深い掘りもまあいいのかな、と思えてきたのだ。

キャビンを小さく見せ、安定感あるフォルム


ヤリスのイメージスケッチ。キャビンを小さく、タイヤを外に。小さくても安定感のある上質なカタチを狙う。

ヤリスについて、もう一度デザインの狙いを振りかえってみると、イメージスケッチを見てみるのがいい。 もっとも主張しているのが、できるだけ4隅に張り出したタイヤと、室内をできるだけコンパクトに見せること。このキャビンを小さく見せることは、小さな車にとっては “両刃の剣” で、スタイリッシュに見せられる反面、狭そうな印象を抱かせてしまう。しかしヤリスはあえてそれを選択した。 その狙いは実車でも、重要なヤリスの大きなポイントとして表現されている。特に印象的なのが一体化されたリヤコンビランプ周りと、ぐるりと回り込んだリヤウインドウだ。これによってリヤピラーはリヤタイヤよりもかなり前に位置しているように見え、キュートさを表現している。さらに、リヤピラー下の間延びしそうな部分を、すっきりと見せると同時にリヤ周りを重く感じさせない。 そうなるとリヤタイヤ周りは貧弱に見えそうなものだが、リヤフェンダーを豊かに造形したことで、安定感がしっかりと生まれた。こうしたリヤ周りを前進させた造形はヤリスクロスでも表現されていて、ともに共通性を感じられるものとなっている。


四隅に張り出したタイヤと小さなキャビンを量産モデルに表現。リヤドアのフェンダーを強調する彫り込みが苦手だったのだが……


リヤ周りをコンパクトに見せる造形が、ヤリスらしさを印象付ける。

タイヤを端に追いやるイメージで、問題となるのはフロント周りだ。どうしても登録車ではFFユニットではフロントオーバーハングが長くなるものだが、それだけでなく衝突安全性能の確保のためにもオーバーハングの長さは必須となってくる。 そこをうまく短く見せているのが、大きなラジエターグリルだ。大きいながらも造形を左右からすぼめた形とし、さらにサイドにサブインテークを造形。これを後方に引き寄せることで、斜めや横から見たときにフロントオーバーハングが短く感じられる。 それでいて面白いのが、ヘッドライトから緩やかにサイドに伸びるキャラクターラインがもたらす印象だ。リヤドアに向かって緩やかに下がっていくことで、意外にもボンネットを長く感じさせている。 このラインはイメージスケッチでも狙われていることだが、スケッチの狙いとしてはキャビンを小さく見せるだけでなく、安定感ある造形を示している。


フロント周りの造形、特にサイドのインテークを後方へ引くことによってオーバーハングを短く見せている。先端からヘッドライト上と通り、ボディサイドにキャラクターラインが流れる。これが優雅さを表現。

ところが、実際のモデルでは、これが柔らかい面構成とのコンビによって、優雅さをも感じさせていることに気がつき、実は驚いてしまった。 そう感じて見ると、ボディカラーはトヨタのサイドなどで多く用いられているビビッドなイメージカラー、青いツートーンのブラック×シアンメタリックや、赤いツートーンのブラック×コーラルクリスタルシャインとはちょっと違ったものが、いい感じに見えてくる。

実はシックなカラーも似合うヤリス


ブラック×アバンギャルドブロンズメタリック。ボディ造形の美しさ、そしてシックさを表現。オーナーのセンスの良さを感じる。

まず自分が一番おすすめしたいのは、やはりツートーンになるだろう。ヤリスのツートーンは、「こんな取り合わせ、いいの?」 と思うほど攻めたバランスが面白い。 そのなかでも一番なのが、ブラック×アバンギャルドブロンズメタリックだ。写真で見ると目立たない感じの黒とベージュのコンビカラーだが、実はうちの近くの駐車場に止まっているのがこの色。 見かけた瞬間に「うわっ」という存在感に驚いた。このカラーリングを見たことで、ヤリスに再び関心を持ってしまったのだ。野外では写真よりさらにベージュ=ブロンズ感があり、艶ありのブラックとのバランスが実にシックだ。ヘッドライトからサイドに流れるキャラクターがより上品に見える。 こう絶賛するとすごい色なのだと思われるかもしれないが、普通にみればスルーされてしまうかもしれないほど控えめでもある。しかし、この色を選んだ人のセンスのよさを感じさせるバランスだ。


ホワイト×センシュアルレッドマイカ。やや憂いのあるフレンチポップな感じがたまらない。ただしこのカラーを乗りこなすのは、かなりの上級者かも。

そして次におすすめは、ホワイト×センシュアルレッドマイカだ。見ると圧を案じるほどのコンビだが、実は「なりたい自分」の色がこれかな、と思うので選んでしまった。フレンチポップという感じ、派手さの中にほんのりと哀愁を漂わせるような印象が素敵だ。 そしてブラック×アイスピンクメタリック。最近は男女を別にしてはいけないのかもしれないのだが…。このアイスピンクというカラーは、かなりガーリーな印象があるものなのだが、ヤリスに塗るとちょっと筋肉質に見えるのは不思議だ。 それをブラックとコンビにすることによって、フェミニンな印象に変えている。やや芯の強さを感じさせるのも小気味良い感じだ。


ブラック×アイスピンクメタリック。柔らかな色気を感じさせながらも、芯の強さを感じさせるあたりがすごい魅力。

単色の方がカタチを楽しめるのがヤリス

では単色はどうなのかということだが、本当ならば基本的にはヤリスの造形の狙いからすると、ブラックアウト部分が非常に印象的なので、単色で選ぶならばブラックアウト部分を殺さない色がいいと思う。 それとツートーンを採用することで曖昧になってしまったのが、Cピラー造形だ。サイドウインドウの下端ラインに沿って流れてくる折れが、Cピラーでぐるっと上がりサイドウインドウラインの上端に流れている。わずかなラインなのだが、ヤリス全体の印象を退屈に見せないために重要なラインだ。サイドウインドウをシャープに見せるだけでなく、これによって前方に行っているリヤ周りのバランスを、やや後ろに戻しバランスをとっているように見える。ここは、リヤのサイドウインドウ後端のキックアップの角度ともともに、かなり苦心したものと想像できるところだ。適度な伸びやかさと安定感をバランスさせていると思う。 この部分をツートーンカラーでは分断してしまったのだが、この塗り分けも本当に苦労されたのだと思う。


センシュアルレッドマイカ単色。キャビンの小ささ、デザイナーの意図する造形をしっかりと表現できるのが単色。ブラックアウト部分とのバランスを考えて見ると、このシックさが魅力。

ということで、シックさとデザインの意図を汲んだ単色カラーを選ぶと、センシュアルレッドマイカがいいのでは? と思う。 ヤリスはシックにも見えるその造形の面白さが、大きな魅力となる。それだけに、選んだカラーで様々な個性を見せてくれる。 もちろんリセールバリューの高い色というのは今でも存在するのだが、ぜひそんなこと考えずに、自分らしい色を選んでみるのはいかがだろうか?

その他のコンビカラー


ブラック×シアンメタリック。イメージカラー。エコでありながら元気で高品質な印象。


ブラック×コーラルクリスタルシャイン。こちらももう一つのイメージカラー。活動的で正義派と言えそうな、強さももつ。


ホワイト×ブラック。パトカーカラーと言うなかれ、ビターな強さとシックさ感じさせる。どんな服を合わせるか? 毎日が挑戦の1台。