例年梅雨の真っ最中に開催されながら、近年はそれほど雨が多いわけでもなかった筑波ラウンドだが、今季はまさに台風7号と8号の接近と重なり、3日とも雨が降る週末になった。
DUNLOP勢は、おなじみ広島トヨタ TEAMマッハ×DROO-PのGR86(ドライバー:石川隼也)とトレノ(ドライバー:松川和也)、そしてURAS RACINGのスカイライン(ドライバー:野村圭市)の3台が参戦。
石川車は、このラウンドに向けてエンジン制御のコンピューターをLINKに変更してきた。これでアンチラグシステムやブースト設定などの自由度がより高まる。ただドライバーにも慣れが必要なので、現状は従来の設定から大きく変えてはいない。

また、野村のスカイラインはエンジンルームの冷却系のレイアウトを変更したほか、ナックルをブラッシュアップしてハンドル切れ角も増やしてきた。

公式練習が行われた金曜日は走行前から本格的な雨が降り、完全ウエット路面でプラクティスが行われた。そのなかで、2回目のセッションで石川が出した得点がこの日のトップスコアとなった。
いっぽう松川車が、この日の練習走行後半でエンジンブロー。広島トヨタ TEAMマッハ×DROO-Pは、台風の影響で強い雨が降るなか深夜までかかってエンジン載せ替えを行った。

ウエット路面でのDUNLOPタイヤの強さは明らかだった。そして前日まで、土曜日の午前中は雨の予報だった。しかし土曜日の朝になってみると雨は上がっていた。けっきょく午前中はほとんど降雨がなく、路面はしだいに乾いていき、湿っていはいるもののドライに近いコンディションで第3戦の競技が行われた。ただ、全体の得点順位から上位16名が勝ち上がるのではなく、4つのグループごとに上位4名が勝ち上がるウエット時の方式で競技が行われた。
その状況で、前日絶好調だった石川の走りがズレた。1本目は最初の振り出しに失敗し、1コーナーでコースアウト。2本目もゾーン1とゾーン2を外して大きく減点された。石川は「路面コンディションを予想して、(滑らせやすいように)エアもけっこう張っていったんですよ。でもそれ以上にグリップして。2本目はもっとエア張ったんですけど、それでアクセルを踏んでも戻っていこうとした。どうしようもなかったですね」と話した。
また、松川は通過指定ゾーンをとりきれなかったほか、コースリミット超過等の減点もあって敗退した。
いっぽう松川と同じグループで走行した野村は、キレのある振り出しを見せて1コーナーに入り、ヘアピンの通過指定ゾーンは外したものの、グループ4位ギリギリで単走進出を果たした。

第3戦、追走トーナメントに勝ち上がった野村の対戦相手は単走優勝した蕎麦切だった。野村は後追いの1本目、あまり接近ポイントはとれなかったものの、振りの鋭さが評価につながったようでDOSS点が高く、4pts以上のリードを獲得。そして2本目、後追いとなった蕎麦切はストレートで野村に詰まってスピン。これで野村の追走初勝利が決まった。
野村は次に横井と対戦。しかし、野村のマシンはミッションにトラブルを抱えていた。1本目は後追いの横井に近いドリフトを決められて10pts近いリードをとられてしまう。2本目は野村が後追い。野村は前半で横井をとらえられず、角度をつけつつ後半にかけて寄っていったものの逆転はならず、ベスト8で敗退した。野村のラウンド順位は8位だった。

第4戦は、第3戦の翌日に同じコースで行われた。この日は朝から雨が降ったり止んだりで、単走はウエット路面で開催された。
DUNLOP勢のなかで最初に走った松川は2本とも減点が大きく、追走進出を逃した。次のグループで出走した野村はメリハリのある振りを見せて1本目からまずまずの得点を出し、2本目は1コーナーでの安定性やS字前半での角度と安定性で点をかせいで、第2ゾーンで減点は受けたものの、得点を伸ばして2日連続の追走トーナメント進出を決めた。
そして次のグループで石川が出走。1本目は1コーナーでオーバーランして得点が出せず。2本目は強烈な角度をつけて1コーナーに飛び込んだが、それがDOSSでスピン判定をとられ第2セクターが0点となって追走進出はならなかった。
石川は「1本目はいきなりの雨やったでしょ。思ったより滑るやんと思って、2本目は抑えていこうと思って、角度もぜったい戻らんような角度で入ったんですけど、0点になってしまって。金曜日も同じ感じで走って金曜日は点が入ってたんでね。『なんでなん?』って、ちょっとわからん感じです」とのことだった。



日曜日の午後はほぼ雨は降らなかったが、追走の前半は路面にまだ濡れた場所が多かった。第4戦の追走、野村は7組目で出走した。相手は目桑だ。1本目後追いの野村は1コーナー進入で目桑をとらえたが、距離感をあやまり目桑をプッシュしてしまう。姿勢が乱れた目桑はアウトに流れ、野村は目桑を抜く形になった。これで野村は減点を受け、目桑に大きくリードをゆるした。2本目先行の野村は、ゾーンを2ヵ所外しながらもめいっぱいの振りと角度をつけた走りを見せたが、逆転はならず、ベスト16敗退。ラウンド順位は15位だった。

大会後野村は、「自分の追走の苦手意識ではないんですけど、もしかしたら追いつかないかもな、目桑サンは速いよなって思ってたんですけど、けっこうこのDUNLOPのβ02が、しっかりグリップしてくれたんで、思いっきり飛び込むことができました。ちょっと角度差があったりして当たってしまったんですけど、入りかたはけっこうよかったと思います。なので、もうちょっとタイミングを合わせられれば、次は期待が持てると思います。今回路面コンディションもけっこう変わるなかで走りましたけど、タイヤはめちゃくちゃよかったです。ドライもかなりいいですけど、特に雨はバツグンですね。追走に向けて、いろいろ段取りも組みやすかったです」と話してくれた。

いっぽう広島トヨタ TEAMマッハ×DROO-Pの松岡監督は「石川の2本目は金曜日と同じ走りをしたのに第2セクターが0点になって、金曜日は点が出てたから、そんなはずはないんじゃないかって抗議に行ったら『機械は問題ありませんでした』って。そこは納得できてないけど、組み立てはオレのミスだった。石川が1本目に行く段階で、オレが迷ったんだよ。金曜日はウエットで1本も失敗していないから『1本目から行っていいぞ』っていうつもりだったのが、その前にクラッシュがあったせいで路面が変わっちゃったんだ。それで『行け』っていうのか『置きに行け』っていうのか迷って、石川にまかせちゃったんだよ。あそこでオレがちゃんと石川の心を牛耳ってあげることができたら、あの2本目の走りを1本目にできて、トップ争いができていたと思う。オレの組み立てミスです。ただ、今回のラウンドのなかでは、あの金曜日の点数が答えだと思う。一番時計が出せたし、何本でも同じことができた。DUNLOPがまちがいなくほかのタイヤより上まわっていたところは数字で証明できたと思うよ」と手応えを感じながらも悔しそうだった。
このあとD1GPは約3ヵ月のサマーブレイクに入る。次のラウンドは9月26、27日に福島県・エビスサーキットで開催。野村や松川の活躍、そして石川の初優勝に期待したい!












