レスポンスを殺さず高回転の伸びをプラス!
筑波1分切りを目指すK14Cターボチューン
ZC31S/ZC32Sに搭載されていた1.6L自然吸気エンジンに代わり、ZC33Sで新たに採用されたのが、1.4L直4ターボのK14Cだ。
環境性能や税制面を考慮したダウンサイジングターボで、先行して搭載されたエスクードがレギュラー仕様で136psを発揮したのに対し、ZC33Sではハイオク仕様とすることで140psを実現。ZC32SのM16Aを上回るパワーとトルクを獲得している。

そんなK14Cに対し、スイスポの新車コンプリート販売で4年連続日本一を達成し、CTACのクラス優勝など数々の実績を持つ大阪府のコンプリートスピードが推奨するのが、HKSのGTIII-FXを組み合わせた200ps仕様だ。
ブーストアップだけでも160〜170psが狙えることを考えると、タービン交換や補機類の最適化まで行なって最高出力200psという数字には、物足りなさを感じるかもしれない。しかし、K14Cはエンジン本体こそ250ps付近まで対応できるものの、直噴インジェクターを採用しているため燃料増量のハードルが高く、現実的には200ps付近がひとつの壁となる。

そこでコンプリートスピードでは、純正インタークーラーや触媒も200psまで対応可能であることを踏まえ、必要最小限の変更で最大限の効果を引き出せるタービンとしてGTIII-FXを推奨している。
「インタークーラーや触媒が純正でも、200psまでなら問題なく対応できます。コストパフォーマンスよくK14Cのパフォーマンスを高めるなら、GTIII-FXがイチ推しですね。まずはプラグ、ECU、タービンの3点セットから始めて、走行ステージに応じて冷却系の強化などに取り組んでいきましょう」とコンプリートスピードの山添さん。
GTIII-FXは、最新のターボ技術を投入したMHI製センターカートリッジを採用。フローティングメタルベアリングながら、ボールベアリングに迫るレスポンスを実現している。2500〜5500rpm付近が実用的なパワーバンドとなるK14Cでは、単にピークパワーを追うのではなく、レスポンスを損なわずに高回転域の伸びを引き出すことが重要だ。その点でもGTIII-FXとの相性はよく、K14Cならではの扱いやすさを生かしながら、200psのパフォーマンスを存分に楽しめる仕様に仕上げられる。


吸気系についてもさまざまなテストを重ねた結果、コンプリートスピードが高く評価したのは純正クリーナーボックスだ。純正交換タイプのスポーツフィルターや強化サクションホースを組み合わせる程度で十分だという。また、200psまでは純正の前置きインタークーラーで対応できるが、スポーツ走行まで視野に入れるなら、オイルクーラーやラジエターを含めた冷却系の強化も有効となる。

もちろん、GTIII-FXはECUがノーマルのままでも装着可能だが、その性能を引き出すにはECUチューンが欠かせない。コンプリートスピードのスーパーECUでは、燃調や点火時期、バルブタイミングの最適化に加え、スピードリミッターの解除やレブリミットの引き上げ、ブーストコントロールなどにも対応。ブーストアップ仕様とタービン交換仕様が設定されている。

一方、200psオーバーを狙うなら、出力向上の壁となる直噴インジェクターの攻略が必須だ。コンプリートスピードでは、他車種のインジェクター流用や追加インジェクターによる燃料増量をデモカーでテストしており、そのノウハウをユーザーカーにもフィードバックできるという。

燃料系の問題をクリアすれば、GTIII-FX以外のタービンも選択肢に入る。ブーストマジックのJPターボ・B250Xなら、ボルトオンで220ps付近を狙うことも可能だという。さらに250ps付近を目指すとなれば、ワンオフコンロッドの投入など、エンジン本体の強化も必要になってくる。

こうした燃料増量やタービンのテストを通じて、K14Cで200psオーバーの領域を切り拓く一方、CTACや筑波スーパーバトルといったタイムアタックの舞台で、そのポテンシャルを実際の速さへと結びつけてきたのが、コンプリートスピードのZC33Sだ。

アタックマシンだけに、内装を取り外したシングルシート仕様や触媒レス仕様となっているものの、基本コンセプトはあくまでユーザーが真似できるストリートチューンドの延長線上にある。過度な空力強化に頼ることなく、マシン全体のバランスを磨き上げているのが特徴だ。
「パーツの性能評価やパッケージングバランスの向上を目的に、速さの指標となるタイムアタックに取り組んでいます。現在は筑波1分切りにターゲットを絞り、オリジナルタービンのテストを進めています」と山添さん。
引き出したエンジンパワーをタイムにつなげるうえで、重要になるのがフットワークだという。FFだけにフロントのトラクションばかりを意識しがちだが、それではABSフリーズを招く可能性がある。そのため、リヤのストロークをしっかり確保し、4輪を接地させながら走らせることがセットアップのポイントとなる。
フルピロ化した足まわりには、オリジナル車高調のサーキットカスタムスペックを投入。スプリングレートはフロント18kg/mm、リヤ12kg/mmだ。一時はリヤをコイルオーバー化していたが、接地性を重視し、現在は純正同様のスプリングとダンパーが別体となる構造に戻している。

また、ホイールとタイヤは前後で異なるサイズを採用。フロントは9J×17インチに255/40タイヤ、リヤは7.5J×17インチに225/40タイヤを組み合わせ、トラクションと旋回性能の両立を図っている。

純正ミッションはギヤ比のつながりが絶妙で、200psオーバーのパワーにも強度面で不安はないという。ミッション本体には手を加えず、オイル交換程度で対応。クラッチはOS技研のツインプレートへと変更している。また、シートや内張りなど、脱着しやすいパーツを中心に軽量化を進め、オリジナルのFRPリヤゲートも投入。その結果、車重は873kgまで軽量化された。
現状では、タイムを突き詰めるほどフロントダウンフォースの不足を感じているという。しかし、1分切りへの切り札となるフロントウイングの投入は、あくまで最終手段。当面は18インチ化をはじめ、メカニカルグリップを高める方向でタイムを削っていく予定だ。

純正補機類を活用して効率よく200psを引き出すGTIII-FX仕様から、燃料系とタービンに踏み込んだ220ps級の仕様まで。ストリートチューンドという軸を崩すことなく、筑波でどこまで速さを追求できるのか。実戦を通じて進化を続けるコンプリートスピードのK14Cチューンから、今後も目が離せない。
●取材協力:コンプリートスピード スズキ高槻南大阪府高槻市芝生町1-16-19 TEL:072-678-9009
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