北海道から挑み続ける最速への道!

1000馬力オーバーのFC3S

北海道在住のドラッガーでありながら、セントラルサーキットで開催されるドラフェスにも足しげく通う加藤さん。その愛車「SWATT RX-7」といえば、ロータリーやドラッグレースのマニアには知られた存在だ。

FC3Sのエンジンルームに収まるのは、ブリッジポート化された3ローターの20B-REW。エンジンを後方へ移設することでトラクション性能を高め、前方に生まれたスペースには、巨大なギャレットG47タービンを横置きでレイアウトする。

さらに約2年前から燃料をメタノールへ変更。富士スピードウェイで行われた出張パワーチェックイベントでは、通常のローラー式よりも計測値が厳しいとされるメインライン製ハブダイナモを使い、1047ps&967.4Nm(約97.6kgm)を記録した。しかも、標高の高い富士スピードウェイで叩き出された数字だ。

現在のブースト圧は約2.0キロ。メタノール燃料のメリットをさらに引き出すには高いブースト圧が有効だというが、これ以上ブーストを上げると現在のG47が最大効率ポイントを超え、過回転に入ってしまう。そのため、現状はタービンをいたわった控えめなセッティングとなっている。

タービンの過回転やブースト圧の乱れを防ぐため、各ローターの排気ポートには3基のウエストゲートを配置。排気とブースト圧はフルコンのフューエルテックで監視し、炭酸ガスによってウエストゲートを瞬間的に作動させるCO2コントロールを取り入れることで、安定化を図っている。

燃料系も1000psオーバーに相応しい内容だ。エンジン上部にパラレルで配置されたフューエルデリバリーパイプには、1700cc×6本と2400cc×6本という巨大なインジェクターをセット。メタノールは理論空燃比が6.4:1と濃く、ガソリン以上に大量の燃料を供給する必要があるためだ。

サージタンクとインテークマニホールドはアメリカのGATO製で、現在は1ローターにつき3本のインジェクターを使用。スロットルは90φのワイヤー式だ。制御系には、北米のドラッグシーンでも高い支持を集めるフューエルテックを採用。フルコンにはロガーとモニターまで一体化されたFT550を使用し、点火にはFR SPARK-4 CDIを2基投入する。

そんなエンジンが叩き出すパワーを受け止める駆動系も、数々の仕様変更を経て現在の形へと辿り着いた。ミッションはリバティー製のエアシフターを備え、シフトポイントは9000rpm。デフにはフォード9インチナローを組み合わせる。不要なものを徹底的に取り除いた室内にはカーキー製アルミバケットが収まり、まさに戦闘機のコクピットを思わせる仕上がりだ。

リヤには29.5/10.5-15サイズのドラッグスリックとWELD製ドラッグホイールをセット。車両製作当初からタイヤの径、幅ともに拡大されたため、リヤフェンダーもワイド化されている。後方にはドラッグ用リヤスポイラーと減速用ドラッグシュートを備え、ゼロヨン専用機らしい迫力を放つ。

こうして作り込まれたSWATT RX-7の現在までのベストタイムは、セントラルサーキットで記録した8秒598、終速250km/h。しかし、加藤さんにとって、この数字はまだ通過点にすぎない。

目標は、まず市販ロータリーエンジン搭載車の最速。その先にはFR最速、さらに7秒台突入という目標が並んでいる。

現在のエンジン仕様に辿り着き、セッティングも安定してきたことから、当初はゼロスタートから100mまでのセットアップを中心に、1000psオーバーのパワーを路面へ伝えるためのサスペンション&シャシーセッティング、そしてドライビングを煮詰めていく予定だった。

しかし、その計画を変える出来事が起こる。タイからセントラルサーキットへ遠征してきたFD3Sの走りだ。練習走行では日本のグリップしにくい路面に苦戦していたものの、レース当日にはセットアップを変更して8秒509をマーク。加藤さんの8秒598とはわずかな差だが、驚かされたのはパワーの指標ともなる終速だった。

SWATT RX-7の250km/hに対し、タイのFD3Sは290km/hオーバー。その差は実に40km/h以上。世界のチューニングレベルを改めて思い知らされた加藤さんと、マシンのメンテナンス&アップデートを担当するファーストウェイだったが、ここで肩を落とすどころか、もう一段ギヤを上げることを決断した。

その切り札が、国内ではほとんど使用例がないというギャレットG57-2350だ。

現在のG47ではブースト圧2.0キロ付近で最大効率ポイントを超えてしまうため、さらに大きなG57-2350へ交換することで、高いブースト圧を掛けられる環境を構築。メタノール燃料のメリットもより積極的に引き出し、まずは現在から約250ps上乗せとなる1300psを狙う。

8秒598、1050psという数字でさえ、彼らにとっては完成形ではない。G57-2350を武器に1300psという新たな領域へ踏み込み、そのパワーを路面へ伝え切ることができれば、市販ロータリー最速、FR最速、そして夢の7秒台という目標も、現実味を帯びてくるはずだ。

●取材協力:ファーストウェイ 山梨県笛吹市境川町石橋1944

「まさにリアル頭文字D!」500馬力のFC3Sを愛し続ける男の33年物語

23歳のときに手に入れたFC3Sを、なんと33年間にわたって乗り続けるオーナー。その間、峠での速さと楽しさを求めて少しずつ進化を重ね、現在は1060kgの軽量ボディに約540psのロータリーを搭載。15年以上使い続けるエンジンを武器に、今なおワインディングを駆け抜けている。

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ファーストウェイ
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