MotoGP日本GPが、10月2日から4日にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催される。この日本GPに、唯一のMotoGPクラスを戦う日本人ライダーとして参戦するのが、小椋藍だ。
オランダGPの優勝は日本人ライダー22年ぶりの快挙
2026年、MotoGPクラス参戦2年目のシーズンを送っている小椋藍は、6月下旬のオランダGPで優勝を飾った。小椋自身としての初優勝でもあったが、同時に日本人ライダーがこのクラスで優勝するのは2004年日本GPの玉田誠以来となる快挙だった。この優勝はモータースポーツや二輪関連のメディアのみならず、様々なメディアで取り上げられていたので、知っている人も多いだろう。
MotoGPには3つのクラスがある。「MotoGPクラス」、「Moto2クラス」、「Moto3クラス」である。それぞれエンジンの排気量が異なり、2026年シーズン現在、MotoGPクラスは最大4気筒1000㏄、Moto2クラスは3気筒765cc、Moto3クラスは単気筒250ccとなっている。MotoGPクラスは「最高峰クラス」とも呼ばれ、若いライダーたちはMoto3クラスからしのぎを削り、MotoGPクラスへのステップアップを目指す。
そんなMotoGPクラスに参戦するライダーは、たった22名である。レーシングライダーの頂点のカテゴリーを戦う、世界最高峰の22名といっていい。もちろん、遅いライダーなど一人もおらず、天才と呼ばれるライダーも一人や二人ではない。彼らはプライベートや食生活までも、レースに捧げている。それでもそのなかで活躍するのは、ほんの一握りだ。
MotoGPクラスで優勝するのが、どれほど難しいことか。小椋がオランダGPで飾った優勝は、そういう世界で達成されたものなのである。
オランダGP決勝レースで、ゴールして優勝が決まった瞬間にガッツポーズをしていた小椋。とはいえ、後日このときの気持ちを尋ねると、「うれしかったです」と一言。あまり感情を表出させることのない小椋らしい答えだった。 オーストリアGP終了時点で、小椋は決勝レースで1勝を含む4度の表彰台を獲得している。今や、世界でも注目を集めるライダーの一人だ。
見どころは「予選順位」と「レース後半」
まもなく迎える日本GPに向けて、各セッション(走行時間)の見どころを説明しよう。
走行は金曜日からスタートする。午前中はフリープラクティス1、午後にはプラクティスという走行時間がある。金曜日からフォローするのが難しい、という方は、ぜひプラクティスの結果だけでも見てみてほしい。
もちろん、初日よくなかったからといって土曜日、日曜日もよくないと確定するわけではない。ただ、小椋は「積み上げていく」タイプのライダーなので、初日の位置は小椋の調子を窺う一つの指針になる。
そして、もう一つのポイントが、予選順位だ。小椋の強みはタイヤのマネジメントと、それによってレース後半でも他のライダーほどタイムを落とさず走ることができる、という点にある。通常、レースでは周回を重ねるにつれ、タイヤが摩耗して性能が低下していく。同時にタイムも落ちていくものだが、小椋はこのタイヤのマネジメントに長けている。優勝したオランダGPも、トップに立ったのは全26周中の20周目だった。
とはいえ、今のMotoGPクラスは、前のライダーを抜くことが容易ではない。このため、レース後半に強い小椋といえども少しでも前の位置からスタートすることが、レースで好結果につながる一つのポイントになる。少なくとも2列目、予選順位としてはQ2(予選2)で6番手までに入ることができれば、表彰台を争う可能性が高まるといっていいだろう。
土曜日のスプリントレースはもちろん、決勝レースではレース後半に注目したい。前述したように、小椋の強みはレース後半。周回数の半分を過ぎたあたりから、じわじわと順位を上げていくことが多いからだ。 ところで、日本GPの舞台は小椋にとって走り慣れたもてぎではあるが、それは全日本ロードレース選手権での経験によるものではない。小椋は14歳からシェルアドバンス・アジア・タレントカップ(現イデミツMoto4アジア・カップ)に参戦しており、全日本には一度も参戦したことがないからだ。ただ、小椋はトレーニングとして日本でかなりの量を、様々なサーキットで走り込んでいる。もてぎもそのうちの一つである。

オーストリアGPで負傷から復帰。日本GPへ
じつは小椋は、イギリスGP後に行っていたモトクロストレーニング中に左の親指を骨折し、8月27日にスペインのバルセロナで手術を受けた。この負傷により、アラゴンGPとサンマリノGPを欠場している。ただ、日本GP直前のオーストリアGPでは復帰を果たし、スプリントレースと決勝レースをともに4位という好結果で終えた。
まもなく、開催される日本GPで、ぜひ小椋の活躍に注目してほしい。MotoGPは、日テレジータスとHulu(日本語)、MotoGPの公式サイトの「ビデオパス」(英語)で見ることができる。