Q:最近、昔より判断や操作が鈍った気がします。これって老化なんでしょうか?
神奈川県/まだまだ走りたいさん
結論から言えば、年齢とともに筋力や関節の可動域、視機能などは少しずつ変化する。ただし、その変化には個人差が大きいし、経験値はむしろ上がっている。若い頃と同じ乗り方にこだわるより、今の自分に合わせてアジャストする。そのほうが長く安全にバイクを楽しめる。
新車購入ユーザーの平均年齢は56.5歳! まだまだ乗る人は多い
一般社団法人日本自動車工業会が全国の二輪車購入者を対象に行った2025年度の「二輪車市場動向調査」では、新車購入ユーザーの平均年齢は56.5歳。40代以下は21%となっている。調査対象は国内4メーカーの新車購入者などで、サンプル数は4164人。つまり、50代や60代になっても新しいバイクを買って楽しんでいる人は珍しくないということだ。
今回は、「歳を取ったらバイクは危ない」という話ではなく、昔と同じ感覚で乗れていると思い込んでいないかということ。体の変化は、ある日突然やってくるわけではない。首が少し回りにくい、足首が硬い、急ブレーキで前より踏ん張りにくい。そんな小さな違いに気づければ、無理をする前に乗り方や操作を見直せる。
急ブレーキで必要なのは握力じゃない
ブレーキ操作というと、レバーを握る力を気にしがち。でも強く減速すると体は前へ持っていかれるので、上半身を支える背筋や腹筋、下半身で踏ん張る力も必要になる。腕だけでハンドルにしがみつけば、そのぶん操作にも余計な力が入りやすい。
つまり「昔よりブレーキが怖くなった」と感じても、原因は一つとは限らない。体幹や脚力、姿勢の取り方まで含めて考えたい。筋力は加齢とともに変化するが、鍛えることでカバーできる範囲もあるし個人差も大きい。
強めのブレーキを掛けたとき、「思ったより腕に力が入った」「体が前へ持っていかれた」と感じたら、それも今の自分を知るヒントになるだろう。
足首が硬くなると、シフト操作も変わってくる
意外と使っているのが足首だ。シフトアップではつま先を上げ、シフトダウンでは踏み込み、右足ではリヤブレーキを細かく操作する。停車するときにも、足首は車体を支える動きに関わっている。
下肢の関節可動域は年齢によって変化し、足関節の背屈もそのひとつ。 昔は何も考えずシフトペダルの下につま先が入ったのに、最近ちょっと窮屈に感じる。そんな変化があれば、足首の可動域が狭くなっているかもしれない。
無理に昔と同じ操作を意識する必要はない。ペダル位置を見直す、ブーツを変えてみる、乗る前に軽く足首を動かす。ちょっとした工夫で操作しやすくなることもある。
首が回りにくい、夜が見づらい。それも“今の自分”の情報
後方確認では首や肩、時には腰をひねることもある。本人はいつも通り振り向いているつもりでも、可動域が狭くなれば見えている範囲も変わる。夜間走行でも、以前より対向車のライトがまぶしい、暗い路面が見づらい、長時間走ると目が疲れると感じる人もいる。
こうした変化は、「もうバイクに向いていない」という意味ではない。ミラーの位置を見直す、車線変更の確認を少し早めに始める、夜はペースを落とす、休憩を早めに入れる。今の体に合わせて工夫すれば良い。
今の自分で楽しめば良い
20代の頃と50代、60代の体がまったく同じではないのは当たり前。でも、昔より増えているものもある。道路を見る目、危険を予測する経験、無理をしない判断。長く乗ってきたからこそ身についたものだ。
だから、首が硬くなったら確認方法を工夫する。足首が動きにくければペダル位置を見直す。体力が落ちたと感じたら休憩を早める。重いバイクがつらくなったら、軽い車種へ乗り換えるのも立派な選択だ。
昔と同じように乗れなくなったとしても、バイクの楽しさまで減るわけじゃない。むしろ、年齢を重ねたからこそ気づく楽しさもある。ひとりで走りながら頭の中を整理したり、ふとアイデアが浮かんだり。気づけばバイクって、自分だけの時間をつくってくれる大事な相棒なんですよね。
【モトチャンプ編集部】
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