C63(W204)
6.2リッターV8 DOHCユニットを搭載

2007年3月のジュネーブ・ショーで発表された3代目となるW204型「Cクラス」。先代から若干拡大されたボディは、ホイールベースを2760mmへと45mm延長。W203で不満のあったスペースユーティリティを改善している。またスタイリングは直線基調のシンプルなデザインに原点回帰しながらも、アバンギャルドとエレガンスの2種類のフロントグリルを用意することで、キャラクターを使い分けているのも特徴である。
シャシーに関しては「アジリティ(俊敏性)」という開発コンセプトのもと、ボディシェルパネルの70%に高張力鋼、20%に超高張力鋼を使用することで剛性を強化。支持剛性を強化しレシオを早めたステアリングに加え、フロント3リンク、リヤマルチリンクのサスペンションに可変ダンパーを搭載することで、文字通り俊敏なハンドリングを手に入れた。
メルセデス・ベンツの屋台骨を支える中核車種だけに、エンジンは1.8リッター直4スーパーチャージャーから3.5リッターV6、さらに3.0リッターV6ディーゼルターボまで幅広く用意されていたが、秋のフランクフルト・ショーで発表されたAMGバージョンの「C63 AMG」(ボディタイプはセダンとステーションワゴン)には、6.2リッターV8 DOHC M156KE63型ユニットが搭載されていた。
スタンダードに比べて25mmワイドに

E63 AMGなどに搭載されているのと同じ、AMG独自開発のV8エンジンは、最高出力457PS/6800rpm、最大トルク600Nm/5000rpmを発生。トランスミッションは7Gトロニック(7速AT)が組み合わされ、0-100km/h加速4.5秒というパフォーマンスを誇った。
もちろん、そのパワーに対応するためシャシーも全面的に刷新。フロントアクスルは「CLK63 AMGブラックシリーズ」と同一の新開発のものに置き換えられ、剛性が100%向上。あわせてフロントトレッドが35mm、リヤトレッドも12mm拡大したほか、それを納める前後フェンダーもワイドなものとなり、全幅もスタンダードに比べて25mm拡大されている。
そのほかギアレシオが14.5:1から13.5:1へと速められた速度感応式のAMGステアリングシステム、3つのモードを選べるESPのほか、フロント6ポットキャリパー+360mm径ベンチレーテッドディスク、リヤ4ポットキャリパー+330mm径ベンチレーテッドディスクブレーキを採用。一方でアジリティコントロールパッケージ(可変ダンパー)は廃され、オーソドックスなシステムとなっている。
続く2009年には、軽量クランクシャフト、新設計のコンロッド、鍛造ピストン、最適化したECUなどにより出力を487PSへとアップした「パフォーマンスパッケージプラス」も設定されている。
マイナーチェンジで更なる進化

そして2011年モデルでW204が内外装に大きなリファインが加えられた後期型へとマイナーチェンジを果たすと、C63 AMGも同様の変更を受けた後期型へ進化。エンジンスペックなどは変わらないものの、トランスミッションは湿式多板クラッチを備えるAMGスピードシフトMCTへと変更されている。
この後期型W204から「Cクラスクーペ」が登場したのに伴い、C63 AMGにもクーペボディが追加されたのだが、クーペにのみ2011年から最高出力を517PS、最大トルクを620Nmへと引き上げた6.2リッターV8を搭載し、フロント255/35ZR19、リヤ285/30ZR19サイズのタイヤ、KW製調整式スポーツコイルオーバーサスペンション、AMG製LSDなどを備え、0-100km/h加速4.2秒を記録する「C63 AMGクーペ・ブラックシリーズ」を用意。
様々なエボリューションモデルも

C63 AMGクーペ・ブラックシリーズにはさらに、アクティブリヤアクスルトランスミッション冷却システムを備えた「AMGトラックパッケージ」、フロントのカーボンスプリッター、カーボンリヤウイングなどを備えた「AMGエアロダイナミックパッケージ」も用意されていた。
加えて2013年には、セダン、クーペ、ステーションワゴンにそれぞれ、出力を507PSにまで高めたV8を搭載し、ルーバー付きアルミボンネット、リヤスポイラーなどを備えた「C63 AMGエディション507」をラインナップに加えるなど、モデル末期までコンパクトなマッスルスポーツサルーンとして人気を博したのである。

