現行ボディを引き伸ばした開発車両に続き、デザインを示唆する段階へ
A110の世代交代は、71年に及ぶアルピーヌの歴史で2度目となる。次期A110は、今春のルノー・グループ「FutuREady」計画の発表で公開された新開発のAPP(Alpine Performance Platform)を採用する。
7月のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは開発車両「Alpine A110 FUTURE」が走行したが、そのボディは現行モデルをAPPの寸法に合わせて引き伸ばしたものだった。今回の彫刻は、アルピーヌのデザイナーが次期A110をどう解釈しているかを示すものと位置付けられている。

アルピーヌのデザイン責任者は、アントニー・ヴィラン。彼は1998年にカーデザイナーとしてのキャリアをスタートした。ルノーではラグナ・クーペ、メガーヌ、メガーヌ・クーペのデザインプロジェクトリーダーを務め、クリオ(日本名ルーテシア)やキャプチャーのデザイン開発も担当した。2012年にアルピーヌのチーフデザイナーとなり、社内で「AS1」のプロジェクトコード名で呼ばれた現行A110のデザインを統括している。
ボディを隠すためではなく、プロポーションを読むためにかけられたベール
彫刻はボディ全体を青いベールで覆った構成だ。アルピーヌによれば、ボディにベールをかける手法は、デザイナーが形態を検討する過程で一般的に用いるもの。細部を隠す一方で、プロポーションと造形の意図を読み取れるようにする狙いがあるという。

彫刻は黒い台座の上に置かれ、前寄りの小さな支持部だけで支えられている。後半部は台座から浮いた状態だ。ボディの後半ではベールが後方へ流れて先端がすぼまり、リヤエンドの造形は示されていない。

風を受けたベールとコンコルドの超音速飛行を、造形のモチーフに
ベールは風を受けて張りつめた瞬間を表したもので、軽さと空力を示唆する。インスピレーション源のひとつに挙げられているのがコンコルドだ。アルピーヌは、音速の壁を破る瞬間を、エネルギーが凝縮して止まった一瞬として捉え、彫刻の主要なモチーフにしたと説明している。

コンコルドから得たモチーフは、A110のDNAと組み合わせることが条件とされた。ここでいうDNAとは、初代ベルリネットと現行A110から受け継ぐプロポーションとスタンスのことだ。その上でアルピーヌは、第3世代がA110だとひと目でわかる要素として、V字型のフロントまわり、この彫刻で示唆されたデュアルのライトシグネチャー、動きを表現するサイドの造形を挙げる。サイドの造形は、より現代的で彫刻的な表現に改められたという。張りのある面と曲面によるボリュームの対比も、そうした要素のひとつとされている。

シャークノーズから低いリヤへ伸びるベルトラインと、ティアドロップ形状のキャビン
シルエットは、シャークノーズのフロントエンドから低く下げたリヤへと伸びるベルトラインで構成される。ティアドロップ形状のキャビンは、大きく張り出した四つのホイールアーチの間に収められ、ボディサイドにはわずかにくびれたウエストが見て取れる。

この彫刻は、10月12日に開幕するパリモーターショーのアルピーヌブースで展示される。次期A110の生産型デザインの公開も楽しみだ。
