RB20DETを活かした295馬力のファインチューン!
スタイルも機能もアップデートした理想のR31
R31屈指のスペシャリストとして知られる、岐阜県のR31ハウス。長年にわたって培ってきたノウハウに加え、常に最新かつ最適なチューニングをR31に注入している。時代に合わせてR31の魅力を引き出し続けてきたことで、国内はもちろん、世界中に多くのファンを抱える稀有な存在だ。

そんなR31ハウスが、現時点でR31らしさを最も色濃く残したチューニングカーの1台として挙げるのが、このGTS-Xだ。
「この車両は、エンジンもツインインテークポートを採用した初期型RB20DETのまま、R31らしさを残しながらファインチューンを施したコンプリートカーですね。一時期はRB25やRB26への換装が主流となった時期もありましたが、最近はオリジナルの健全な部分を活かして仕上げる流れも大きくなっています。制御系などを最新のものにするだけでも乗り味は非常に良くなりますので、リフレッシュの際は愛車の方向性についてもご相談ください」と、R31ハウスの柴田さんは語る。

チューニングメニューについては、初期型のツインインテークポート仕様RB20DETが良好なコンディションを保っていることから、エンジン本体にはあえて手を加えていない。ヘッドにはTOMEIのポンカムをセットし、タービンにはオーナーの希望に合わせてHKSのGTIII-RSを組み合わせることで、街乗りでも過不足のない295psを実現している。

初期型RB20DETの特徴は、後のモデルとは異なるツインインテークポートと、可変バルブを用いたNICSと呼ばれるシステムを採用していることだ。その構造上、社外サージタンクの選択肢がなく、吸気系の変更が難しいという側面もある。そうした事情に加え、希少性も考慮し、オリジナルのエンジンを搭載したまま仕上げられている。
「インジェクターの容量を拡大すれば350psくらいまで狙える仕様なのですが、それは次のステップですね。というのも、ターンフロー式のインマニのままではクリアランスが狭く、現在市販されているインジェクターではうまく取り付けられません。そこで、このインマニに合わせてハイトを低くしたオリジナルインジェクターのラインアップも考えています」と、担当メカニックの山田さん。

制御系にはHKSのF-CON Vプロを採用。現状ではインジェクターの容量に合わせて出力を抑えたセッティングとしているが、今後、専用インジェクターが製品化されれば、さらなるパワーアップにも対応できるというわけだ。

もちろん、GTS-R仕様のエキゾーストマニホールドやマフラー、インタークーラーなど、基本となる吸排気系もR31ハウスのオリジナルアイテムで統一している。
中でも目を引くのが、GTS-R仕様をオマージュしたロングタイプのオリジナル「プレミアムタコアシ」だ。一部の社外タービンにも対応する設計で、エンジン上部を通る吸気管には、長いエキゾーストマニホールドをかわすためにGTS-R用を流用。排気管を覆う遮熱板には「R31 HOUSE」のレタリングも施され、エンジンルームのビジュアルを引き締めている。

マフラーは、老舗の柿本レーシングとのダブルネームで誕生したオリジナル品。定番のシングル砲弾タイプを採用し、低く響く排気サウンドも魅力となっている。

また、ターンフロー式インマニに合わせて設計されたオリジナルのインタークーラーキットも装備。インタークーラーの性能を引き出すため、ナンバープレートをオフセットする専用ブラケットまで用意されている。
これらのパーツは必要に応じてアップデートが重ねられており、当時のチューニングパーツとは比較にならないクオリティで、R31のポテンシャルを引き出してくれる。
ちなみに、R31ハウスといえば、豊富なストック車両を保有していることでも知られる。ベース車両や部品取り車を確保しているため、機械部品については廃番になったものにも対応できるが、樹脂系パーツは経年劣化が激しく、そう簡単にはいかない。


例えば、エンジンルームの左右に配置されるクーラントタンクやウインドウウォッシャータンクは、長年の使用によって劣化が進み、割れてしまっている車両も少なくない。そこでR31ハウスでは、純正部品が入手できずに困っているユーザーのために、こうしたパーツをリプロダクトして製品化している。

さらに、エンジンの熱によって劣化が進みやすいエンジンハーネスも復刻。純正に準じた長さやカプラーを採用することで、無加工で交換でき、新車時に近い電装環境を取り戻せるようにしている。

インテリアについても、経年劣化しやすいエアコン吹き出し口などのリプロパーツを随時企画。後期型のRB20ツインカム搭載車向けにはエアコンキットもラインアップされ、定番アイテムとなっている。ストリートで動態保存を続けるうえでは、エアコンが正常に機能することも重要なのだ。

オリジナルのエアロパーツは、R31のスタイリングに自然に溶け込みながら、近年のトレンドも取り入れたデザインが特徴。古さを感じさせない仕上がりで、GTS-Rをベースに現代的な要素を加えたチューニングルックは、R31チューンの王道といえるだろう。

フロントには、リップスポイラーにアンダーパネルを追加した現代的なフォルムを採用。アンダーパネルはステーで確実に固定されており、走行中にダウンフォースが発生しても保持できる本格的な構造となっている。


サイドステップにもアンダーディフューザーを組み合わせ、フロントから続くボトムラインを均一化。リヤには純正バンパーに被せるハーフスポイラーを装着し、車体全体に統一感を持たせている。

さらに、GTS-R用リヤスポイラーをモチーフに製作されたFRP製リヤスポイラーも、スタイリングのアクセントとして人気のアイテムだ。

ボンネットは、重量のある純正スチール製からFRP製へと変更。フロントまわりの軽量化に貢献するだけでなく、ダクトを設けることでエンジンルーム内の排熱性も高めている。

加えて、タイヤブランドとして着実に実績を積み重ねている「シバタイヤ」のブランドで展開する、タイヤ&ホイールやブレーキといった足まわりの強化にも抜かりはない。
特にPCD114.3の4穴ホイールは、近年になって各メーカーがラインアップを拡充し始めたものの、長らくデザインやサイズの選択肢が少なく、ユーザーを悩ませてきたポイントだ。その課題をハウスブランドのシバタイヤでカバーすることで、足元をより現代的なチューニングカーの雰囲気に仕上げている。

ブレーキには、フロント6ポット、リヤ4ポットのキャリパーを採用。ローター径もフロント355φ、リヤ330φまで拡大し、制動性能を大幅に引き上げている。
サスペンションは、ブリッツのダンパーZZ-Rをベースに、R31ハウス独自のスペックを盛り込んだコラボレーションモデル。スピンドルなどにも専用の削り出し部品を使用しており、チューニングパーツとしてはもちろん、純正部品の供給が難しくなったR31の補修用パーツとしても重宝されている。

インテリアは基本的にストック状態をキープしながら、運転席にはブリッドとのダブルネームで誕生したオリジナルバケットシートを装着。

足元には毛足の柔らかな専用フロアマットも用意され、ナルディのステアリングやデフィの追加メーターとともに、機能性と快適性を高めている。

R31スカイラインが誕生してから41年。最終モデルとなるこのGTS-Xから数えても、すでに37年が経過した。この間に自動車文化は発展し、市販車もチューニングも大きく進化を遂げている。

しかし、そうした新しいモデルにも引けを取らない魅力と性能を引き出し続けられるのは、R31だけを見つめ続けてきたスペシャリストだからこそといえるだろう。
●取材協力:R31ハウス 岐阜県加茂郡坂祝町黒岩1081 TEL:0574-28-0899
【関連リンク】
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