ベスパだけじゃない! 90年代に広がった海外モデルの世界

海外スクーターは古くはベスパやランブレッタなどが顕著だが、1990年代を境に日本にもさまざまな車種が上陸! たまに見かけると「あれはなんだ?」と好奇のまなざしを向けることもしばしば。インポートは大きく海外メーカーと日本メーカーの逆輸入車に二分される。

例えば前者はアプリリアのSR50、プジョーのスピードファイト、イタルジェットのドラッグスター、キムコのスーパー9などで、センターフレーム(車種によってはダミー)を有したスポーティなスタイルに一目惚れした人も多いはず。

仕向地で規制の違いはあれど、ミナレリ製やピアジオ製エンジンを搭載した欧州モデルはパワフルな走りを堪能できた。

台湾勢も台頭! 独自のスポーツスクーター文化へ

いっぽう、日本メーカーが海外市場向けに展開したモデルを日本へ持ち込む、いわゆる“逆輸入車”も人気を集めた。ホンダ・ビアやヤマハ・ターゲット90など、海外向けモデルの一部が国内で限定販売された例もあったが、試験的な意味合いも強く、認知度はあまり高くなかった。

やはり注目したいのは、1990年代後半から存在感を増したヤマハ・BW’S100やエアロックス、マジェスティ125(通称コマジェ)といったモデルたちだ。日本メーカーの車両ではあるものの、生産国はモデルによって異なり、台湾や欧州の現地工場で生産された車両も少なくない。こうした海外市場向けモデルが日本へ持ち込まれ、“逆輸入車”として独自の人気を築いていった。

社外製パーツも豊富でイジりがいがあり、当時のストリートバイク&ビッグスクーターブームに後押しされるように、個性的なカスタムマシンも数多く製作された。

ただし、日本語の取扱説明書やパーツリストが十分に用意されているとは限らず、ショップの知識やオーナー同士の情報交換を頼りに楽しむケースも多かった。そのためビギナー向けとは言い難い世界だったけれど、異文化に触れながら手探りで付き合っていく――そんなところも、インポート&逆輸入モデルならではの魅力だろう。

YAMAHA BW’S100

ヤマハが海外市場向けに展開したBW’S100。BW’Sらしい極太10インチタイヤやデュアルヘッドライトを備えたタフなスタイルに、2スト100ccならではの余裕ある走りを組み合わせたモデルだ。日本では正規国内モデルとは異なる立ち位置の“逆輸入車”として知られ、個性的なルックスとカスタムベースとしての扱いやすさから人気を集めた。

YAMAHA MAJESTY125

1998年に欧州市場向けモデルとして登場したマジェスティ125。欧州仕様はスペインのヤマハモーター・エスパーニャで生産され、124cc水冷4スト単気筒エンジン、前後12インチタイヤ、長い1480mmのホイールベースを採用。250cc版マジェスティの快適性やスポーティさを125ccクラスへ落とし込んだモデルで、日本では“コマジェ”の愛称で親しまれた。台湾向けモデルはヤマハモーター台湾で現地生産され、のちにFI仕様へ発展している。

KYMCO SUPER 9

台湾メーカーのキムコ・スーパー9は、50ccクラスながらフロント120/70-12、リヤ130/70-12というワイドな12インチタイヤを採用。小径10インチが多かった国産50ccスクーターとは違い、ひと回り大きな足周りが大柄でレーシーなスタイルを強調している。エンジンは水冷2スト仕様で、前後ディスクブレーキも備え、見た目だけでなくスポーツスクーターとしての理想が初めから備わっていた。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年12月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】