あの“ブルース・リー”も採用した「オニツカタイガー」は最後の映画『死亡遊戯』に採用。実は日本人との関係も極めて深い

Onitsuka Tiger(以下、オニツカタイガー)といえば、昭和44年(1969年)生まれの筆者的には、アジア人として唯一(欧州、アフリカ、南米、ユーラシア大陸の僻地の人も多数認知しているため)の世界的スーパースター、ブルース・リーを抜きに語れない。

知っている人は知っているが、後年のリーは日本通で、香港で購入した自宅には日本庭園を設置し、日本刀をコレクション。日本映画「宮本武蔵(1954年公開/監督:稲垣浩/主演:三船敏郎)」を敬愛し、映画「燃えよドラゴン」の冒頭のボートシーンでは、佐々木小次郎との巌流島の戦いに向かうシーンをオマージュ。大好物は「すき焼き」だった。

これは主演であるリー自らが監督した映画『ドラゴンへの道』や『死亡遊戯(リーが生前撮影した最後の格闘シーンのみ)』で撮影監督を担当し、公私ともに親交を重ねた日本人キャメラマン・西本正(※注1)の影響も大きい。

※注1:日本の新東宝から香港映画の撮影指導に行ったキャメラマンの巨匠。西本の撮影技術や撮影センスを認め、彼をリスペクトしたリーは、世界的に大ヒットした『燃えよドラゴン』の撮影監督を配給会社のユニバーサル映画や関係各社へ強く推薦。しかし米国ハリウッド映画という都合上、ギルバート・ハッブスが撮影監督を担当した

ブルース・リー“最後の”映画となった死亡遊戯では、イエローカラーにブラックのサイドラインの入った上下ワンピース型の挌闘スーツ(トラックスーツとも呼ばれる)。またイエロー×ブラック×ホワイトのスニーカーを着用(映像や写真ではイエローがオレンジにも見える。スニーカーはシーンによりホワイトベース版も着用)。

実はこの衣装、このシーンを監督したリー自身がオニツカタイガーに特注で制作依頼したもの(リーが急死する1972年)。

メインカラーをイエローにした理由のひとつが、総監督のリー、また撮影監督(リーが生前撮影した最後の格闘シーンのみ)だった西村正の色使いに対するこだわりがあったと推測される。

黒(壁や柱)と白(障子の明かり)をメインにした背景に、イエロー×ブラックの衣装を着た武術の達人が躍動する。鬼気迫るこの映像を監督(武術指導も含む)し、主演した武道家・リーのアクションと映像作家としての才能。また西本正の撮影技術や映像センスが織りなす格闘シーンは、今見ても「お見事!」の一言だ。

現在までワイイヤーアクション、CG、AIを駆使した過激な演出の格闘シーンが数多く公開され、閲覧してきた。しかし筆者的には、超アナログな“死亡遊戯の最後の挌闘”を上回るものを見たことがない。

オニツカタイガーによる黄×黒の挌闘スーツは、ブルース・リー以外、誰にも似合わない。興味のある人はYouTube等でチェックしてみて欲しい。

この衣装は、ブルース・リー、千葉真一、梶芽衣子を崇拝するクエンティン・タランティーノ監督「キル・ビル(2003年公開)」にもオマージュとして採用された。

オニツカタイガーは戦後、ホンダとともに成長した国内ブランド

ホンダのスポーツモデルをベースに、オニツカタイガーのイメージカラーをアレンジ

オニツカタイガーは、日本が誇るスポーツシューズブランド。同ブランドは1949年(昭和24年)、鬼塚喜八郎によって兵庫県神戸市で創業。ちなみに神戸市長田区は太平洋戦争終戦後、靴の街として発展したことでも有名だ。

オニツカタイガーは1977年、国内大手のスポーツ用品メーカー「アシックス株式会社」に統合されたが、オニツカタイガーはアシックス株式会社の基幹ブランドとして継続。アシックスはスポーツパフォーマンスブランド、オニツカタイガーはスポーツファッションブランドとされている定義されている。

敗戦国・日本がアメリカの占領下にあった戦後の1948年(昭和23年)、本田宗一郎によって創業されたホンダとオニツカタイガーは、国内で培った独自の技術とものづくりへの強いこだわりを礎に、75年以上に渡って事業を展開。現在ではグローバルにビジネスを拡大し、老若男女問わず、多くのユーザーにそれぞれ独自の商品を提供中だ。

ホンダは「自らの技術で人の役に立ちたい」という創業・本田宗一郎の強い思いから、独自の技術とアイデアでモビリティの進化に挑み、自由な移動の喜びを創造。

一方、オニツカタイガーはスポーツシューズの製造から始まり、研究を積み重ねた革新的な技術とアイデアで国内外の選手に愛用されるスポーツシューズブランドへと価値を高め、現在ではファッションブランドとしての地位を構築。

両者は先進的な技術の開発やものづくりへの追求。またチャレンジする精神など多くの点で親和性があることから、コラボレーションが誕生した。

ホンダとオニツカタイガーによるイベント「Onitsuka Tiger Honda Mid Sports Concept」は、今回のコラボレーションの象徴として新たに製作したモデル。ホンダのスポーツモデル(ベースはスポーツネイキッドモデル・CB750ホーネットだと推測)をベースに、オニツカタイガーのアイコニックカラーであるタイガーイエローを基調とし、車両の両サイド全面に黒のストライプを大胆にレイアウト。

黒を基調としたホイールにはタイガーイエローを施し、両ブランドのロゴを配置。カラーリングからディテールに至るまで、こだわりを込めた外観に仕上げている。

オニツカタイガーは、ホンダとのコラボレーションとして、ミラノ・ファッション・ウイークにおいて、ホンダのモーターサイクルを象徴するウイングマークを取り入れた、シューズやアパレルアイテムを発表。このコレクションは、モーターサイクルカルチャーから着想を得てデザインされている。

コレクションとともに「Onitsuka Tiger Honda Mid Sports Concept」を披露することで、両者が共有する、ものづくりに対する細部へのこだわりをとことんアピール。

ホンダはこのコラボレーションを通じ、既存の枠組みにとらわれずにブランドの共鳴による新しい魅力を提供することで、世界中の多くのユーザーにモーターサイクルカルチャーを、より身近な存在として感じてもらえる機会の創出に取り組んでいる。

ファッションショー「Onitsuka Tiger Spring/Summer 2027 Collection」での一コマ。