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内燃機関超基礎講座

エンジン振動を抑える手段として古くから使われてきたのがバランサーである。1次振動はクランクシャフト回転数と同じ周波数であり、2次はその2倍、4次はさらに2倍……と、高次振動になるほど周波数が高くなり、しかしエネルギー量は小さくなる。

もっとも音・振動として影響が大きい1次振動はエンジンの機械的設計そのものに由来することが多く、これを取り除くためにクランクシャフトと等速で回転させる「おもり」が考案された。バランサーの基本概念は20世紀初頭に英国人のフレデリック・ランチェスターが確立しているが、自動車での効果ある実用例は1974年の三菱自動車以降だ。シャフトの本数、長さ、重さのバランス、回転方向などに多くのバリエーションがあり、省気筒化の波がこの技術に再びスポットライトを浴びせている。

BMWの1.9ℓ直4(M43型)エンジンに装備されたバランサー。回転力は2/3番気筒の間にあるギヤでクランク軸からもらう。
トヨタV6用で、これも装備位置はBMWと似ている。2本の軸は互いに反対方向に回る。
2本のバランサーを高さ違いで配置する三菱のサイレントシャフト。この特許はクライスラー、ポルシェ、ボルボなどが使用権を得て使っていた。
ボルボの2.3ℓ直4(B234F)での使用例。三菱のサイレントシャフトとまったく同じ構造である。
ルノー/PSA/ボルボが共同開発した90°バンクのV6は各社がさまざまに進化させたが、シトロエンはこれを6スロー化したうえで片バンクのカムシャフト位置にバランサーを組み込んだ。非常に珍しい設計である。
トヨタの最新ディーゼルエンジン「GD型」は、タフなピックアップからSUVまで多くのモデルに搭載されるため、多くのバリエーションが設定されている。この写真はバランサーをオイルパン内に備えた「ランドクルーザー・プラド」用である。

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