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定地燃費値とは?
まずは「定地燃費値」。これは、昔からカタログなどに掲載されている燃費の数値だ。2輪車メーカーが、国土交通省に新型車の型式指定、または認定を受ける際の届出値で、かつては、スペック表に載っていたのは、この数値だけだった。
また、より具体的には、平坦な直線の舗装路を60km/h(50cc以下は30km/h)で走行し、計測した燃費。50cc以下は1名乗車時、50ccを超えるバイクは2名乗車時の数値が記載される。イメージ的には、そのバイクが出す燃費性能のうちでも、最上級に近い値といった感じだろうか。実際に走行してこの数値を出すのは、かなり困難なイメージだ。
WMTCモード値とは?
一方、2013年7月以降に、カタログなどで定地燃費値と併記されるようになったのが「WMTCモード値」だ。これは、国際統一基準(GTR)に基づいて実施する排気ガス測定試験のデータを用いて算出する燃費の数値だ。
シャーシダイナモという計測機を使い、発進・加速・停止といったパターンに応じた試験も実施。また、バイクの排気量や最高速度によってクラスが分類されており、各クラス毎に走行モードを細かく設定することで、より使用実態に近い方法での算出が可能だという。
なお、WMTCモード値の場合、クラスは以下のように分類されている。
なぜ実際の燃費に近い?
このように、WMTCモード値は、細かいクラス分けを行い、それぞれの走行モードを設定。しかも、元々は国際基準だが、日本をはじめ、欧州、インド、中国、米国などの走行実態調査のデータも基にしているという。
加えて、市街地や郊外、高速道路走行など、一般的な使用実態を走行モードへ反映。これらにより、日本で乗るバイクについても、より実際の使い方に近い燃費となっているのだという。
実際の燃費と全く同じになる?
もちろん、だからといって、実際に乗った場合の燃費と全く同じにはなりにくい。
それは、そもそも、実際の燃費は、ライダーがどんなアクセルの使い方をするのかはもちろん、タイヤ空気圧やオイルなど車両の整備状態でも変わってくるためだ。さらに、走行する路面の起伏といった道路状況、晴天か雨かといった天候など、さまざまな要因が影響することが多い。
そのため、実際の燃費は、WMTCモード値より低いこともあれば、良くなる場合もありうる。また、WMTCモード値は1名乗車時の燃費。そのため、50cc超のバイクで2名乗車のタンデム走行をすると、必然的に車体が重くなり、やはり実際の燃費とは変わってくるといえる。
ただし、WMTCモード値は、従来の定地燃費値と比べ、より細かい設定やデータを使っているだけに、現実の燃費に近いことは確かだ。
ツーリング派はもちろん、通勤・通学などの普段使いが主というライダーにとっても、燃費はバイク選びの重要なファクターだ。ぜひ、WMTCモード値も有効活用し、とっておきの1台を見つけ出す手助けにして欲しい。