税込み50万円以下の250ccのミッションバイク。|GPX レジェンド250ツイン試乗

ありそうでなかった、250ccパラレルツインのネオクラシックモデル。しかも価格は、近年の250ccクラスの平均値を大幅に下回る45万9800円(※記事公開当時。2022年2月現在は498,300円)‼ タイのGPXが生み出したレジェンド250ツインは、60万円前後のフルカウルスポーツとスポーツネイキッドが主役になっている現在の250cc市場で、台風の目になるんじゃないだろうか?

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
問い合わせ●GPX JAPAN(https://www.gpxjapan.co.jp)

※2020年2月2日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
GPX レジェンド250ツイン

GPX LEGEND 250 Twin……498,300円

GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン

 2018年秋に、月木レーシングがGPXジャパンを創設するという話を聞いたとき、僕は一瞬、耳を疑った。何と言っても月木レーシングは、レースの世界で数々の実績を残してきた、老舗のバイクショップ/マフラーメーカーである。そんな同社が、どうしてタイの新興ブランド、2007年に創業し、2009年から2輪事業への参入を開始した、GPXの輸入販売を行うのか?……と。

 その疑問は、2019年から日本市場への導入が始まったレジェンドツイン150Sやジェントルマン200レーサーなどを体験することで、あっさり解決することとなった。単純にGPXのバイクは、魅力的で出来がよかったのだ。なお前述したように、GPXはまだ歴史が浅いメーカーだが、2017年以降の母国タイにおける販売台数は、ホンダとヤマハに次ぐ3位を獲得している。

 GPXではこれまでに、ストリートファイター指向のネイキッドやフルカウルスポーツ、ネオクラシックなどを手がけており、本国のラインアップには14機種が並んでいるが、エンジンはいずれも単気筒で、排気量は125~200ccが主力だった。そんな同社にとって、初の250ccパラレルツインとなるのが、レジェンド250ツインだ。

 レジェンド250ツインはネオクラシックに該当するモデルである。もっとも、倒立フォークや前後17インチのキャストホイール、フロントのダブルディスクブレーキなどを見ればわかるように、足まわりはクラシック風ではない……と言うより、現代の250ccの基準で考えるとかなり豪華だ。この構成をどう感じるかは人それぞれだが、見た目は旧車風でも走りは現代的というのは、最近のネオクラシックのトレンドだし、もしかしたらGPXは、正立フォークや大径ホイール、アップハンドルやアップマフラーなどを採用する、派生機種の展開を考えているのかもしれない。

常用域が楽しめるオールラウンダー

GPX レジェンド250ツイン

 日本に上陸したばかりのレジェンド250ツインを、じっくり観察したうえで走らせてみて、僕が最初に感心したのは違和感のなさだった。いや、初っ端から何を言っているんだと思われるかもしれないが、まずこのバイクは、デザインのまとまりが非常にいいのである。他社のネオクラシックモデルで時として感じる、とりあえず旧車風にしてみました的な雰囲気や、コストダウンの気配がまったくなくて、車両から離れて全体を眺めても、車両に近寄って細部を凝視しても、メーカーの本気度がヒシヒシ伝わってくる。そして実際に走行してみると、車格は250ccとしては順当と思える感触で、スロットルやブレーキの操作感や前後サスの動きは至って自然。一昔前の東南アジア製バイクは、乗り手の積極的な歩み寄りを必要とするものだったのに、このモデルは誰もが気軽に乗れそうなフレンドリーさを身につけているのだ。

 もちろん、レジェンド250ツインの魅力はデザインとフレンドリーさだけではない。近年の250ccの多くが中高回転指向になっているのに対して、新規開発された空冷パラレルツインは低中回転域で潤沢なトルクを発揮してくれるし、それでいてレッドゾーンが始まる8000rpmまでスムーズに回る。一方の車体は、俊敏や軽快といった印象は持ちづらいものの、乗り手の操作に対する反応はどんな場面でも実直だから、街乗りだけではなく、スポーツライディングやツーリングでも不満を感じることはなさそう。と言っても、絶対的な速さでは日本の4メーカーやKTMの250ccに軍配が上がるのだが、常用域で操る楽しさが満喫できるうえに、オールラウンダーとして使えるレジェンド250ツインの特性は、エントリーユーザーからベテランまで、幅広い層のライダーから受け入れられそうな気がする。

 さて、そんなレジェンド250ツインにあえて異論を述べるとすれば、グリップ位置が低めのセパレートハンドルと、接地感がいまひとつ物足りないタイヤが挙げられる。ただし、ハンドルはバー式への変更が容易に行えそうだし(トップブリッジに、バーハンドル化を考慮したクランプ用の穴が開いている)、タイヤに関しては、扁平率がわずかに変わることをヨシとすれば、接地感向上が期待できるリプレイス品が豊富に存在するので、問題というほどではないだろう。いずれにしても、近年の250cc市場には存在しなかったパラレルツインのネオクラシックモデルが、近年の250ccクラスの平均値を大幅に下回る459,800円(※記事公開当時。2022年2月現在は498,300円)で購入できるというのは、夢みたい……は言い過ぎにしても、素晴らしいことだと思う。

ライディングポジション(身長182cm)

GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン
GPX レジェンド250ツイン

ライダーが身長182cm/体重が73kgなので、あまり参考にならない気がするが……。レジェンド250ツインの公称シート高は790mmで、足つき性は近年の日本製250ccスポーツやネイキッドより良好。ハンドルグリップ位置は低めだが、このくらいなら小柄なライダーでも、上半身の前傾に厳しさを感じることはなさそうだ。

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著者プロフィール

中村友彦 近影

中村友彦

1996~2003年にバイカーズステーション誌に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。1900年代初頭の旧車…