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モノトーンでスポーティなボディカラー
筆者が新型CBR250RRを見に行ったのは、9月25日の決勝当日。熱帯低気圧の影響による前日までの雨も上がり、清々しい秋晴れとなった「もてぎ」には、3年ぶりのMotoGP日本グランプリを見ようと大勢の人でごった返していた。午後の決勝は12時からなので、その前に新型CBR250RRをじっくり見ようと、早速ホンダのブースへ足を運ぶ。
すると、ブース中央の展示スペースに、ホワイトとブラックのマシンが2台。まわりはロープで囲ってあるので、跨がったりはできないが、手を伸ばせば触れられそうな位置に鎮座していた。ホワイトが公道仕様の市販予定車、フロントカウルにヘッドライトのグラフィックがダミーで描かれているブラックがレース仕様車のようだ。
まずは、公道仕様のほうからじっくり見てみる。ボディカラーは先に発表されたマレーシア仕様には設定がない、ホワイトのボディにブルーのライン、サイドカウルにはブラック系のカラーも採用した仕様だ。現行モデルをはじめ、ホンダのスーパースポーツといえば、トリコロールやマットブラック系のカラーが定番だが、全体的にモノトーンな感じがスポーティさを演出し、これはこれでアリ、好印象だ。
ただ、ちょっと気になったのがホイールの色。ボディカラーと合わせたホワイトカラーとなっていて、全体的なマッチング感は抜群なのだが、走った後の掃除は、やや大変そうだな。ブレーキダストなどの汚れが目立つからだ。ブレーキダストは、放っておくと固着してしまい取りづらくなるので、こまめな掃除は当然なのだが、特にホワイトホイールは気を遣いそう。筆者が、もしこのカラーのバイクを実際に所有したとすると、ツーリングなどバイクで出かけた後は、必ずホイールを磨くことになりそうだ。
顔付きはよりシャープに
次は、フロントカウル。カウルの形状が変わっていることが、ぱっと見ても分かる。現行モデルと比べ、スクリーン下からノーズ部にかけてのセンター部が、より盛り上がり、エッジが効いたシャープなデザインになっている。より精悍なイメージになったな。また、この盛り上がった部分は、前方からの走行風を上手く後方へ流す効果も高そうで、おそらく空力特性も向上しているのではないかな、と予想できる。
さらに、サイドカウルの形状も、エアダクト部がより細くなっているが、これも何か空力関連のアップデートだろうか。
加えて、燃料タンクのカバーは、よりボリューム感が増している。CBR250RRは、サーキットなどでスポーツ走行を楽しむユーザーも多いが、コーナーでイン側にヒザを出しながら上体を大きく入れ込むハングオフ・スタイルをする際、アウト側の腕をよりホールドしやすい形状にしたのだろう。実際に、跨がっていないので定かではないが、リヤビューなどのスタイル的なインパクト感と相まって、スポーツ走行での実用性もより向上したことが予想できる。
なお、マレーシア仕様車には、前述の通り、クラッチ操作なしでシフトアップ/ダウンができるクイックシフターを標準装備した、SP QSというグレードも設定されているが、今回の展示車は通常のシフトペダル仕様。国内仕様のグレード展開はまだ未発表だが、もしマレーシア仕様と同じ展開になるとすれば、展示車はスタンダードモデルかSPということになる。
レース仕様車はサスペンションなどを強化
一方、ブラックの外装をまとったレース仕様車。公道仕様車とやや形状が異なるフロントカウルには、MotoGPホンダワークスのエースライダー、マルク・マルケス選手のゼッケン「93」が付けられるなどで、よりレーシーなフォルムを持つ。
外観を見た感じで、レース仕様車が公道仕様車と違うのは、まずクイックシフターが装備されていること。また、左右のステップも、下部にバンクセンサーの役割をする突起が付いている公道仕様車と違い、突起はないし、形状もレース仕様車でよくみるタイプに変更されている。また、マフラーは、アフターパーツメーカーの「エンデュランス」製だ。
新型の走りは旋回性がよりアップしているかも
以上が、今回の展示車両を見た主な印象だ。新型CBR250RRのマレーシア仕様では、SPとSP QSは最高出力を41馬力から42馬力にアップされているから、国内仕様も同様の馬力になることが予想できる。わずか1psのアップではあるが、車両重量が166〜168kgと、現行モデルと同様に超軽量なこともあり、スロットレスポンスや加速性能などには違いがでるかもしれない。
ちなみに、マレーシア仕様のスタンダードモデルでは、最高出力が38.7psに抑えられているが、その分、街乗りなどでは扱いやすいこともうかがえる。さらに、パワーを抑えているため、逆に燃費はスタンダード仕様の方がいいかもしれない。もし、国内仕様にも同仕様が設定されるのであれば、ロングツーリングなどをメインとするライダーには最適だろう。
また、新型の車体は、マレーシア仕様の場合、
全長2061mm×全幅724mm×全高1114mm、ホイールベース1385mm。
一方、現行モデルの国内仕様が
全長2065mm×全幅725mm×全高1095mm、ホイールベース1390mm。
新型モデルの国内仕様が、マレーシア仕様のボディサイズと全く同じになるかどうかは不明だが、もし同じだと仮定すると、全高以外は全体的にややコンパクトになることが分かる。
特に、新型のマレーシア仕様は、全長が4mm短いが、ホイールベースはさらに5mm短くなるので、車体をよりショートホイールベース化をしているのかもしれない。もし、そうであれば、従来から高い旋回性がより高まり、街乗りでの細い路地やUターン時での取り回しが向上していることも考えられる。さらに、ワインディングやサーキット走行などでも、より俊敏な走りが楽しめそうだ。
ほかにも、新型では、倒立フロントサスペンションにSFF-BPタイプを採用している。片側フォークに減衰機構とスプリング、もう片方にスプリングのみを装備したタイプで、摺動抵抗の低減と車体の軽量化に貢献する。近年のホンダ製スポーツモデルはもちろん、CBR250RRのライバル、カワサキ「ニンジャZX-25R/SE」にも採用されているサスペンションだ。新型のフロントサスが、このタイプになったことで、どんな走りを味わえるのかも気になるところだ。
以上、妄想も含め、いろんなことが予想できる新型CBR250RR。筆者は、1度、現行モデルを市街地で乗ったが、ただ扱いやすいだけでなく、軽量な車体とアクセルレスポンスの良さがあいまったスポーティな乗り味も印象的だった。さて、新型がどんなマシンに仕上がっているのか、今から試乗するのが楽しみだ。
最後に、余談だが、日本グランプリでは、Moto2クラスで「イデミツ・ホンダ・チームアジア」の小椋藍選手が、母国大会で16年ぶりに日本人ウイナーとなる快挙を達成。現場で見ていた筆者も感動ものだった。小椋選手、おめでとうございます!