大量のキャンプ用品、さてどうやって愛車で運ぶ? |最適解をタナックスに聞いた。

テントやシュラフ、各種調理器具など、キャンプに必要なアイテムは数が多く、それらをまとめて運ぶのに最も適しているのが大容量のシートバッグだ。中でも20年以上の歴史を誇り、各社がベンチマークとしているのがモトフィズのキャンピングシートバッグ2である。その取り付け方法やコツについて、メーカーであるタナックスに話を聞いた。

REPORT&PHOTO●大屋雄一(OYA Yuichi)
取材協力●タナックス株式会社(https://www.tanax.co.jp/motorcycle/)

発売当初は日本よりもアメリカで売れたキャンピングシートバッグ

これがモトフィズのキャンピングシートバッグ2。容量は59~75ℓで、価格は25,300円。
写真は左右を拡張した状態。ホルダーベルトとホールディングコードはこのように使う。

「発売は1999年ですから、今年で22年目ですね。当時、二輪用品店に『一番大きなバッグが欲しい』と言ってくるお客さんが多いと聞き、それが企画の出発点となりました。開発を担当した者がしょっちゅう北海道ツーリングに行くような人間だったので、彼の意見をほぼ全て盛り込んだら〝キャンピングシートバッグ〟が完成しました」
そう切り出したのは、タナックスの営業部長である重田真利さんだ。容量可変システムをはじめ、両サイドのオープン機構、長尺物を巻き付けるのに便利なホルダーベルト、上面のホールディングベルト、ボトルホルダーなどなど、今でこそキャンプ向けと称する大容量シートバッグでは当たり前とされる各種装備。その先鞭をつけたのはモトフィズのキャンピングシートバッグなのだ。なお、現行モデルは商品名の末尾に〝2〟が付くが、初代からの変更点は耐久性の向上を目的としたバックルのサイズアップと、上面に収納袋を追加したのみ。基本設計は20年以上前から変わっていないというから驚きだ。
「実は発売当初、売れ行きがあまり良くなかったんですよ。そんな中、たまたまアメリカの通販会社が目を付けてくれて、向こうで大人気になったんです。せいぜいダッフルバッグぐらいしかなかった当時、これだけ機能を盛り込んだ商品が珍しかったんでしょうね。3:7ぐらいの割合で、日本よりも海外で売れたんです」

昔はツーリングネット、現在はシートバッグが主流に

筆者が30年前に北海道をツーリングしたときの画像。当時は大量の荷物をキャリングコードやツーリングネットで固定するのが主流だった。キャンプ場によっては駐輪場とサイトが離れていることもあり、全ての荷物をまとめられるシートバッグの方が運搬に有利だ。
ほぼ同じころ、知人がヤマハのDT50でキャンプツーリングに出掛けたときの画像をお借りした。リアキャリアの上に大きな板を置き、そこに荷物を載せている例で、折り畳み椅子を板の代わりにしていた人も。荷物を安定させる方法として当時の二輪誌でも紹介された。

固定ベルトは真横から見てハの字になるように引く

このキャンピングシートバッグ2をはじめ、各社の大容量シートバッグは、前後左右合わせて4本のベルトで車体に固定するのが主流となっている。ポイントは、前後のベルトが真横から見てハの字(台形)になるように引くこと。最近のバイクはリアキャリアはもちろん、荷かけフックやグラブバーなど、バッグよりも後方に引けるフックポイントがない機種が多い。そこで重宝するのがモトフィズのプレートフックだ。

これはプレートフック3で、写真のブラック以外にアルミシルバーがあり、どちらも2,640円。なお、2021年10月には125cc未満のナンバーサイズに適したプレートフック4(ブラック、アルミシルバー、アルミレッド)が2,530円で発売予定だ。
ナンバープレートと共締めしてフックポイントを増やすプレートフック。ナンバーがスイングアームマウントだったり、極端にナンバーステーの強度が低かったりしない限り、有効なアイテムと言えるだろう。
前側のフックポイントとして一般的なのがタンデムステップステーだ。なお、位置によっては固定ベルトがテールカウルと強く擦れるケースがあるので、傷を防止するために養生するのが得策。タナックスでは透明なプロテクションシート(660円~)を販売している。
モトフィズの各種シートバッグは、あえて底面に芯材を入れないことでタンデムシートとの接触面積を増やし、前後左右方向へのズレを軽減している。これを生かすためにも、バッグの底にテーブルやチェア、ポールなどの硬いものを置かないのがポイントだという。
バッグを揺らし、その動きに車体が追従するぐらいであれば取り付け方として合格点だ。
休憩のたびにバッグの固定力をチェックし、必要に応じて増し締めする習慣を付けよう。
時代のニーズに応じてサイズの微調整を繰り返しているという付属のレインカバー。走行風をはらんでしまわないように、裾をバッグの底にしっかり入れること。とはいえ、バッグ底面からはどうしても浸水するため、濡れてほしくないものはビニールなどで養生を。
ポイントとして紹介していただいたのは、レインカバーをツーリングネットで覆ってしまう方法。バタつきが抑えられるので生地への負担が大幅に減る。タナックスでは4サイズ&4色のツーリングネットを展開。写真は最も大きな3Lサイズで、¥3,520で販売中だ。

正しく積めばスーパースポーツでもキャンプツーリングはできる!

YouTuberとして活躍されているMatt Rider Japanさん。彼が愛車のトライアンフ・デイトナ675に積んでいるのは、キャンピングシートバッグ2並みに大容量なモトフィズのグランドシートバッグだ。正しく固定できればスーパースポーツでもキャンツーが可能なのだ。
ハードポリカーボネートで作られた30ℓのベース部分と、40ℓの大容量シートバッグで構成されるグランドシートバッグ(52,800円)。なお、ベース部分のみも30,800円で販売されており、これにキャンピングシートバッグ2を載せて使えば総容量は何と計105ℓに!

なお、キャンピングシートバッグ2については、タナックスの公式チャンネルでも紹介されているのと、収納できるテント表が公開されているので、今回の記事と合わせてぜひ参考にしてほしい。

キーワードで検索する

著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…