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ホンダ・CL 250 / CL 500…….価格未定
冒頭に記した通り、先ずはCL500がEICMA 2022に出展された。プレスリリースから抜粋すれば、「モダンなイメージを持たせたスクランブラースタイルモデルです」とある。「CL」というネーミングを耳にすると、おそらくブランニューモデルと思う人も多いだろう。しかし初代CLは60年前に登場した「ドリームCL72スクランブラー」が発端。下の写真の通り1960年登場の傑作車、ドリームCB72(250cc)スーパースポーツがベース。同エンジンを搭載し、アップハンドルとアップマフラーにショートタンクを備え、ラフロードでの走行性をアップさせていた。
主にアメリカ市場をターゲットに開発された国産初のスクランブラーと言われ、バックボーンのダイヤモンドタイプだったCBに対して、フレームはシングルながらクレードルを形成する高剛性化が追求されていた。
スポークタイプのホイールもフロントに19インチサイズを採用。エンジン諸元は共通としながらも、セルモーターを廃してキック始動専用として軽量化設計も施された。
つまりオフロード車の草分けとなるに相応しい、拘りの専用設計が成されていた。日本でもその人気は侮れず、1970年頃までに50~450ccまでシリーズ化されるに至り、CLブランドが確かな地位を獲得したのである。もっとも当時はバイクでツーリングに出かけると、工事中を含めて未舗装のダートを走る機会が多かっただけに、実用的なバイクを求める上での賢い選択肢としてもスクランブラータイプはそれなりの支持を集めていた。
その後はSLやXL~XLRへと、より高いオフロード性能を追求して高性能化したモデルへと進化の一途を辿る。
当のCLブランドは、しばらく間を空けた後の1997年にレトロなCL50が、さらに翌年にはミドルシングルエンジン搭載のCL400がリリースされたものの、それを最後に、CLの名はラインアップから消滅してしまった。
今回のCL投入は、それから約20年という空白の時を経ての再登場となったのである。古き歴史を知る人にとっては懐かしさを覚えるが、それを知らぬ世代にとっては新鮮な響きと魅力が感じられるのではないだろうか。しかも500の投入は、CL史の中でもっとも大きなエンジンを搭載することになり、その点でも見逃せない話題を提供してくれたと言えよう。
撮影会では国内向けCLの主力モデルとなるであろうCL250が初お披露目されたが、残念ながら未だ完成直前の試作車両だそう。価格はもちろん、発売時期や詳細諸元等は一切未公表。またがりチェックや近接撮影はNGという条件付きでの撮影となった。
ただ意外だったのは、今回の撮影会で唯一このオレンジタンクのCL250だけは、エンジン始動が許されたのである。
タンク左下に位置するイグニッションキーをONにしてエンジンを始動。ライダーの耳の位置に置いたマイクを一旦後方のマフラー直後へ動かし、排気圧パルスを浴びせて再び戻し、アクセルを軽くブリッピング。キルスイッチでエンジン停止するまで約30秒の音源を収録した。ディテール解説の最後でその排気音をお楽しみ頂けます。
さてホンダからの詳細説明はないが、今回のCL250モデル開発は基本的にレブル250がベースになっている。
灯火類やメーター等に流用部品が見られ、搭載エンジンも同じ。恐らくは吸排気系が一新され、燃料噴射等の制御マップに専用チューニングが施された模様。
またシートレール等フレームも手直しされており、スクランブラーに相応しいライディングポジションが作り出されている。フロント19リヤ17インチサイズのホイールには、ダンロップ製TRAILMAX MIXTOURチューブレスラジアルタイヤを履く。
ブラックアウトされているエンジンは、水冷DOHC4バルブ単気筒。ここからは推測に過ぎないが、500と同じ手法でチューニングされているとすれば、減速比を低めに設定し、スロットルレスポンスに優れる出力特性と相まってレブルより快活な元気の良い走行性能の発揮が期待できそう。
前後サスペンションもストロークが伸ばされ、ダートでも扱いやすい操縦性を誇れるのではないか。そこには、まさにCLブランド復活に相応しく、扱いに楽しさが感じられる乗り味を魅せてくれるのではないだろうか。
CL250 純正用品装着車
2本ショック上部にはリアクッションカバーを装備。ステップはワイドなラリーステップに換装されている。
フロントアップフェンダーを装備。
ハンドル両レバーにはナックルガードを、ヘッドライトバイザーも装着。