【中古車でかつ外車を買うのってリスクある?】MVアグスタ・ブルターレを購入して良かったこと・悪かったこと

短足オジサンが勢い余って購入したMVアグスタ・ブルターレ。いくら走行距離が伸びていないとはいえ、相手は誰もがトラブルを危惧する中古ガイシャ、しかもイタ車。買ってから半年以上が経過して後悔していることだろうと思われるだろう。実際に中古ガイシャを手に入れるとどうなのか、まとめてみた。

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
2022年春に購入した2012年式MVアグスタ・ブルターレ。

2022年春に大型リターンした短足オジサン。その顛末は過去の記事で詳しく述べた。同時に短足であることを痛感したのが納車時の立ちゴケ。あまりにショックだったため短足をカバーできる靴選びまで記事にしてしまった。いきなりのトラブルだったわけだが、靴を新調した結果、順調に乗ることができている。とはいえ購入時に10年落ちの中古車、しかもイタリア車だ。乗っているうちに故障やトラブルは避けて通れないものと予想していた。では実際にどうだったのか、お知らせしたい。

納車時に立ちゴケしたものの、その後は転けていない。

購入してから半年ちょっとで走った距離は約750km。1年で1000キkm走るかどうかといった乗り方なわけだ。つまり、あまり乗れてない。本来ならツーリングにベストなシーズンである秋に距離を伸ばしたかった。ところが9月と11月に自分一人で2冊の本をまとめたのだから、時間がなくて絶好のツーリングシーズンを台無しにしてしまった。かといって真夏や真冬に乗るかと聞かれると困る。50歳を過ぎたオジサンにとり暑さ寒さは強敵なのだ。真夏は猛暑日以外に乗れたものの、冬には足がシモヤケになる。つまりシフトチェンジするたびに足が痛くなるので乗れない、というか乗りたくないのだ。嗚呼、情けない。

買って良かったと思うこと

強烈なレスポンスで吹け上がるエンジン。

半年で走った約750kmのうち、トラブルは実は皆無。乗っていて壊れる気配など微塵もないのだ。また購入当時のオドメーターは2000km程度だったので、慣らし運転は不要でいきなり全開にできた。1090ccもあるブルターレを全開にできる機会はそうそうないのだが、時にスロットルをワイドオープンにすると猛烈に楽しい。というか怖い。例えば4速に入れて周囲の流れと合わせて走っていたとしよう。ここで前がガラッと空いたので4速のままスロットルを一気に開けてみる。するとどうだろう、なんとブルターレはフロントが浮き上がるほどの加速力で突っ走る。これにはビビッた。購入する前に相談したF4乗りとアグスタジャパンの人が声を合わせて「開けゴケに気をつけて」といっていたのはこれのことか。まさにレスポンスとパワーがどこからでも猛烈に引き出せるのだ。こんなエンジン、生まれて初めての経験。それに音がいい。マフラーを替えようなんて思うことすらないほどだ。

ようやくサイドまで接地させてあげられた。

車体側も猛烈なパワーに対応して、とても良くできたセッティングになっている。直進安定性は大したもので、どのようにスロットルを操作してもビクともせずにひた走る。接地感がしっかり伝わってくるので、めくるめく加速感に恐怖を覚えるものの、車体がしっかり対応しているので信頼していられる。また驚いたのがコーナリング。過去にドゥカティを3台乗り継ぎ、ライダーが積極的に体重移動しないと曲がらないのがイタリア車、という思い込みがあった。ところがブルターレは非常に素直かつスムーズに曲がってくれる。ライダーが特別意識しなくても、自然と目線の方向へ曲がってくれるのだ。何も本気で攻めたりしていないのでその先どうなるかは不明ながら、上写真のように購入当初はセンターしか減っていなかったタイヤがサイドまで接地しているのはそのため。結論としては非常に楽しいバイクだが、動体視力が明かに落ちている50歳過ぎのオジサンには扱いきれない高性能さ。正直なところ持て余しているといっていいだろう。

乗ってみてわかったこと

スクリーン状になっているメーターバイザー。

ただ、良いことばかりではない。ある時、ジェットヘルメットで高速道路に乗った。高速ならブルターレの高性能ぶりを思う存分楽しめるだろうと、スロットルをワイドオープン! ところが追越車線の一般的な流れに乗ると、なんということかヘルメットが浮いてきた。おそらくメーターバイザーからの空気がヘルメットの下あたりに流れるためと思われるが、ヘルメットが顔から浮いたことを実感するのは恐怖以外の何者でもない。高速を飛ばすなら伏せて乗るべし。もしくはフルフェイスを被れ、ということだろう。

走行距離は7500km弱まで伸びた。

購入してから約750キロ走り、ガソリンをどれだけ使ったのかは正直不明。だが前述のように高速道路を走った後、一般道に降りて信号の少ない田舎道を150kmほど走った。その後、高速道路に乗り直して帰路につき総走行距離は400kmほどになった。この間給油したのは約22リッター。つまりリッター当たり18km程の燃費性能ということになる。別に飛ばしたわけではなく一般的な速度域で走ってリッター当たり20kmを超えないのは不満だが、あまり燃費を気にするバイクではない。それより困ったのはメーターの機能だ。下に続く写真をご覧いただきたい。

トラブルというか困ったこと

サイドスタンドを出していると操作できないデジタルメーター。
SETボタンを長押しすると画面を切り替えられる。写真はサーキットなどのラップタイム表示機能。
さらにSETボタンを長押しするとサービスメニューやセッティングメニューに切り替えられる。

短足オジサンゆえ、できればデジタルメーターの機能表示を操作している間はサイドスタンドを出していたい。けれど、ブルターレはスタンドをあげた状態でないとメーター操作ができないのだ。というわけで撮影時などは足踏み台を用意して車体を安定させている。嗚呼、情けない。それより困ったのはメーター右にあるSETボタン。このボタンを長押しすると表示画面を切り替えたりセッティングを変更できるようになる。そこで何度か試していたら、2つ表示されていたオドメーターが1つだけになってしまった。トリップ1、トリップ2と2つあるから片方で給油から給油までの距離を表示、もう1つで購入時からの距離を表示するつもりだったのだが、給油から給油までと考えていたトリップ2をリセットしたら2度と表示されなくなってしまった。その後、何度かSETボタンを長押しして機能が回復するか試したが、結果は同じ。今ではすでに表示させることを諦めてしまった。嗚呼、さすがはイタ車。

積載性を期待しちゃいけない

キーを差し込み回すとシートロックが解除される。
シート下をご開帳。

では使い勝手はどうだろう。燃料タンクが樹脂製のためマグネットが使えず、事実上荷物を載せられるのはタンデムシートくらいなブルターレ。ハンドルにバーを追加すればスマホホルダーくらいは付けられるが、スタイル的にあまり付けたくない。ということでシート下はどうだろうと開けてみた。結果は上写真の通りで車検証とETCユニット、車載工具を収納する以外に使いようがない。荷物を積んでツーリングするなら、タンデムシートにネットで固定するしかないわけだ。新宿までクルマで2時間もかかる僻地に住む筆者の場合、近所にいくらでもワインディングロードがあるので、荷物を積んで走る機会も必要性もないわけで、これは無問題。

バッテリー上がりとサヨナラ

充電器と接続できるコネクターを標準装備。

日常的に乗るわけでもないため、ブルターレは車庫で寝ている時間が長い。恐るべきはバッテリー上がりだ。アグスタ側もそんなライダー事情をよく理解しているのだろう。なんと新車には豪華な箱入りキットが用意され、その中には充電器まで完備している。ところがさすがはイタ車、充電器の規格が日本と合っていないため使えないのだ。ただ、国内用の充電器さえあればシート下に標準装備されているコネクターと接続することで、いつでも充電できる。以前は5台、現在もバイクを4台所有している筆者のような変態にとり、バッテリー上がりは切実な問題。さらに4輪も複数あるため車庫には3個も充電器がある。嗚呼、大馬鹿者。MVアグスタを買っても乗る時間が少ないという人は充電器を揃えておくべきだ。

できれば使う機会がないことを願う車載工具。

このように購入してから半年以上経った我がブルターレは相変わらず元気。唯一の問題は純正パーツの供給で、納車時に割れていた左前ウインカーレンズがいつまで経っても入荷しない。届いたと連絡があったのは10月のことで、オイル交換を済ませるついでに購入店であるレッドバロン府中店まで赴いた。ところが入荷していたのは色付きレンズのウインカーで、我がブルターレのウインカーはクリアレンズ仕様。結局再度ウインカーを頼むことになり現在に至る。すでにクリアウインカーが入荷したとの連絡をもらったのだが、年末の多忙な時期で交換に行けない日々が続く。嗚呼、早く暖かくならないものだろうか。

著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…