トライアンフ試乗記|切れ味を漂わせつつ、普段使いできる懐の深さも。デイトナ660はオールマイティなミドルスポーツだ

ロードスターのトライデント660、クロスオーバーモデルのタイガースポーツ660に続き、ミドルウェイトスポーツの「デイトナ660」がトライアンフのラインナップに加わった。基本設計は3モデルで共通だが、デイトナ660はエンジンに専用チューニングを加えており、最高出力は17.3%もアップしている。さらに足周りもスペックアップしながら、トライデント660との差額はわずか9万円というプライスタグにも注目だ。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

エンジンはトライデント660やタイガースポーツ660と同じ660cc水冷並列3気筒をベースに、シリンダーヘッドとピストンを変更して圧縮比を11.95から12.05:1へ。カムシャフトは専用設計で、クランクケースも見直しているという。最高出力は81psから95psへと17.3%もアップしている。ライディングモードはロードとレインの2種類から、スポーツを加えた3種類へ。スリップアシストクラッチを採用する。
前後17インチのアルミキャストホイールおよびショーワ製のφ41mm倒立式フロントフォーク(SF-BPF)は、トライデント660からの流用ではなく、ストリートトリプル765のものをベースに開発。フロントのブレーキキャリパーはトライアンフのロゴが入ったラジアルマウントの対向式4ピストンで、標準装備タイヤはミシュランのパワー6だ。
リヤのブレーキディスクはφ255mmからφ220mmへと小径化。ホイールトラベル量はフロントが110mm、リヤが130mmだ(トライデント660は120mm/133.5mm)。スイングアームはスチール製。
リヤサスはリンクレスのモノショックで、プリロードのみ調整可能なのはトライデント660と同じだ。
ハンドルホルダー一体型のトップブリッジは大胆に肉抜きされ、そのセンターにキーシリンダーをレイアウト。フューエルキャップにもトライアンフのロゴマークが刻まれており、さりげなく所有欲を満たしてくれる。
スイッチボックスは先行2モデルと共通。純正アクセサリーでケーブル内蔵式のグリップヒーターを用意する。
TFTカラーディスプレイは反転液晶タイプ。ABSやトラコンの介入レベルは、ライディングモードごとに最適化される仕組みだ。純正アクセサリーのマイトライアンフコネクティビティシステムを追加すれば、スマホとの連携が可能に。
灯火類はオールLED。ウインカーはセルフキャンセリング式だ。
シートはトライデント660の前後一体式に対し、前後別体式となる。座面が25mm低くなるローシートや、左右分割式のグラブバーなども純正アクセサリーで用意する。また、シート下にUSBソケットを追加することも可能だ。

デイトナ660 主要諸元

●エンジン、トランスミッション
タイプ:水冷並列3気筒DOHC12バルブ
排気量:660cc
ボア:74.04mm
ストローク:51.1mm
圧縮比:12.05:1
最高出力:95ps(70kW)@10,250rpm
最大トルク:69Nm@8,250rpm
システム:マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射、電子制御スロットル
エグゾーストシステム:ステンレス製3into1ヘッダーシステム、ステンレス製ロータイプシングルサイドサイレンサー
駆動方式:Xリングチェーン
クラッチ:湿式多板、スリップアシストクラッチ
トランスミッション:6速

●シャシー
フレーム:チューブラースチールペリメーターフレーム
スイングアーム:両持ち式、スチール製
フロントホイール:鋳造アルミニウム、17×3.5インチ
リアホイール:鋳造アルミニウム、17×5.5インチ
フロントタイヤ:120/70ZR17
リアタイヤ:180/55ZR17
フロントサスペンション:ショーワ製41mm倒立式セパレートファンクションビッグピストンフォーク(SF-BPF)、ホイールトラベル110mm
リアサスペンション:ショーワ製モノショックリアサスペンションユニット、プリロード調整機能、ホイールトラベル130mm
フロントブレーキ:310mmフローティングツインディスク、4ピストンラジアルキャリパー、ABS
リアブレーキ:220mm固定式シングルディスク、シングルピストンスライディングキャリパー、ABS
インストルメントディスプレイとファンクション:マルチファンクションメーター、TFTカラーディスプレイ

●寸法、重量
ハンドルを含む横幅:736mm
全高(ミラーを含まない):1145.2mm
シート高:810mm
ホイールベース:1425.6mm
キャスターアングル:23.8º
トレール:82.3mm
車体重量:201kg
燃料タンク容量:14ℓ

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…