誕生から10年を迎えたヤマハ・MT-09が開発の原点を見つめてビッグマイナーチェンジ!

すでに公式サイトで詳細が発表され、あとは発売を待つのみとなった新型MT-09。まずは標準モデルが大阪モーターサイクルショー2024でお披露目され、後日にMT-09 SPが発表される予定だ。ファンにとって気になるのは、初代から完成度の高かった車両が、第4世代になってどんな進化を遂げたのかということ。メーカーが「正常進化」という中身を見てみよう。


REPORT&PHOTO●川島秀俊
圧倒的なトルクと、軽さがもたらす自由自在なハンドリングを原点から見つめ直し、正常進化を遂げた新型MT-09 ABS。クルーズコントロールシステムを標準装備するなど、電子装備も充実。発売は4月12日で、ほかにブルー系と全身ブラック系の車体カラーを用意する。

エンジン出力はそのままにハンドリングを追求
細かく煮詰められた機能は熟成の領域へ到達

まるでモタードのように、アップライトなポジションで軽量かつパワフルなマシンを自由自在に操れるのがMT-09の魅力。ライダーの本能を刺激する優れたパフォーマンスは、多くのファンに支持されている。そんなMT-09が、デビュー10年目となる今年にビッグマイナーチェンジを敢行! 初代から続くコンセプトを継承しながら、これまでのモデルで欲しかったものをプラスして商品力を大きく高めた。

やはり気になるのは走りの部分で、エンジン性能はパワーもトルクも前モデルと変わらぬ数値を継承。フロントサスペンションのスタビリティを高めるため、インナースプリングのバネレートをアップさせて減衰特性をリセッティングしている。それに伴い、リヤサスペンションはリンクの設計を変更。トラクションフィーリングを向上させ、スロットルワークで車体姿勢や荷重をコントロールしやすくし、さらに操る楽しさが味わえるよう進化した。

フロント側サスペンションが安定したことでポジションも見直されており、ややハンドルは低く、ステップは後方上へ移動。フロントへ荷重しやすくすることで、より安定してコーナリングできるようになった。ハンドルが低くなるとタンクに干渉しそうだが、これは新造形のタンクを採用して逆に切れ角を片側4度アップ。取り回しもしやすくなり、細かな部分でも満足度を高めている。

旧モデルをベースにカスタムするより最先端の電子装備を誇る新型の方がオトク

エンジン性能が変わらないなら、旧モデルをベースにカスタムで性能を補うという楽しみ方がある。アフターパーツも豊富な人気車種なので、そういうユーザーも多いことだろう。ただ、先にお伝えした細かなハンドリングの熟成は、カスタムで達成するには相当なコストがかかる。電子装備に至っては後付け不可能な装備が多く、進化を求めるなら最初から新型を購入するのが得策といえるだろう。

特に電子装備で注目なのが、旧SPモデルにしか搭載されなかったクルーズコントロールシステムが標準装備されたこと。3速・40km/h以上で使用することができ、長距離ツーリングではかなり疲労軽減に貢献してくれる。定評のあるヤマハライドコントロールは、プリセット3種とカスタム2種からエンジン特性の選択が可能。YZF-R1譲りの6軸IMU(慣性計測装置)から演算される緻密な制御も進化しており、同じエンジンでも中身の進化は相当なものだ。スリッパークラッチが作動できない滑りやすい路面では、バックスリップレギュレーター(BSR)が介入して後輪ロックを回避。このような安全に直結する最先端の機能も、新型では見逃せないポイントといえる。

ちなみにクイックシフターは第3世代に進化しており、ウインカーの消し忘れをリカバリーする機能も搭載。スマホと連携してナビ画面も映せる5インチフルカラーTFTメーターは、4種のテーマから好みの画面を表示できる。このように使いやすさや便利さも向上した新型MT-09は、すべてにおいて旧型からの進化を達成。大きく変わらないように見えて、実は大幅に良くなった大満足なモデルといえるのだ。

ディテール解説

新デザインのLEDテールランプを採用。ハンドルスイッチも新設計で、多彩な機能を直感的に操作できるようになった。さり気なくミラー形状も見やすくスタイリッシュに進化している。
従来のバイファンクションLEDヘッドライトから、さらに小型で薄いLEDヘッドライトへ変更。LEDポジションランプと合わせ、個性的なクールフェイスを形成する。メーター裏が気になる人は、ちゃんとオプションパーツでカスタムが可能だ。
φ41mm倒立フロントフォークのインナースプリングを強化し、減衰特性をリセッティング。フロントのスタビリティをアップし、コーナリング性能を向上させた。高められた運動性能に合わせ、エンジンブラケットの剛性もアップしている。
ハンドルポジションが少し低くなり、切れ角も片側4度増えて操作性を向上。タンクは干渉しないようグラマラスな張り出しに再設計され、従来と同等の14Lの容量を確保する。天面には官能的な吸気サウンドを伝えるダクトが設けられる。
圧倒的なトルクと、軽さがもたらす自由自在なハンドリングを原点から見つめ直し、正常進化を遂げた新型MT-09 ABS。クルーズコントロールシステムを標準装備するなど、電子装備も充実。発売は4月12日で、ほかにブルー系と全身ブラック系の車体カラーを用意する。

主要諸元

MT-09
認定型式/原動機打刻型式:8BL-RN87J/N722E
全長/全幅/全高:2,090mm/820mm/1,145mm
シート高:825mm
軸間距離:1,430mm
最低地上高:140mm
車両重量:193kg
燃料消費率(*1):
 国土交通省届出値 定地燃費値(*2)…31.6km/L(60km/h)2名乗車時
 WMTCモード値(*3):21.1km/L(クラス3, サブクラス3-2)1名乗車時
原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列:直列, 3気筒
総排気量:888㎤
内径×行程:78.0mm×62.0mm
圧縮比:11.5:1
最高出力:88kW(120PS)/10,000r/min
最大トルク:93N・m(9.5kgf・m)/7,000r/min
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:3.50L
燃料タンク容量:14L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比/2次減速比:1.680/2.812 (79/47 X 45/16)
クラッチ形式:湿式, 多板
変速装置/変速方式:常時噛合式6速/リターン式
変速比:
 1速:2.571 
 2速:1.947 
 3速:1.619 
 4速:1.380 
 5速:1.190 
 6速:1.037
フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター/トレール:24°40′/108mm
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR17M/C(58W)(チューブレス)/ 180/55ZR17M/C (73W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプLED/LED
乗車定員:2名

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