ドゥカティ・パニガーレ V4S試乗|600km走ってわかったこと。「街では2速までで十分でした」

ドゥカティ・パニガーレ V4Sはズバリ、ドゥカティのフラッグシップモデルである。MotoGP 、あるいはワールドスーパーバイクシーンで活躍する本物のレーシングマシンに最も近いホットな存在なのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ドゥカティジャパン株式会社

※2020年11月29日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

ドゥカティ・パニガーレ V4S
コンパクトながら少し高い位置まで伸びたウインドスクリーン。フェアリングは、ライダーの快適性はもちろん、空気の流入排出を考慮したデザインでエンジンの冷却性向上にも寄与している。左右のブラックウイングは高速走行時にダウンフォースを働かせることで走行安定性を高めている。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
ゴールドのアウターチューブを持つ倒立式フロントフォークはφ43mmのオーリンズ製。電子制御式フルアジャスタブル仕様だ。ダブルディスクブレーキローターはφ330mm。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはブレンボ製対向4ピストンのモノブロックだ。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
少し見えているのは90°V型4気筒エンジンの後方バンク。前バンクは見えないがV字に挟まれた位置に吸気ファンネルがほぼ直立にレイアウトされている。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
横幅を抑えたスリムな90°横置きV型4気筒のデスモセディチ・ストラダーレ・エンジン。写真はいずれもV4Rの物で、左のエンジンには乾式クラッチが装着されている。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
アルミニウム合金製のメインフレーム。V4エンジンを両脇から抱え込むガッチリとワイドな造形が印象深い。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
路面スレスレに見えるマフラーレイアウト。ロードクリアランスは125mm。排気口は左右対称に二つある。後輪を避けるよう後方左右の地面に向けて排出される。エキゾーストパイプはシート下でとぐろを巻いている。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
リヤのモノショックもオーリンズ製の電子制御フルアジャスタブル。アルミ製スイングアームは左側片支持方式が採用されている。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
鍛造アルミニウム合金3本スポークのブラックホイールはマルケジー二製。φ245mmのディスクローターはほぼハブセンターに位置し、スポーク部はオフセットされたデザインになっている。装着タイヤはピレリ製ディアブロ・スーパーロッソSPだ。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
セパレートハンドルは、美しい加工美を魅せるアルミトップブリッジの下側にクリップオンされている。中の朱色が浮かび上がるスリット入りグリップラバーにも作り手のこだわりが感じられる。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
ハンドル左側スイッチは、左列下から順にホーン、ウインカー、モード切り替え&選択をするメニュー、ハザード、ディマー&パッシング。右列は各モード変更の中にあるパラメーターのレベル変更等に使うクィックセレクトスイッチ。上のボタンスイッチはDRL(デイタイムランニングライト)の自動と手動を切り替える。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
ハンドル右側スイッチは、上から順に赤いのがエンジンキルスイッチ。停止状態に下げると、その下にある丸い始動用セルスターターボタンがカバーされる仕組みになっている。下のボタンはDPL(ドゥカティ・パワー・ローンチ)用スイッチ。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
スッキリと長方形のTFT5インチフルカラーディスプレイ。その表示内容はTRACKとROADの2タイプが選択できる。回転計は目盛りが200rpm刻みのアナログ表示、デジタル式のスピードメーターは299Km/hまで表示できる。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
撮影車両は、シートカウルが装着されてシングルシート仕様になっていた。スエード調のシートはグリップの良い座り心地を提供する。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
後席部のセンターには小さな収納ボックスがあり、タンデム走行時に使用するハンドグリップ・ベルトを引き出すことができる。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
ステップまわりに採用された部品もひとつひとつが美しい。そのデザインセンスも魅力的である。もちろんクィックシフター付き。シフト方法は逆パターンにも対応する。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
サスペンション調節はメーター表示を見ながら左側のハンドルスイッチでコントロールできる。ステアリングダンパーも綺麗に装着されている。
ドゥカティ・パニガーレ V4S
LED式のテールランプ。ここでもデザインへのこだわりが半端ないことがわかるだろう。
ドゥカティ・パニガーレ V4S

主要諸元

全長×全幅(含むミラー)×全高:2110×734(805)×1132mm
シート高: 835 mm
ホイールベース: 1,469 mm
最低地上高:125mm
車両重量(乾燥):195kg(174kg)

エンジン形式:デスモセディチ・ストラダーレ、カウンター・ローテーティング・クランクシャフト、
エンジン種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ(4デスモドロミック・タイミング)
気筒数配列:90°V型4気筒
排気量:1,103 cc
ボア×ストローク:81 x 53.5 mm
圧縮比: 14.0:1
最高出力: 157.5kW(214ps)/13,000 rpm
最大トルク:124Nm (12.6 kgm) /10.000 rpm
燃料供給装置: 電子制御燃料噴射システム、ツイン・インジェクター、フルライド・バイ・ワイヤ、 楕円スロットルボディ、可変長インテークシステム
エグゾースト:4-2-1-2レイアウト、O2センサーx2、触媒コンバーターx2
ギアボックス:6速、ドゥカティ・クイックシフト (DQS)アップ/ダウンEVO 2
1次減速比: ストレートカットギア、減速比 1.800
減速比:
 1速 2.714(38/14)
 2速 2.118(36/17)
 3速 1.737(33/19)
 4速 1.524(32/21)
 5速 1.364(30/22)
 6速 1.250(30/24)
最終減速:チェーン 2.563(16/41)
クラッチ: 湿式多板、油圧式、セルフサーボ/スリッパー・クラッチ機構付
フレーム: アルミニウム合金(フロント/リヤサブフレーム)
ホイール(前/後):3.50-17 鍛造アルミニウム合金3本スポーク/ 6.00-17 鍛造アルミニウム合金 3本スポーク
タイヤ(前/後):120/70 ZR-17 ピレリ製、ディアブロ・スーパーコルサSP / 200/60 ZR-17 ピレリ製、ディアブロ・スーパーコルサSP
サスペンション(前/後):オーリンズ製NIX30 φ43mmTiNコート・ フルアジャスタブル倒立フォーク
電子制御Smart EC 2.0システム / アルミ片支持スイングアーム、オーリンズ製TTX36 フルアジャスタブル・モノショック、電子制御Smart EC 2.0システム
ホイールトラベル(前/後):120 mm / 130mm
ブレーキ(前/後):ブレンボ製4ピストン・ラジアルマウントStylema®(M4.30)モノブロックキャリパー、φ330mmセミフローティング・ダブルディスク、ボッシュ製コーナリングABS EVO /ブレンボ製2ピストン・キャリパー、φ245mmディスク、ボッシュ製コーナリングABS EVO
メーターパネル:5インチ・TFT高解像度&高輝度フルカラーディスプレイ

キャスター: 24.5°
トレール: 100 mm
ステアリング切れ角(左/右):26° / 26°
燃料タンク容量: 16L(予備4.5L含む)
乗車定員数:2名
燃料消費率:14.5km/L
ドゥカティ・パニガーレ V4S

⚫️試乗後の一言!

ドゥカティ・パニガーレ V4S
断然、周囲の注目を集めます。でも一線を引かれる感じも……。親しみやすいバイクではないと言う事でしょう。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…