インプレッション|身長153cmとYZF-R25の相性|フレンドリーさとスポーツ性能をあわせ持つ、懐の深さを体感!

ヤマハの250ccスポーツバイク、YZF-R25の足着き性は? 走りの印象は? 今回は、身長153cmの女性ライダー+厚底のライディングブーツによる足着き性と走行を交えてインプレッションをお届けする。
REPORT●伊藤英里(ITO Eri)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハYZF-R25……654,500円(消費税10%込み)

 現在の250ccクラススポーツバイクの隆盛は、2008年のニンジャ250Rに端を発している。そんな中にあってヤマハが2014年12月にリリースしたこのYZF-R25は「毎日乗れるスーパーバイク」をコンセプトとしていた。
 
 スポーツ性能に重きを置きすぎることのなかった250ccクラスのスポーツバイクは、しかし近年、メーカーによってその方向性を異にし始めている。たとえば、ホンダのCBR250RRやカワサキのNinja ZX-25Rは、スポーツライディングに寄った性能を持つバイクだと言えるだろう。その一方で、YZF-R25は一貫して扱いやすさを内奥するバイクだ。それは、2019年のマイナーチェンジを経ても変わらなかった。ヤマハのスーパースポーツバイク、YZF-R1を想起させるシャープな外観はそのマイナーチェンジで変更された部分だが、そんなスポーティな姿でありながらも、車体はコンパクトで乗り味のフレンドリーさは健在である。

鋭さを感じる表情。スポーツバイクらしい精悍さがある

 走りの印象については後述するとして、まずはライディングポジションや足着き性について触れていくことにしよう。2019年のマイナーチェンジによって、外観はスポーツバイクの印象を色濃くなった。ただ、一見すると小柄なライダーにとってはタンク回りにやや大きさを感じるかもしれない。実際のところ、筆者(身長153cm、体重42kg)がそうだったからだ。
 
 けれど、そんな不安はまたがってしまえば一掃されるもの。ライディングポジションをとると、153cmのライダーでもバイクに大きさを感じない。ライディングポジション自体も無理を強いないもので、スポーツバイクでありながら楽な姿勢をとることができるし、ハンドル位置やステップ位置に窮屈さは感じなかった。
 
 そして、何より足着き性が良好なのだ。小柄なライダーにとって、足着き性は気になるポイントに挙げる人も多いはず。YZF-R25はシート高が780mmと低めで、さらにエンジンが2気筒ということもあり、車体がスリム。そのおかげで、比較的素直に足を下ろすことができる。両足を着いて、親指の付け根まで着く状態だ。ある程度の踏ん張りもきく足着き性だと言える。また、シートの素材と形状が腰を滑らせやすくなっているため、腰をずらして片足をしっかり着きやすい点は高ポイントだ。

まあまあ力を入れられる程度には両足が着く。車体が軽いので、あまり足着きに神経質にはならなかった
ハンドルの高さやステップ位置は程よく、走っているときもラクなライディングポジション

 さて、走りについて触れていこう。YZF-R25は何より扱いやすいエンジンが魅力的だ。外見はとてもスポーティで鋭ささえ感じるというのに、アクセルを開けてみれば、走りのフレンドリーさに驚く。スロットルレスポンスは決して過敏ではない。しかし、かと言って物足りなさを感じるほどトルクが後から追いかけてくるわけでもない。ライディングポジションがややアップライト気味であることもあいまって、常に神経を尖らせて走る必要がなく、不要なストレスなしで乗ることができる。日常に溶け込めるスポーツバイクだと感じられる。
 
 そうかと思えば、スポーツライディングを楽しめる要素を持ってるのも、このバイクの特長と言えるだろう。170kgの軽量な車両重量は車体の動きも軽快で、ハンドリングも軽い。なにより、車体を倒しこんだときの一体感を感じられる。今回は高速道路やサーキットを走っていないので高速域のインプレッションはできないが、例えばツーリング先でのワインディングやサーキット走行会でも、楽しく走れるのではないかと感じられた。自分の手のひらに収まる、操れる安心感でもってバイクを楽しめる。それは、きっとスポーツライディングでも面白さを生むはずだ。

街乗りでも走りやすいのがポイント。日常生活になじむスポーツバイクだ

 総じてYZF-R25は懐の深いバイクだと感じられた。これからバイクを楽しみたいというライダーや、通勤や通学で使いつつ趣味でもスポーツライディングを楽しみたいというライダーなど、幅広い層にすっと寄り添ってくれるバイクではないだろうか。

エアインテークのMにはヤマハのMotoGPマシンYZR-M1を感じさせる
セルスイッチとキルスイッチが一体になっている。ハザードがついているのも利便性の点でうれしい
フロント、リヤともにシングルディスクブレーキ。タイヤはR25はバイアスで、兄弟モデルのYZF-R3はラジアルタイヤを履く。ABS標準装備
低身長の筆者にも程よい高さに感じられたステップ
シートは狭すぎない。また、腰をずらしやすかった

足着き性を高める厚底のライディングブーツを履いた場合……

 今回は、通常のライディングブーツのほかにWILD WINGの厚底ライディングブーツ『厚底ファルコンWWM-0001ATU』を履いた状態で足着き性と走行インプレッションを行ったので、そちらの足着き性もあわせてお伝えしたい。この1.7cmの厚底ブーツを履いてYZF-R25にまたがったところ、足着きの感覚自体については、あまり大きな差異はなかったというのが正直なところ。しかし、膝の曲がりに余裕ができ、その分、足に力を入れやすくなった印象だ。
 
 そこでまたがったままYZF-R25を動かしてみたところ、そのままバイクを移動させることができた。標準的な体格のライダーからは少し想像しづらいかもしれないが、小柄であまり筋力がない筆者の場合、またがったまま動かせるバイクといえば、原付二種のスクーターやミドルクラスのアメリカンタイプのバイクが限度だったのだ。厚底ブーツ効果がうかがえる。
 
 走行の際にも厚底のライディングブーツで走ってみたので、その印象も加えたい。操作性について大きな不安はなかった。少なくとも街中の走りでは、ギヤチェンジの際に遅れをとることもない。ただ、リヤのブレーキペダルについては高さの調整が必要だろう。その調整さえしてしまえば、操作に問題はないだろうと感じた。なにより、不意に足をついたときの安心感はかなり大きい。段差や坂道、未舗装路なども、あまり緊張感なく走ることができそうだ。足着き性向上の選択肢として、厚底のライディングブーツを履く、という選択肢もアリだと感じた。

写真で見ると、はっきりわかるほど足着きがよくなっている。「足が着く」と思えるだけで、安心感が違う
WILD WING『厚底ファルコンWWM-0001ATU』

主要諸元

全長/全幅/全高:2,090mm/730mm/1,140mm
シート高:780mm
軸間距離:1,380mm
最低地上高:160mm
車両重量:170kg
エンジン:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ 直列2気筒
総排気量:249cm3
内径×行程:60.0mm×44.1mm
圧縮比:11.6:1
最高出力:26kW(35PS)/12,000r/min
最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/10,000r/min
燃料タンク容量:14L
タイヤサイズ(前/後):110/70-17M/C(54S)(チューブレス)/140/70-17M/C(66S)(チューブレス)
制動装置形式(前/後):油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ

メーカー希望小売価格:654,500円(消費税10%込み)

著者プロフィール

伊藤英里 近影

伊藤英里