レブル1100が人気の理由|装備や質感を考えると、1100cc/121万円は激安、爆安!

ホンダレブル1100
ルックスは現代の流行を取り入れた、ボバーテイストのクルーザー。ただしレブル1100は、スポーツライディングが楽しめるバイクなのだ。基本的なキャラクターは、すでに市場で好評を得ている弟分と似ているものの、アフリカツイン譲りのパラレルツインを搭載する長兄は、弟分とは一線を画する上質さを獲得していた。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)/山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ・レブル1100DCT……1,210,000円

弟分に通じるボバースタイルでありながら、1100はマッチョな印象。なお250/500のタイヤが前後16インチだったのに対して、1100はフロント18/リア16インチを採用。
ヘッドパイプと後輪を1本のラインで結ぶことを意識したダイヤモンドタイプのフレームは専用設計で、メイン部にはφ35mm鋼管を使用。1520mmの軸間距離は、近年の大排気量クルーザーでは短めの部類だ。

納車半年待ちは当たり前

 2020年秋の発表以来、世界中の多くのライダーから注目を集め、今現在(2021年9月)の日本では、納車半年待ちが当たり前と言われているレブル1100。もっとも納車が遅れている背景には、コロナ禍で生産が滞っているという事情もあるのだが、ホンダ初にして日本車初となる大排気量パラレルツインクルーザーは、とりあえず、かなり好調なスタートを切ったと言っていいだろう。

 そんなレブル1100に対する僕の印象は、いいところを突いているなあ……である。その印象は、2017年に初試乗したレブル250/500も同様だったのだけれど、シリーズの長兄は弟分に輪をかけてグッと来る要素が満載。誤解を恐れずに言うなら、このバイクは売れて当然と言いたくなるほど、いろいろな意味で魅力的なのだ。

ライバル勢や弟分との差異

 レブル1100の魅力を語るうえで欠かせない要素と言ったら、僕が1番に挙げたいのは価格である。いきなりそんな話から入るのは我ながらどうかと思うもものの、ハーレーダビッドソンの新旧スポーツスターやインディアン・スカウトシリーズ、ドゥカティ・ディアベルなど、他社の1000~1300ccクルーザーの価格が150~250万円近辺であるのに対して、レブル1100は、MT:110万円、DCT:121万円。現代的な電子制御(ライディングモードは3+1種類で、トラコンとエンブレの利きは任意で調整することが可能)を導入していることや、グリップヒーターとETC2.0を標準装備することを考えると、レブル1100の価格は相当にフレンドリーだと思う。

 価格に続くレブル1100の魅力は、車格の小ささと車重の軽さ。弟分と比べれば大柄でも、1000~1300ccクルーザーの基準で考えるなら、1520mmの軸間距離は短い部類だし、223/233kgの車重は既存のライバル勢より20~30kgほど軽い。ちなみに弟分+10mmとなる700mmのシート高は、ライバル勢と比べて極端に低いわけではないけれど、他媒体の記事を見ると、身長150cm台のライダーでも足つき性に大きな不満は感じないようだ。

 なお弟分との差異という見方をするなら、質感の高さもレブル1100の魅力である。などと書くと弟分の質感が低いみたいだが、フランジレスのガソリンタンクやクロノグラフを思わせる多機能デジタルメーター、2ピースアウター+チタンコートインナーのφ43mmフォーク、リザーバータンク付きリアショック、ラジアルマウント式のフロントブレーキキャリパーなどを見ると、やっぱり長兄はお金がかかっているのだなとしみじみ思う。いずれにしてもこの質感であれば、価格が150~250万円のライバル車に対して、ヒケ目を感じることは無いだろう。

スポーツライディングが楽しい

 さて、長々と分析的な話を記してしまったが、僕がレブル1100を試乗して最も感心したのはスポーティな特性である。この件に関してはちょっと説明が必要で、まず世の中には“クルーザーは重ったるくて、スポーツライディングが楽しめない”と言う人が少なからず存在するけれど、僕自身はどんなクルーザーでもスポーツライディングは楽しめると思っている。もちろん車両に応じたアジャストは必要だが、重くて長い車両なら、その特性に応じたスポーツライディングの楽しみ方はあるのだ。

 とはいえレブル1100の場合は、アジャストがほとんど必要ないのである。いや、ほとんどかどうかは乗り手の意識次第だが、僕の場合はオーソドックなネイキッドに近い感触でスポーツライディングが楽しめた。中でも特筆したくなるのはフロントまわりの挙動で、130/70-18という前輪サイズや28度というキャスター角からは、何となく曲がらなさそうな気配を感じるけれど、絶妙のライポジや重量配分、トレールの最適化を図るスランテッドアングルなどが功を奏しているようで、実際のハンドリングは至って軽快。市街地での右左折は言うまでもなく、コーナリングやUターンもスイスイこなせる。また、クルーザーにしてはバンク角が深くてステップをなかなか擦らないことも、僕にとっては嬉しい要素だった。

 それに加えて、ここぞという場面でスロットルを開けた際の濃厚なトラクションも、乗り手のスポーツマインドを刺激する要素である。と言っても、CRF1100Lアフリカツインから譲り受けた270度クランクのパラレルツインは、もともとトラクションについては秀逸な資質を備えていたのだけれど、フライホイールマスを増やすと同時に、バルブタイミングや吸排気系などを刷新したレブル1100のエンジンは、常用域でリアまわりから伝わる主張が明らかに強くなっている。ただし冷静にキャラクターを観察すると、マッタリ巡航はそんなに楽しくないのだが、その一方で加減速はすこぶる楽しいので、僕としては現状の特性に異論を述べたいとは思わなかった。

カスタムを楽しむ余地が存在

 さて、そんなわけでレブル1100に好感触を抱いた僕だが、だからと言ってこのバイクがすべてにおいてパーフェエクトなのかと言うと、そういうわけではない。外観はカッコよくてもリアショックの凹凸吸収性はいまひとつだったし、地味目のカラーリングやハンドルの微妙な遠さ、積載性能の低さ、マフラーの仕上げの甘さ(音質はなかなか心地いいのだが、試乗車は溶接部に錆びが発生していた)などに、不満を持つ人もいるはずだ。

 まあでも、その事実は裏を返せば、オーナーがカスタムを楽しむ余地が存在するということ。改めて考えると、近年のクルーザー界ではカスタムの可能性が重要なテーマになっているので、おそらくレブル1100の開発陣も、そのあたりを多少なりとも意識しているのだろう。

ディティール解説

φ175mmのヘッドライトは4灯式LEDで、左右に導光セクションを設置。φ43mmフォークのインナチューブにはチタンコートが施される。
テーパータイプのセミアップハンドルはスポーツライディングに適した形状だが、一般的な日本人の体格だともう少し絞り角が欲しいかもしれない。バックミラーの視認性はなかなか良好。
反転液晶メーターはクロノグラフを意識してデザイン。バーグラフ式燃料計の下には、パワーやトラクション、エンブレなどのモードを表示。
サドルタイプのシートはルックス重視という印象で、厚みはそれなりに確保されているものの、長距離では尻が痛くなりそう。荷掛けフックの類は一切備わっていない。
250/500のシートがボルト留めだったのに対して、1100はキーによる開閉が可能で、下部には容量3Lの収納スペースを確保。ETC2.0ユニットとUSB電源を標準装備。
ホンダ独自のユニカムを採用するOHC4バルブ並列2気筒エンジンは、CRF1100Lアフリカツイン用がベース。DCT車は右クランケースカバーの張り出しがかなり大きい。
フロントフォークのアウターチューブはアルミ展伸材+鋳造材の2ピース構造。フロントブレーキはφ330mmディスク+ラジアルマウント式4ピストンキャリパー。
リアショックはスポーティな雰囲気だが、動きはあまり上質ではなかった。スイングアームはφ50.8mmの丸パイプで、ドライブチェーンプレートは量産車では珍しいブラック。
 
Y字5本スポークの前後ホイールは専用設計で、タイヤサイズはかなり特殊なフロント130/70B18・リヤ180/65B16。リアブレーキはφ256mmディスク+片押し式1ピストンキャリパー。
 

主要諸元

車名:レブル1100 DCT
型式:8BL-SC83
全長×全幅×全高:2240mm×850mm×1115mm
軸間距離:1520mm
最低地上高:120mm
シート高:700mm
キャスター/トレール:28°/110mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列2気筒/OHC 4バルブ
総排気量:1082cc
内径×行程:92.0mm×81.4mm
圧縮比:10.1 
最高出力:64kW(87PS)/7000rpm
最大トルク:98N・m(10.0kgf・m)/6500rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:フルトランジスタ点火
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ
 1速:2.562
 2速:1.761
 3速:1.375
 4速:1.133
 5速:0.972
 6速:0.882
1・2次減速比:1.863・2.625
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式前:テレスコピック正立式φ43mm
懸架方式後:スイングアーム・ツインショック
タイヤサイズ前後:130/70B18 180/65B16
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
車両重量:233kg
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:13L
乗車定員:2名
燃料消費率国交省届出値:31.5km/L(2名乗車時)
燃料消費率WMTCモード値・クラス3-2:18.7km/L(1名乗車時)

著者プロフィール

中村友彦 近影

中村友彦

1996~2003年にバイカーズステーション誌に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。1900年代初頭の旧車…