YECVTとは何か?スクーターに“意思”を与える電子制御CVT


YECVT(Yamaha Electric Continuously Variable Transmission)は、従来の遠心力任せのCVTとは異なり、モーター制御によってプーリーの動きを積極的にコントロールする機構だ。
一般的なCVTは、車速や負荷に応じて“自動的に”変速比が決まる。対してYECVTは、ライダーの操作や走行状況をセンサーで検知し、電子制御で変速比を能動的に調整する。
つまり、「どう走りたいか」に応じて駆動力を作り出せるのが最大の特徴だ。
具体的には以下の機能を持つ。
・シフトダウン機能(最大3段階)
・走行モード(T/S)の切り替え
・スロットル操作に連動した自動介入

シフトスイッチを押せば、CVTでありながら“ギヤを落とした感覚”を再現。
エンブレを効かせてコーナーに進入したり、追い越しで一気に加速したりと、これまでのスクーターでは難しかった操作が可能になる。
開発側の説明でも、「機械式CVTでは難しかったリニアな加減速を実現し、MT車のような走行体験を得られる」とされている。

なぜ155に採用されたのか?“一番楽しめる排気量”という答え

YECVTが最初に搭載されたのはNMAX155。
これは単なる上位モデル優遇ではなく、「一番体感しやすい排気量」という明確な理由がある。
155ccクラスは、日常域の速度レンジでエンジン回転の変化幅がちょうどよく、シフトダウンによる回転上昇(約700rpm変化)が体感しやすい。
つまり、“操作した分だけ走りが変わる”感覚が最も分かりやすいクラスなのだ。
さらに、高速道路も走れる余裕あるパワーがあるからこそ、モード切替やシフトダウンの価値がより際立つ。
このあたりは、実際の試乗コメントが非常にリアルだ。


【対談】YECVTって実際どうなの?有識者2人の本音

TESTER
中村友彦
二輪メディア業界29年目のフリーランス。NMAXはシリーズ歴代全モデルを経験している。

TESTER
ケニー佐川
国内外、多種多様なバイク試乗記を寄稿するベテラン二輪ジャーナリスト。二種スクも好き!

ここからは実際にNMAX155を試乗した、ケニー佐川氏と中村友彦氏によるトークを掲載する。
【佐川】さて話題のYECVTですが、第一印象はいかがでしたか?
【中村】電気的にプーリーを制御するってどんな感じかと思ったけど、乗ってみるととても自然。コーナー進入時の減速でも安定感を出せて、ヘアピン立ち上がりでも加速力が増す感じ。すごく良いなと。
【佐川】同感。ミッション付きのバイク的なエンブレの効きや、追い越しで急加速したいときに一段落としする感じをミッションでなくプーリーでやっているところが凄い。しかもクラッチ操作も必要なく「シフトスイッチ」をワンプッシュするだけ。
【中村】走行モードも便利。たとえば通勤でも朝の時間帯は穏やかなTモードで燃費走行、夜に道が空いていたらしゃきっと走れるSモードで楽しむとか、日常でも簡単に使い分けもできる。久々に新しいワクワクする機構だなと。
【佐川】155ならではの価値と言うか、走りに幅ができる。125にもシンプルな良さがあると思うけれど、よりパワフルで高速道路にも乗れる155に走行モード+YECVTが付いたパッケージは最強だね。
【中村】ところで走行モードの「T」と「S」ではYECVTの効き方は変わりましたか?
【佐川】Tモードはパワーの出方と同じくYECVTを使ったときのエンブレの効きも穏やかに感じた。それがSモードでは回転数が上がってより強くエンブレがかかるようになる。同様に加速時にシフトスイッチを押したときも、Sのほうが低いギヤを使っている感じで強い加速が得られた。また、スイッチを押さなくても急加速時には自動的にYECVTが作動していましたね。
【中村】メーター内でインジケーターランプが点滅するから分かりやすいですよね。ただ3段階もいらないと思った。操作が忙しくなるし、それほどシビアな加減速がいつも必要なわけでもないし。とはいえYECVTは125にあっても絶対面白いと思う。コストのことがあるなら、ノーマルとYECVT仕様を作ればいい。そういう選択肢もありかな。
【佐川】そうだよね。たとえば+3万円ぐらいで155と同じ機能が付くなら僕はそちらを買うと思う。
【中村】125でバリバリカスタムしている人もいるわけだし。いずれにしてもスクーターでもスポーティに乗れるという選択肢が増えたことは良いことだと思います。

結論:YECVTは“スクーターの次の一手”
今回のNMAX155で明確になったのは、YECVTが単なる新機構ではなく、“スクーターのキャラクターを変える技術”だということ。
エンブレを使って減速し、シフト感覚で加速を引き出し、モードで性格が変わる。
これまで“ラクさ”が中心だったスクーターに、「操る楽しさ」が明確に加わった。
そしてこの流れは、エアロックス155へと広がっていく。
さらに125クラスへの展開を望む声もすでに出ている。
スクーターの新時代到来。
そう感じさせるだけの説得力が、YECVTにはある。



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