【試乗記】ドゥカティから30年ぶりのシングルエンジン|ハイパーモタード698モノは走り以外の要素を削ぎ落としたピュアマシンである。

ドゥカティのハイパーモタードシリーズに、659ccの単気筒エンジンを搭載した「698モノ」が仲間入りした。同社の現行ラインナップにおける最小排気量モデルであり、シングルエンジンの誕生はおよそ30年ぶりとなる。モンスターのベーシックモデルよりも高価なこの新型車を、茂原ツインサーキットで試乗した。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

マルゾッキ製のφ45mm倒立式フロントフォークはフルアジャスタブルで、重量は8.1kg。ブラケットは上下ともアルミ製だ。Y字型5本スポークのアルミキャストホイールは、同様のワイヤースポークホイールよりも0.5kg軽いという。フロントブレーキはシングルディスクで、ディスク径はパニガーレV4と同じφ330mm。ディスクハブはブレンボが698モノ用に開発したアルミ製で、スチール製よりも17%軽量になるという。キャリパーはブレンボのM4.32だ。
ハイパーモタード950/RVE/SPのスイングアームが片持ち式なのに対し、698モノは鋳造アルミ製の両持ち式を採用。単体重量は3.9kgで、軸間距離は572mmだ。標準装着タイヤはピレリ・ディアブロロッソ4で、リヤには160/60ZR17をチョイス。
リヤショックはザックス製で、これにプログレッシブリンクを組み合わせる。
今回の試乗車には純正アクセサリーのクイックシフターが装着されていた。上位モデルの698モノRVEでは標準装備となる。
特徴的なツインサイレンサーを採用。
テーパータイプのハンドルバーはアルミ製で、可変セクションを備えており、2つのポジションが選択可能だ。電子制御スロットルを採用。
さまざまな機能の設定は左側にあるスイッチ群で行う。左右ともマスターシリンダーはブレンボ製だ。
3.8インチLCDディスプレイは、ナンバープレートホルダーと一体化されている。車体にはボッシュ製の6軸IMUが組み込まれており、パワーモード、スライド・バイ・ブレーキ機能付きコーナリングABS、ウィリーコントロール、エンブレコントロール、トラコン、パワーローンチなどの機能に情報が生かされている。
ライダーの着座位置の自由度を優先したフラットかつ幅の狭いシート。
シートはグロメットで固定されている。なお、STDモデルのシートレールはシルバーで、RVEバージョンはメインフレームがブラック、シートレールがレッドとなる。
DRLが組み込まれたヘッドライト。

ドゥカティ ハイパーモタード698モノ 主要諸元

全幅(mm):807mm(ハンドルバー)
ホイールベース(mm):1,443
車両重量(kg):151(装備、ガソリンなし)
最低地上高(mm):143
シート高(mm):904(日本仕様:864)
キャスター(度):26.1°
トレール(mm):108
エンジン形式:水冷単気筒4バルブ
バルブ駆動方式:DOHC
排気量(cc):659
ボア/ストローク(mm):116/62.4
圧縮比:13.1:1
最高出力(kW):57(77.5ps)/9,750rpm
最大トルク(Nm):63/8,000rpm
バッテリー:リチウムイオン
トランスミッション:6速(クイックシフト対応)
フューエルタンク容量(L):12
燃費(km/L):20.4
タイヤ(前/後):120/70ZR17/160/60ZR17
ホイール(前/後):キャスト/キャスト
ブレーキ(前/後):ブレンボ製シングル・フロントディスク330mm径/ブレンボ製シングルディスク245mm径
乗車定員(名):2

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…