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エンジンオイルの重要性は誰でも知っていると思うが、空冷エンジンは特にシビアな管理が必要になる。クーラントをラジエターで冷やす水冷エンジンと違い、空冷エンジンはオイルだけで冷却するためオイルの劣化はエンジンのコンディションを大きく左右する。例えばスーパーカブ110の場合、エンジンオイルの交換サイクルは3000キロごとと定められている。だが、夏場や高回転を連続使用したような場合は、さらに早いサイクルで交換したい。と言うのもエンジンオイルは油温が120度を超えると一気に劣化が進み、必要な潤滑性能が維持できなくなるからだ。ノーマルエンジンはもちろんのこと、ボアアップしているような場合はさらに早いサイクルでの交換が必要だ。
そこで装着したいのがオイルクーラー。走行風でオイルを冷却できるため、油温の上昇を抑えてくれるパーツだ。油温が上がらなければオイル交換サイクルも長くすることができるし、何よりエンジンのトラブルを回避できる。今回はユーチューブで無料動画を公開している「モトチャンプTV」のなかから「スーパーカブにオイルクーラーが必要な理由、教えます!」という回をダイジェストにまとめて、オイルクーラーの装着方法を紹介したい。
純正オイルフィルターを外す
今回装着するのはSP武川から発売されているコンパクトクールキット。オイルクーラーだけでなくエンジン側に装着するオイル取り出し口やバンジョーボルト、ホースなどがセットになった商品。オイルクーラー本体は3フィン仕様と4フィン仕様がラインナップされているが、今回は3フィンを使用する。装着するにはレッグシールドが付いた状態でも可能だが、作業性を良くするためレッグシールドを取り外すのがベター。
フロントカバーやセンターカバーを外したら7本のボルトを抜いてレッグシールドを上へ押し上げるようにして取り外す。その際、ヘッドライトケースやサイドカバー周辺などに養生テープを貼っておくと、レッグシールドを外す時のキズ防止になる。
エンジン右のクランクケース前下に2本のボルトでオイルフィルターカバーが固定されている。ここを取り外すのだが、ブレーキペダルが邪魔して工具が使えないこともある。その場合はリヤブレーキ側の調整ナットを緩めてあげるとブレーキペダルが十分に下がるようになる。ボルトを2本抜けばカバーは外せるが、この時エンジンオイルが垂れてくるので下に受け皿を用意しておこう。
カバーを外すと内部にオイルフィルターと固定用のスプリングが収まっている。今回のキットではスプリングは使わないので保管しておき、古いオイルフィルターを抜き出しておく。垂れたオイルでブレーキペダルが汚れるため、作業後に拭き取ることを忘れずに。
オイルクーラーユニットを装着
キットに付属しているオイル取り出し口が設けられたオイルクーラーユニットを使用するので、純正のオイルフィルターカバーは保管しておく。オイルクーラーユニットにOリングをはめるが、この時Oリングにエンジンオイルを塗っておくことを忘れずに。
やはりキットに付属しているオイルフィルターを差し入れ、古いフィルターは処分しておく。フィルターの向きは気にしなくても良い。エンジン側へ入れる時もブレーキペダルは手で押し下げておくと作業しやすい。
オイルフィルターの穴へオイルクーラーユニットの突き出し部分を差し入れてエンジン側に押し込む。Oリングの反力で若干力を入れて押し込むことになる。その後、キットに付属しているボルトを規定トルクで締め込む。
フィッティングパーツを装着
キットに付属しているバンジョーボルトをオイルクーラー側に取り付ける。バンジョーの上下にシーリングワッシャーを用意してボルトで挟み込むようにして仮留めする。その後、オイルクーラーの上にある取り出し口へ装着しよう。ここも手で回せる範囲の仮留めで構わない。
シリンダーヘッド下にあるアジャスティングホールカバーを取り外して、ここへオイルクーラーを固定するためのステーを取り付ける。アジャスティングホールカバーを外すとオイルが垂れてくることがあるが、今回はほぼ垂れなかった。
キットに付属しているステーをアジャスティングホールカバーと合わせて、これもキットに付属しているボルトを通してエンジン側へ戻す。ここは規定トルクで締め込むこと。
オイルクーラー本体にブラケットを取り付けるブラケット用のステーを組み立てる。L字ステーにゴムを差し入れ、上から丸いステーを差し込む。この状態でオイルクーラーのバンジョーボルト内側にある穴へブラケット用ステーを固定する。L字ステーが内側へ向くようにしておく。
ブラケットステーを取り付けたオイルクーラーは、アジャスティングホールカバーに取り付けたステーと合わせて固定する。ここにもキットに付属している専用ボルトとフランジナットを使って装着する。オイルクーラーが真下を向いた状態で規定トルクで締め込もう。
スリムラインホースを接続
オイルクーラーだけでなくエンジン側の取り出し口にバンジョーボルトを仮留めしたら、いよいよスリムラインホースを接続する。ホース先端のナット状パーツはバンジョーボルトへ手で回して仮留めすることができる。ホースの取り回しを考えながら作業しよう。
スリムラインホースを2本とも接続したら一度レッグシールドを戻してホースなどと干渉していないか確認する。干渉する個所があればホースの取り回しを変更したりレッグシールドから逃がすように調整する。
ホースの調整が済んだらレッグシールドをもう一度外してバンジョーボルトとスリムラインホースを本締めする。締め込むときにボルトやホースは動いてしまうので、必ず手で動かないように固定して工具を使って締め込むこと。エンジン側の取り出し口は左側のボルトとホースを締め込んでからでないと右側を締め込むことができなくなるので、順番を必ず守って作業しよう。
エンジン側を本締めしたらオイルクーラー側も本締めする。規定トルクはSP武川の説明書に記載されているので、必ずトルクレンチを使用して締め込むこと。
レッグシールドやフロント&センターカバーを戻したら作業は完了だ。ホースの取り回しは上写真のようになったが、これは決まりがあるわけでない。自分好みの取り回しを工夫して「見せる」演出を行うことも楽しそうだ。