名門「BITO R&D」が伝説の空冷6気筒マシン・ホンダCBX1000を現代車レベルにチューニング【東京モーターサイクルショー2025】

ホンダCBX1000に搭載された空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブ1,047ccエンジン。写真のコンプリートマシンはJP-POWER/CPのピストン等で1,130ccにボアアップ。
2025年3月28日(金)~30日(日)の3日間、東京ビッグサイトにて開催された国内最大級のモーターサイクルイベント「第52回 東京モーターサイクルショー」。バイクパーツブランド『JB-POWER』を展開する「BITO R&D(ビトーアールアンドディー)」は、一世を風靡したホンダの6気筒マシン・CBX1000(正式名称はCBX)のコンプリートマシンを展示。JB-POWERのフルチタン集合マフラーや強靭な足周りなど、現行モデルの走行レベルに匹敵する高度なチューニングが随所に実施されている。
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
BITO R&D(ビトーアールアンドディー) http://www.jb-power.co.jp/

ホンダ CBX1000 BITO R&Dコンプリート

ホンダCBX1000のエンジンは空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブで排気量は1,047cc。写真のコンプリートマシンはJP-POWER/CPのピストンで1,130ccにボアアップ。
フロントフォークはカヤバ製正立型をベースに、インナーチューブのゴールドコーティング加工などJP-POWERチューンを実施。リアショックもカヤバ製リザーブタンク付きツイン型をベースにチューニング済み。
JP-POWERのフルチタン集合マフラーを採用。大幅な軽量化、手曲げによるエキゾーストパイプの曲線美、高い溶接技術で製作したコネクター(集合部)、独自の内径(Φ63.5)により、低速から高速まで優れた排気効率を実現。
集合マフラーはフルチタンならではの甲高くてスポーティーなサウンドを発揮。スロットルを煽ると心地よい音質を奏でてくれる。
「BITO R&D(ビトーアールアンドディー)」ブースには、JP-POWERのマグネシウムホイールなど、各種パーツが展示された。

兵庫県豊岡市にある「BITO R&D(ビトーアールアンドディー)」は、高性能バイクパーツブランド『JB-POWER』、各種バイクチューニング&カスタム、コンプリートマシンの製作等を展開。

代表の美藤氏は、アメリカでパーツメーカー・ヨシムラジャパンのレーシングメカニック&チューナー、またレーサーとしても活躍。またアメリカホンダの世界GP500ccクラス・NS500のメンバーとして、片山敬済氏のメカニックを務めたことでも有名だ。

写真はBITO R&Dが手掛けた、ホンダが誇る伝説の空冷4スト6気筒モデル・CBX1000(正式名称はCBX)のコンプリートマシン。主要外装パーツには純正品を使用。ノーマルのイメージを残しつつ、JP-POWERのカスタムパーツをメインに、現行モデルのレベルに匹敵する強靭なフレームや足周りにチューニングされている。

ホンダCBX1000のエンジンは、空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブで排気量は1,047cc。写真のコンプリートマシンはJP-POWER/CPのピストンなどで1,130ccにボアアップ。圧縮比は11.5:1に設定。車両重量は227kgまで軽量化。

主要スペック

●ENGINE
シリンダーヘッドJP-POWER
ピストンJP-POWER/CP
コンロッドJP-POWER/CARRILLO
キャブレターJP-POWER/KEIHIN FCR Φ33
エアファンネルJP-POWER
ポイントカバーJP-POWER
マフラーJP-POWER
●FRAME
フレームJP-POWER
エンジンマウント/マウントボルトJP-POWER
スイングアームJP-POWER
F/RアクスルシャフトJP-POWER
F/RアクスルナットJP-POWER
レーシングスタンドフックJP-POWER
FブレーキディスクJP-POWER
FブレーキキャリパーJP-POWER
FキャリパーブラケットJP-POWER
FブレーキマスターAP-RACING
スロットルホルダー&ワイヤーセットJP-POWER
ブレーキホースGOODRIDGE
RブレーキキットJP-POWER
オイルクーラーJP-POWER/EARL’S
ミラーホルダーJP-POWER
ヘッドライトステーJP-POWER
タンデムステップJP-POWER
フォークブリッジJP-POWER
ライディングステップJP-POWER
オイルキャッチタンクJP-POWER
ホーンステーJP-POWER
ウインカーステーJP-POWER
●EXTRAS
フロントフォークJP-POWER/KYB
ピボットシャフトJP-POWER
リアショックJP-POWER/KYB
ホイールJP-POWER
タイヤDUNROP
フロントフェンダーJP-POWER
フェンダーブラケットJP-POWER
ナンバープレートホルダーJP-POWER
ハンドルJP-POWER
バーエンドJP-POWER
シートJP-POWER
メーターケーブルJP-POWER
フロント周りは18インチマグネシウムホイール、フロントディスクキャリパー、キャリパーサポート、フロントディスクローターなど、すべてJP-POWERのパーツで構成。
ハンドル、ヘッドライトステー、ウインカーステーなどはPOWERのパーツでカスタマイズ。
アルミ削り出しのマウントを駆使してエンジンを固定。マウントの前部にはオイルクーラーをレイアウト。
吸気系は燃料噴射ポンプを装備する、生粋の4ストローク用レーシングキャブレター・ケイヒンFCRΦ33を選択。
吸気孔には空気の吸入性に優れたエアファンネル(ゴミ等の吸入を防ぐネット付き)を採用。
こちらはJP-POWER&ケイヒンCRSΦ31のCBX1000用6連キャブレター。
BITO R&Dのエンブレムを配したフルチタン集合マフラーの大型サイレンサー部。エキゾーストパイプとサイレンサーの接続には耐震性に優れたスプリングフックを導入。

ホンダ CBX1000 ※正式なモデル名はCBX

1979年に発売されたホンダCBX1000。エンジンは空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブを搭載。排気量は1047cc。最高出力は105ps/9000rpm、最高トルクは8.6kg-m/8000rpm。ミッションは5速リターン。
Honda CB Series 60th Anniv. Special Movie 1979 CBX
Honda Collection Hall 収蔵車両走行ビデオ CBX(1979年)

CBX1000はホンダ250ワークス「RC166」のレーシングスピリッツを継承

ホンダCBX1000(正式なモデル名はCBX)は、1979年(昭和54年)に登場。空冷4ストローク車としての“究極の姿”を追求した、GPレーサーと同様の空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載。排気量は1047cc。最高出力は105ps/9000rpm、最高トルクは8.6kg-m/8000rpm。ミッションは5速リターン。CBX1000の6気筒エンジンの存在感があまりにも大きく、発売当時は一部で「車体にエンジンを搭載」ではなく、「エンジンに車体を搭載」とも言われた。

CBX1000の原点は、1964年から投入されたGP250ccクラスのホンダワークスマシン、「3RC164」「RC165」「RC166」。2RC164は4気筒だったが、ヤマハの2スト勢に対抗すべく、6気筒の3RC164を投入。その後、6気筒ワークスマシンはRC165やRC166へと進化した。

1966年、RC166は世界GPで10戦全勝、マン島TTで優勝という圧倒的な強さを誇り、1967年も世界GPでタイトルを獲得。その後、強すぎる6気筒はレギュレーションで禁止となった。

GP250ccクラスのホンダワークスマシン、RC166。空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブ249.42ccエンジン搭載。最高出力:オーバー60ps / 18,000rpm 最高速度:オーバー240km/h 車両重量:112kg 変速機:7段変速

圧倒的な強さを誇ったワークスマシン「RC166」の血統を受け継ぐ、“隠れたレーサーレプリカ”とも呼ぶべきCBX1000は、1978年(昭和53年)にリリースされた、水冷4ストローク並列6気筒DOHC 2バルブ1286ccエンジン搭載のカワサキZ1300と同様、“市販車では珍しい、ド迫力の6気筒エンジン車”として現在でもリスペクト。程度の良い車両は、超お宝モデルとして非常に高額な値段で取引されている。

CBX1000は欧米で販売。アメリカ仕様は大型ハンドルを装備したアップライトなポジション。ヨーロッパ仕様はハンドル位置が低く、ステップ位置を後退させた“ヨーロピアンスタイル”に設定。1981年(昭和56年)はカウルを装備するなど、ツアラーモデルとして発売された。

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