原付二種界のストリートファイター的存在!? F.Bモンディアル・ピエガ125ABS|試乗記

イタリアのバイクメーカー モンディアルでは、125㏄モデルを中心にオンロードからオフロードまで多彩なラインナップを揃えています。それらの中でもっとも現代的なスタイリングデザイン、機能を有しているのがピエガ125です。日本国内では原付2種カテゴリーのモデルなのでストリートユースがメインとなりますが、果たして原2ストリートファイター的なスポーツ性を見せてくれるのでしょうか?

写真:徳永茂
協力:(株)アイビーエス https://fbmondial.jp/index.html
金城IVY RACING https://ivyracing.jp/

アグレッシブで現代的なスタイリングは若いユーザーを惹きつけるはず

新生モンディアルが送り出すモデルはどれも個性的なデザインが目を引くが、全体としてややクラシカルなイメージを持たせている印象です。ところがピエガ125に限っては、現代的なストリートファイターといったスタイルを構築しています。メインフレームまでもカバーしたシャープなボディワークにはフロントウイングが装備、ショートマフラーなどでマスの集中化を図った設計、スポーティな足回りなど、走り屋心を刺激するスタイリング、装備となっています。なにしろピエガ125は、スズキの新型カタナのデザイナーでもあるイタリアのロドルフォ・フラスコーリ氏によってデザインされているのです。
同カテゴリーには、ベネリ125Sがありますし、ヤマハMT-125、KTM DUKE125も直接のライバルとなりそうです。エンジンパワーではMT-125、DUKE125にわずかに及びませんが、ストリートユースで考えれば大差なく、同等のパフォーマンスを発揮するはずです。

F.Bモンディアル・ピエガ125ABS……536,800円(消費税込)

アップライトなポジションで原付二種ながら窮屈さはまったくない

ストリートファイターらしくフラットなセミアップハンドルが装備されています。シートに跨りハンドルに手を添えてみると、コンパクトなボディのおかげでアップライトな上体を生んでくれます。このポジションならストリートだけじゃなくツーリングにも十分に対応してくれます。
シート高は820㎜で、原付二種クラスのバイクとしては高めです。しかしボディがスリムで、車重も135㎏と軽量なので小柄なライダーにも不安なく扱えると思います。シートはショートタイプなので着座位置の自由度はあまりないのですが、お尻の収まりが良くニーグリップ性が良いのでマシンとの一体感が得やすいと感じました。
シート高は820㎜ながら、軽量でコンパクトなボディは取り回しがラク。ハンドルは低めだがアップライトな上体となるのでポジションは快適

高回転までストレスなく吹け上がるエンジンがスポーツライディングを満喫させる

ピエガ125に搭載されたエンジンは、デロルト製インジェクションを採用した124㏄水冷DOHC4バルブ単気筒。最高出力10.0 kW / 9,750rpm、最大トルク10.5 Nm/ 8,000rpmのスペックです。実走してみると、エンジンは低回転からスムーズにレスポンスし、10000rpmまでストレスなく吹け上がります。124㏄の限られた排気量なのでパワフルな印象は少ないのですが、トルクがフラットに発生する特性なのでどの回転域からでもアクセルにリニアに反応してくれます。非常に使いやすいエンジン特性になっているのです。市街地を中心とした日常域で、その気になればアクセル全開で加速することも可能です。もちろんワインディングへと持ち込めば、アクセルをガンガン開けてスポーティな走りを楽しむことができます。原付二種クラスは高速道路を走ることができませんが、一般道や峠道で性能をフルに引き出して走ることができるのが大きな魅力です。そういう意味でもピエガ125はスポーツバイクの楽しさの原点を再認識させてくれるモデルだと思いました。
 ショートマフラーのサウンドもうまく消音されていて、耳障りな印象はまったくありません。早朝の暖機もこれなら問題なさそうです。なので普段使いから休日のツーリングまで、良き相棒として乗ることができます。

軽快なだけじゃなくしっかりとした安定感も兼備する

外見からもわかるとおり、エンジンを中心としてマスの集中化が図られた車体は、軽快な運動性を発揮するのは想像に難くありません。サスペンションもフロントに97㎜のストローク量を持つΦ40㎜倒立フォーク、リアには120㎜のストローク量があるモノショックを装備していて、性能面で不足はないと感じます。
実走してみればすぐに理解できますが、動きはとにかく軽快です。車重の軽さも手伝って、例えば街中の交差点を曲がるときに小さくクルリと向きを変えることができます。バンク操作も軽いし、前後サスペンションもしっかり動いてくれます。当初はもう少しゴツゴツした乗り味なのかな~?と危惧していたのですが、ストリートユースでは問題ないと思いました。
こうした軽量級モデルの場合、ハンドリングの軽さはメリットですが、軽いゆえに安定感に欠けるということもあります。しかしピエガ125には安定性も感じられました。バンキング初期にフラっとしてしまうなんていうことはなく、むしろ想像していたよりも手応えのある操縦性を実現していたからです。だから不安なく車体をリーンさせていけるし、コーナリング安定性も高かったと感じました。
ブレーキに関しても、300㎜ローターにラジアルマウント4ポットキャリパー装備のフロントシングルディスクに、220㎜ローターのリアディスクとハイグレードな装備が与えられていて、実際の制動力についても問題ありませんでした。そしてもちろん、前後ともにABSを標準装備していて、雨の日のブレーキングでも不安が少ないと思います。

日本国内ではなかなか希少なモデルなので、街へと走りだせば目立つこと請け合いです。なのでほかと同じは嫌だという個性派ライダーにはピッタリだと思います。まあ、あえてマイナス面を挙げるなら、ライバルモデルに比べて5~10万円ほど価格が高いということでしょうか。いずれにしても乗って楽しいバイクであることはまちがいありません。

ディテール解説

フラットな形状のセミアップハンドル
メーターには液晶カラーディスプレイが採用されている。情報量が豊富で視認性も良い
スイッチ類は簡素で操作しやすい。クラッチレバーにアジャスト機構は付いていない
右手スイッチにはセルスターターとキルスイッチが配置されている。ブレーキレバーにもアジャスターは装備していない
縦2灯型の小型LEDヘッドライトは個性的な表情も生んでいる。小型ウインカーもLEDだ
リアのコンビネーションランプは、ナンバープレートホルダーにマウントされている。テールランプ、ウインカーランプともにLEDだ
motoGPマシンを彷彿させるフロントウイングが装備されている
軽快ながらも安定性のあるハンドリングは、このウイングの効果もあるのかもしれない
シャープなデザインの燃料タンクは9.5L容量。ニーグリップしやすいのも特徴
セパレートタイプのシートはスポーツライディングに適した形状。クッション性はあまり良くなく、タンデムもしにくい
搭載するエンジンは、デロルトのインジェクションシステムを採用した水冷DOHC4バルブ単気筒。排気量は124㏄で6速ミッションだ。日本国内では原付2種となる
マフラーはショートタイプとしていて、マスの集中化に貢献。排気音は意外に静かだ
フロントサスペンションには97㎜のストローク量を持つΦ40㎜倒立フォークを装備。アルミキャストホイールには110/70-17タイヤを装着。ブレーキは300㎜ローターに4ポットラジアルマウントキャリパーを装備したシングルディスク
リアタイヤは140/70-17サイズ。ブレーキは220㎜ローターに1ポットフローティングキャリパーを装備するディスク。前後ブレーキにはABSが標準装備されている
リアサスペンションは120㎜のストローク量を持つモノショックが採用
リアにはインナーフェンダーを装備しているが、泥跳ねは少なくなさそうだ

主要諸元

タイプ単気筒 / 4ストローク / DOHC / 4バルブ
排気量124 cc
最高出力10.0 kW / 9,750 rpm
最大トルク10.5 Nm / 8,000 rpm
潤滑方式ウェットサンプ
冷却システム水冷
吸気システムEFI
始動方式エレクトリックスターター
変速機形式6速リターン
燃料タンク9.5 L
フロントサスペンション 40mm 倒立フォーク-97mm
リアサスペンションシングルショックアブソーバー(120mm)
車両重量135kg 
乗車定員2
フロントブレーキ4ピストンラジアルキャリパー、300mm、ABS
リアブレーキ1ピストンフローティングキャリパー、220mm、ABS
フロントタイヤ110/70 x17”
リアタイヤ140/70×17”
カラーSILVER / BLACK / MAGNESIUM
全長2,000mm
全幅810 mm
全高1,070 mm
ホイールベース1,340 mm
シート高820 mm

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著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…