実はCRF1100Lアフリカツインよりも大きい。 ヤマハ・テネレ700インプレッション

2018年のEICMAに出展されて以来、発売が待ち望まれていたヤマハのアドベンチャーモデルがついに新登場。“テネレ”のネーミングが採用された700 ccの本格派である。発売日は当初6月5日の予定が、諸事情により7月31日に延期。YSP及びアドバンスディーラーのみで販売されるエクスクルーシブモデルである。
【2020.09.30 動画を追加しました】

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ヤマハ発動機株式会社

※2020年8月6日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

4眼のヘッドランプが個性的なフロントマスクを披露している。光源はLED式。写真はロービーム状態で、ハイビームにすると4眼全灯になる。クリアレンズのウインカーは一般的なオレンジバルブ式だ。
リーディングアクスルタイプの倒立式フロントフォークはφ43mm。210mmのロングストロークを稼ぎ出している。ボトム(インナー)チューブは樹脂製のカバーでしっかり保護されている。21インチスポークホイールにはピレリ製 SCORPION RALLY STRを履く。ダブルディスクブレーキはφ282mmの軽量ウェーブタイプをフローティングマウント。油圧キャリパーはブレンボ製2ポッドのピンスライド式を採用。フェンダーの取り付け位置も調節式だ。
既にMT-07等で評判の良い、水冷688ccショートストロークタイプの直(並)列2気筒はDOHC4バルブ・270度クランクを採用。吸排気系が異なる他、制御系も専用チューニングされたもようで、パワートルクの諸元は若干控えめなデータになっている。エンジン下部にはアルミアンダーガードを装備し、なお240mmのロードクリアランスも稼ぎ出している。
リヤモノショックのボトムリンク脇から右側に出されたアップマフラーは、それなりに長くボリュームはあるが、楕円断面形状の採用で、横方向への張り出しは少ないデザインになっている。
リヤサスペンションはボトムリンク式モノショック。リンクアーム及びシートを変更したローダウン仕様(38mmダウン)もある。

アルミシリンダーが採用されたリヤショックは黒いダイアルを回す事でプリロード調節及び、スクリュー方式で、伸び圧共に減衰力調節もできる。
マディーな路面でも如何にもトラクションに優れる大きなブロックバターンデザインが印象的。リヤブレーキはφ245mmの軽量ウェーブディスクに、ブレンボ製1ポッド、ピンスライド式油圧キャリパーをマッチ。なおABSはON、OFFの切り替えができる。
ライディングポジションにつくと、ハンドル幅は意外と狭く感じられる。シルバーのパイプバーはテーパードタイプ。
ご覧の通り、左側ハンドルスイッチは比較的シンプル。ベストポジションにあるホーンボタンを始め、長年指に馴染んだ各スイッチ操作は自然で扱いやすい。右の赤いプッシュボタンはハザードランプ用だ。
右側のハンドルスイッチは赤いシーソースイッチがエンジン・キルスイッチ。下の黒く四角いボタンは始動用セルスターター・スイッチ。中間の横押し式ノブはセレクトスイッチで、メーター表示の切り替えやリセットができる。
新鮮なデザインセンスを感じさせてくれるモノクロ液晶マルチファンクションメーター。縦置きマウントも個性的である。
如何にもオフロード系らしい細身で長いデザインのダブルシート。後席のクッションは薄手だが、前席はしっかりした厚みと硬さがある。
車体左脇のキーロックを解錠すると後席クッションが脱着できる。シートカウルには堅牢なバンジーフック4個を装備。カウル下の両サイドは指がフィットする形状にデザインされていた。
左右フロントフォークのトップエンドには伸び側のダンピング調節が装備されている。圧側の調節スクリューはボトム側に有る。
メーターの左脇には12Vのアクセサリー電源ソケットが標準装備されている。
テールカウルエンドの下側にビルトインされたテールランプはLED式。リヤフェンダーに取り付けられたクリアレンズのウインカーにはオレンジバルブが採用されている。

バイク事故を低減する新技術|業界初のARAS用4Dイメージングレーダーソリューションがもたらすバイクの未来像|Vayyar

2021年はバイクにとってのADAS(先進運転支援システム)元年と言える。ドゥカティやKTM の上位機種にACC (アダプティブ・クルーズ・コントロール)が標準採用されたからだ。4輪自動車では既に珍しくないが、バイクへの搭載と普及が、今後拡大して行くことは間違いない。そんな中、イスラエルの「バイアー社」が開発したARAS(Advanced Rider Assistance Systems )が、俄然注目を集めている。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) 取材協力●Vayyar Ltd. ヤン・ポカミエン(Ian Podkamien・自動車事業部長) 問い合わせMail●Ilan Hayat: Ilan.hayat@vayyar.com

スラっとスマートなフォルムが印象的。特に乗車位置が細身に仕上げられており、着座でもスタンディングでも操縦しやすい。

主要諸元

認定型式:2BL-DM09J
全長/全幅/全高:2,370mm/905mm/1,455mm
シート高:875mm
軸間距離:1,595mm
最低地上高:240mm
車両重量:205kg
燃料消費率:35.0km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値:24.0km/L 1名乗車時

原動機打刻形式:M415E
原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列:直列, 2気筒
総排気量:688㎤
内径×行程:80.0mm×68.5mm
圧縮比:11.5:1
最高出力:53kW(72PS)/9,000rpm
最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6,500rpm
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:3.0L
燃料タンク容量:16L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比:1.925
2次減速比:3.066
クラッチ形式:湿式多板
変速装置/変速方式:常時噛合式6速/リターン式
変速比:
 1速…2.846 
 2速…2.125 
 3速…1.631 
 4速…1.300 
 5速…1.090 
 6速…0.964
フレーム形式:ダブルクレードル
キャスター/トレール:27°00′/105mm
タイヤサイズ(前/後):90/90-21M/C 54V(チューブタイプ)/150/70 R18M/C 70V(チューブタイプ)
制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類:ヘッドランプ LED/LED
乗車定員:2名

試乗後の一言!

アドベンチャーマシンとしての雰囲気は満点。個人的にも許容できる大きさ。長旅へ誘ってくれる相棒として欲しくなる1台だ。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…