この速さ、衝撃的!新5速エンジンで、最高出力もアップ!気になるところ全部トライ!新型グロムvsライバルズ

3代目にしてフルモデルチェンジを敢行した新型グロム。
どこがどう変わって走りはどう進化したのか興味は尽きない。ライバルを交えつつ様々な角度から徹底比較してみたい。


PHOTO:渡辺昌彦 REPORT:ケニー佐川 
取材協力:サーキット秋ヶ瀬 ☎048-855-7862

ライバル車も用意!走り込んで比較します!

GUEST TESTER:武田雄一(写真右)

元ホンダファクトリーライダー。スーパーバイク世界選手権で日本人初勝利の実績を誇る。5歳から数えて、秋ヶ瀬を10万周した男。

MAIN TESTERケニー佐川(写真左)

世界を股にかける2輪ジャーナリストにして、ライディング講師としてもイベント等で活躍中。自撮りテク磨きにも余念がない。

見た目もエンジンも新しくまさに別モノの大進化だ

 初代グロムが登場したのは2013年。トレンドに敏感な若者をターゲットに新開発された世界戦略車としてデビューする。扱いやすく燃費の良い空冷4ストOHC単気筒&4速ミッションを前後12インチのコンパクトボディに搭載。足まわりには倒立フォークに前後ディスクブレーキなど本格装備が与えられ、幅広いファン層を獲得した。16年には、LEDヘッドライト採用のアグレッシブな外観に一新され、さらに完成度を高めた2代目へと進化。日本でもHRC主催のワンメイクレースが開催されるなど、ツーリングユーザーだけでなくモータースポーツを楽しむ層まで巻き込んだ。

 今回の新型グロムは一見して遊び心満点のカスタムテイストを全面に押し出しているのが印象的。特に目立つのがシンプルな構造で脱着が容易なカウルやサイドカバーなど。大型のLEDヘッドライトや軽快感あふれる5本スポークホイールにも新しさを感じる。

 そして、見逃せないのがエンジン。空冷4ストOHC2バルブ単気筒エンジンは完全新設計となり、ボア×ストロークも50・0mm × 63・1mmへとロングストローク化し、最高出力は0・2psアップの10psへと向上(圧縮比も高まった)。さらに新たに5速ミッションを組み合わせることでギヤチャンジを駆使した、よりスポーティな走りを可能とした。足まわりにはブレーキング時の安全性を高める1チャンネルABS(前輪のみ作動)を標準装備。大きく見やすくなったデジタルメーターにはギヤポジション表示とシフトアップインジケーターを追加するなど機能性も高められた。シート形状もフラットかつ長くなり、ステップまわりのデザインも一新されるなど、従来型とは別モノと言えるほどの徹底的なアップグレードなのである。

新型グロムのココに注目!

●5速ミッション

●ロングストロークエンジン

●1チャンネルABS

●多機能メーター

●ロングシート

●5本スポークホイール

●デザインの大幅刷新


01 Stage:CIRCUIT IMPRESSION

MONKEY 125 LAP TIME 38.16秒

 サーキット貸し切りでのテストである。新型グロムの資質を厳しくチェックするほど違いも見えてくる。

 まず新型はずばりエンジンがイイ! 出足からドンとくるロングストロークらしいトルクフルさ。ミッションも5速化されたおかげで、ギヤのつながりが良く加速がスムーズ。ギヤレシオを細かく刻んでいるのでパワーバンドを効果的に使いやすく、戻したときのエンブレも穏やかだ。そのぶんシフトチェンジは忙しくなるが、パワーバンドをキープしながら走るレーシーな楽しさがある。ロングストロークらしい一発一発の鼓動感、アスファルトを蹴り出す力がビビッドに感じられ、それでいて吹け上がりもスムーズでピークまでの回転上昇も速い。

 いっぽう先代はワイドレシオのため3速→4速間の加速が少々鈍く、コーナー手前での減速ではギヤレシオが離れ過ぎていてシフトダウン時にエンブレが強く効きすぎ挙動が乱れるなど、あらためて比べると違いは歴然だった。公道ではまったく問題ないレベルの話ではあるがスポーツモデルとしての資質は新型が断然上だ。これにはファイナル(2次減速比)が従来型よりショート設定に見直され、加速重視のセッティングになっていることもあるようだが、いずれにしても新設計エンジンのメリットを最大限生かせるドライブトレーンに仕上げられている。


先代GROM LAP TIME 37.83秒

 ちなみに4速80km/hでの回転数は新型の6500rpmに対して先代は5500rpm辺り。先代のほうがワイドミッションなので1つのギヤで受け持つ範囲が広いのだが、逆に言えばパワーバンドをキープしづらくギヤの選択に妥協せざるを得ない。サーキットを走ったことがあるライダーなら分かると思うが、「このコーナー、1速で曲がるには回転上がり過ぎで頭打ちだが、2速にすると立ち上がりがダルい。1.5速があったらなぁ~」という経験があるだろう。これに対し新型はサーキットでもちょうどいいギヤ比につくり込まれている。つまり、常にエンジンの〝美味しいトコロ〟を使って走れるので気持ち良く、それがサーキットでは速さにも結び付いている。

 ハンドリングも進化した。新型グロムは乗り味がとにかく軽くなった。フロントに安定感があってライン取りが正確。気になって調べてみたが、車重で2kg軽くなりディメンション的にも前後分布荷重の割合が若干だがフロント寄りになっている。つまり、車体もスポーティな方向性に振ってきたということ。見た目は先代のほうがアグレッシブに見えるが、新型も地味に手を加えてきている。例えばライディングポジションもハンドルがよりワイド&アップになって、シートもフラットに長く後ろのほうに座れるなど余裕のあるセットアップになった(シートレールの位置が下げられたことによる好影響だ)。ライダーとしては懐が広く楽に構えられるため、セルフステアを活かしやすく、ミニなのに大型バイクと同じような自然なフィーリングで乗れるし、ストレートでも腰を引いて上体を伏せられるので空力的にも有利だ。大柄なライダーには特に有利と見た。


NEW GROMLAP TIME36.95秒

 武田雄一さんの印象では「ハンドリングも先代はターンインで舵角が先についてくる印象がありましたが、新型では攻められるマシンになりましたね。また、エンジンがロングストローク仕様になってどうなるんだろうと思っていましたが、実際は低速域からしっかりトルク感があってピークまでスムーズに加速してくれる」とお気に入りの様子。乗っていて〝素直に楽しめるマシン〟とのことだった。

 サスペンションも動きが良くなった印象だった。同時に乗り比べた先代グロムと比較すると、新型はダンパーが効いている感じで前後サスの動きがスムーズなので、ここ一番で思い切って倒し込める。ブレーキも前後ともニッシン製でディスク径も含め同じ構成だが、タッチもしっかり目でパッドの食い付き感もはっきりしていて入力コントロールしやすい感じだ。

 メーター画面も大きく表示も新しくなり、ギヤポジション表示とシフトアップインジケーターがついたことで、ギヤ選択とシフトタイミングに迷わなくなったことも大きなメリット。これだけでもサーキット走行ではストレスやミスを低減する大きな武器になるはずだ。

新型グロム先代グロム
1速2.8462.500
2速1.7771.550
3速1.3151.150
4速1.0340.923
5速0.843
5速ミッション化されたことで1速はよりショートに5速はよりロング設定となり、発進から素早く加速しつつ最高速も稼げる仕様となった。

接地感も増した!0-100m加速タイムGPSロガーで計測市街地で重要なゼロ発進性能をCHECK

新型が加速力で他を圧倒意外にもモンキーが善戦

0-100m加速ではデータでも体感的にも新型グロムの速さが際立った。到達速度は約70km/h。唯一4速まで入れられたのも新型でそれだけパワーバンドを有効に使えるということか。そのぶん、スタート直後のシフトチェンジが忙しくラクさでいうと先代グロムに軍配が上がる。意外にも善戦したのがモンキー125。

30m50m100m
NEW GROM49.3km/h57.9km/h69.8km/h
先代 GROM46.7km/h55.4km/h67.8km/h
MONKEY12541.4km/h56.0km/h68.8km/h

乗りやすく単純に楽しい!

サーキットを走るうえでネガだった、ギヤどっち?と悩まず、このコーナーは「2速ですね!」と走っていてはっきりと分かる。エンジンは低速域からしっかりトルクがあり、ピークまでスムーズに加速。リヤも動き始めから使える印象が強くなって安心感が増しましたね。ブレーキを少し残しながらコーナーに入っていけるなど、戦闘力は格段に上がった印象。

02 Stage:STREETIMPRESSION

飛ばさなくても十分楽しい!(ケニー佐川)ふわふわ感がやさしいモンキー125も捨てがたい(武田雄一)
軽めの林道もいけちゃう!

楽ライポジと低速トルクでゆったりもメリハリも得意

 街乗りでも新型グロムの乗りやすさが際立った。発進では低速トルクがあるのでストップ&ゴーが多い街中ではスタートダッシュが効いて有利。先代と大きな差ではないが、特に5速ミッションによるスムーズさが際立っている。サーキットの試乗テストでは、先代だと4速80km/hでレッドゾーン(8250rpm)に近づいてしまうところ、新型だと4速でも6500rpm辺りで余裕をもって同じ速度まで到達できる。ツーリング先の田舎道などで回転数を下げて穏やかにクルーズしたい場面でもフィットするはず。ライポジと乗り心地の良さも含め、快適に距離を稼げるはずだ。

 また、上り坂も若干だがパワフルで交差点の右左折でも先代よりスムーズに曲がれる感じ。フロントのみ作動する1チャンネルABSが採用されたことで安心感も高まった。排気音も図太く鼓動感もより鮮明で、トコトコとゆっくり走っていても楽しく、フラットな林道なら問題なく走れるマルチぶりも気に入った。唯一の弱点(!?)はハンドル幅が広くなったことで若干だがすり抜けがしづらくなったことぐらい。武田雄一さんも「新型グロムはサーキット良し!街乗り良し!」とのこと。モンキーについても「先代グロムと同じエンジンでも吸排気の違いか下のトルクがあって高回転でも落ち込みが少ない印象。サスペンションもフワフワでポジションもゆったり、街乗りなら新型グロムかモンキーがいいですね」とご満悦だった。


新型はハンドル位置が先代モデルに比べて50mm高く(編集部測定値)、幅も広くなるど、まるで足つきのいいオフ車のようなライポジだ。

足つき性はどれも二重丸!ポジションCHECK(ライダー身長:170cm)

【NEW GROM】後ろ側に余裕あり!
【先代GROM】ハンドル位置は低め!
【MONKEY125】ゆったり度はNO・1!

03 Stage:SPEC & DETAILCHECK

先代GROM

METER
LCD多機能デジタルメーター採用。スピード、回転計、燃料、ツイントリップ等を表示。
HEAD LIGHT
上下2段のセパレート型LEDヘッドライトを持つ「ロボット顔」がアイデンティティ。
SEAT
シートはスリムだが前後の段差が大きく着座位置がほぼ決められてしまう形状。
MUFFLER
車体同様、エッジの効いたシャープなデザイン。6角のアルミ製も特徴的。

NEW GROM

METER
大きく見やすくなったメーターにはギヤポジションやシフトアップインジケーターを追加。
HEAD LIGHT
スタイリッシュな白色光で視認性・被視認性の向上を図ったデュアルLEDヘッドライト。
SEAT
シートはフラットでリヤ部分にも違和感なく着座できる形状。肉厚も十分で座り心地良し。
MUFFLER
スリップオンタイプとしカスタムを支援。エンド部にPCX同様の空力用スリットが入る。

MONKEY125

METER
シンプルな丸型メーター内にデジタル液晶メーターを装備。タコメーターは搭載せず。
HEAD LIGHT
ラウンド形状のLEDヘッドライトはLoとHiを囲むようにポジションライトを配置。
SEAT
タックロールに白いパイピングが美しい。シート座面は最も短いがクッションは厚い。
MUFFLER
かつての先代モンキーの面影を受け継ぐクロームヒートガード付きのアップマフラー。

掲載号はこちら

モトチャンプ2021年5月号

新型グロムのすべて

新旧 真向勝負

進化しすぎの速さにテスター全員絶句!
サーキットでタイムアタック
新型5速MTの実力は!?

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部