BMW・R1250R試乗レポート|R1100RもR1150RもR1200Rも乗ったことはあるけれど!

BMWのスタンダードモデル、R(ロードスター)シリーズ。その中でもシンプルなネイキッドスタイルを擁するR1250Rは同社のベンチマーク的な存在だ。ストリートファイター的なプロポーションに最新の機能を盛り込んだこの一台をBMW大好きのライダーが徹底試乗! 先代モデルとの違いとともにじっくりとその戦闘力を測ってみた!

REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO・EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)

※2020年5月12日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

BMW・R1250R
水冷となったDOHC水平対向2気筒エンジンは従来の1169ccから1254ccに拡大。最高出力は125ps/7750rpm→136ps/7750rpm、最大トルクは125Nm/6500rpm→143Nm/6250rpmへと向上した。前モデルとの外観の違いは、シリンダーヘッドのプラグカバーの形状が変更されている点。
BMW・R1250R
Φ45mm倒立式テレスコピックフォークは電子制御式可変リバウンドダンピング調整(ダイナミックESA)を搭載。サスペンションストロークは140mm。ブレーキは、ラジアルマウントされたブレンボ製4ピストンキャリパーと固定式ダブルディスクを搭載。


リヤサスも電子制御式可変リバウンドダンピング調整「ダイナミックESA」と連動。サスペンションストローク量はフロントと同じく140mmに設定。

BMW・R1250R
BMW・R1250R
リヤブレーキは固定式シングルディスクと2ピストンフローティングキャリパーの組み合わせ。スイングアームを兼ねたシャフトドライブとギアケース間にトルクロッドを配したBMW独自のパラレバーシステムによって、ライダーが気になるトルクリアクションやリフトアップを抑制する。
BMW・R1250R
ハンドル幅が少し広いため、ハンドルマウントのミラーも左右に張り出し、後方確認がしやすい。コクピットはこの位置からだとナビホルダーが目立つが、TFTディスプレイのメーター採用ですっきりまとめられている。
BMW・R1250R


6.5インチTFTカラーディスプレイはR1250GSや新型S1000RRと同様。操作は左スイッチボックスのボタンやジョグダイヤルで行う。回転計の表示の切り替えができるほか、左右のバンク角やブレーキの入力状況、トラクションコントロールの作動情報なども表示できる。

BMW・R1250R
BMW・R1250R
各種電装機能の操作は左スイッチボックスにまとめられている。グリップ根元のジョグダイヤルで連動させたスマートフォン操作を行う。
BMW・R1250R
純正ナビのホルダー(オプション)は、取り付け位置や強度も考慮されており、社外品と比較して一体感と剛性が高い印象だ。
BMW・R1250R
フロントマスクは前モデルから引き継がれたシンメトリーデザイン。シャープな形状の上下分割式ヘッドライトはハロゲンバルブ、左右のポジションランプにはLEDを採用。
BMW・R1250R
先代モデルでも視認性の高さが評判だったLEDテールライトはしっかりと継承。メーターホルダーに装着された細みのウインカーとともに、新世代BMWであることをアピールする。
BMW・R1250R


試乗車には専用のサイドケースステーが装着されていた。サイドケースを外した時も全体のスタイルを崩さないのは、さすが純正オプション!

BMW・R1250R

角がなく、クッション性の高いシートは長距離走行も疲れない。標準のシート高が820mmだが、オプションで760mm、790mm、840mmサイズも用意。ライダーの体型や好みに応じたラインナップを展開している。このシートの開閉はリモコンキーでオープンできる。シート下はライダー側にバッテリーを搭載し、パッセンジャー側には標準装備となったETC2.0車載器が入っているので積載スペースは乏しい。シート裏には簡易的な車載工具を備えている。

BMW・R1250R
BMW・R1250R
シンプルだが剛性感のあるステップ。上部のラバーも頑丈で激しいスポーツライディングに対応。カッチリとしたシフトタッチがBMWならでは!
BMW・R1250R
存在感を示す燃料タンクは、ライダー側に大きく絞り込まれているため、ニーグリップがしやすく、足着き性にも貢献。容量は18Lと必要十分。燃費と照らし合わせると優に350km以上は航続できる計算だ。また、オプションカラー(Style HP)の燃料キャップ周辺はステンレス製のカバーを装備している。
BMW・R1250R
旧型のフラットツインは、サイドスタンドで車体を起こすと片方のシリンダーにオイルが偏ってしまうため、車両の駐車時にセンタースタンドの使用が当然とされてきた。今ではさほど気にする必要はないが、旧型から乗り換えているオーナーにとってセンタースタンド掛けは必須の儀式だ! そのためか、R1250Rのセンタースタンド掛けも比較的ラクに行えるようになっている。

主要諸元

■車体寸法・重量
全長:2,165 mm
全幅(ミラーを除く):850 mm
全高(ミラーを除く):1,180 mm
シート高:820mm
インナーレッグ曲線:1,835mm
車両重量:246 kg
許容車両総重量:460 kg
最大積載荷重(標準装備時):221 kg
燃料タンク容量:18 L(リザーブ約4 L)

■エンジン
エンジン型式:空水冷4ストロークDOHC水平対向2気筒4バルブ
ボア×ストローク:102.5 mm x 76 mm
排気量:1,254 cc
最高出力:100 kW ( 136PS ) /7,750 rpm
最大トルク:143 Nm/6,250 rpm
圧縮比:12.5 :1
点火/噴射制御:電子制御エンジンマネージメントシステム(DME)、燃料カットオフ機能付
エミッション制御:三元触媒コンバータ、排ガス基準EU4をクリア
最高速度:230 km/h
燃料消費率(WMTCモード値クラス3 ※1名乗車時):21.05 km/l
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン

■電装係
オルタネータ:508 W
バッテリー:12V / 12Ah(メンテナンスフリー)

■パワートランスミッション
クラッチ:湿式多板、アンチホッピング
ミッション: 6速
駆動方式:ドライブシャフト式

■車体・サスペンション
フレーム:トラス構造スチールパイプフレーム
フロントサスペンション:倒立式テレスコピックフォーク(45mm径)、電子制御式可変リバウンドダンピング調整
リヤサスペンション:BMW Motorrad パラレバー、アルミキャストシングルスイングアーム、電子制御式可変リバウンドダンピング調整
前後サスペンションストローク:140 mm
軸間距離:1,515 mm
キャスター:125.6 mm
ステアリングヘッド角度:62.3°
ホイール:アルミキャストホイール
ホイールサイズ:
 フロント:3.50'' x 17''
 リヤ:5.50'' x 17''
タイヤサイズ:
 フロント:120/70 ZR 17
 リヤ:180/55 ZR 17
ブレーキ:
 フロント:フローティングダブルディスク、4ピストン固定式キャリバー
 リヤ:固定式シングルディスク、2ピストンフローティングキャリバー
ABS:BMW Motorrad Integral ABS(パーシャリーインテグラル)

ライダープロフィール

川越 憲
1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集。現在所有するバイクはBMW R1150GS・BUELL XB9SX・TZR250(1KT)・NSR250R(MC18)etc.。 趣味は草野球、バレーボール、映画鑑賞(16mm映写技師免許所持)。

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著者プロフィール

川越 憲 近影

川越 憲

1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集者。現在…