さすがGSの大柄ボディだけど!住宅街や細い路地は意外と素直に扱えた。|BMW・R 1250 GS スタイルラリー エンデューロパッケージ試乗

BMWのラインナップ中、人気の“アドベンチャー”カテゴリーには、40周年記念限定車も含めると12機種が揃えられている。筆頭に位置するのはR 1250 GS Adventureだが、GS(ゲレンデ・スポルト)の名に相応しいオフロード色の濃い1 台としてR 1250 GS スタイルラリー/ エンデューロパッケージはとても気になる存在なのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ビー・エム・ダブリュー 株式会社

ディテール解説

個性的なデザインのフロントマスク。自動レベル(配光)調整付きのアダプティブ・ヘッドライトが装備されている。コーナリングランプとしも機能する。

19インチサイズのスポークホイールを採用。タイヤはメッツラー製KAROO 3を履く。フローティングディスクローターはφ305mm。ラジアルマウントされた油圧キャリパーは対向4ピストンタイプ。

BMW独自のテレレバーサスペンション。奥に覗くモノショックユニットで衝撃を吸収する。フロントフォークの支持剛性も高い特徴がある。

シリンダーが左右に張り出すボクサーツインエンジンを搭載。写真の通りエンジンプロテクションバーがボルトオンされている。

テールエンドの排出口は四角い2段式デザイン。ステンレス製サイドアップマフラーを採用。タイヤ近くに寄せられ、横方向へのはみ出しが少ない。

白いコイルスプリングを持つモノショックはZF製。電子調節式サスペンションが装備されてタンデムや荷物満載時でもプリロードは適切に自動調節される。

長年にわたり熟成されてきた片支持のパラレバー式サスペンション。黒いスイングアームの中を駆動用のシャフトが通っている。チェーン駆動の様な頻繁なメンテナンスを不要としている魅力は大きい。

ブラックアウトされたパイプバーハンドルは、テーパードタイプ。スポーツライディングを考慮して30mm高い位置に取り付けられた。操舵フィーリングの軽さに大きく貢献している。

10種もの機能スイッチがレイアウトされたハンドル左側。下から順にベストポジションにあり押しやすいホーン、ウインカー、左のマルチコントローラー(リングダイヤル)と合わせて使用するメニュースイッチ。右隣はトラクションコントロールと電子調節式サスペンション、上はハザード、クルーズコントロール、人差し指で扱うディマー&パッシング、そして右端がサブランプスイッチ。
ハンドル右側には縦一列に3つのスイッチが並ぶ。上から順に、グリップヒータースイッチ、中は走行MODEスイッチ。ECO、RAIN、ROADとENDURO、DYNAMIC、ENDURO PRO、DYNAMIC PROが選択可能。下の赤いのがエンジンキルスイッチ兼始動用のスタータースイッチ。

イグニッションONすると始めにGSのロゴと車体デザインを模したイラストが表示される。メーターの上には純正のナビゲーションが取り付けられる。右脇にはUSB電源ソケットが標準装備されている。

クッション厚も十分な前後セパレートシート。写真は低い位置にセット。シートヒーターは後席にも装備されていた。切り替えは強弱の2段式。前席はハンドル左手操作で5段階調節できる。

リヤフレームもスチールパイプ製だが、後部にはアルミ鋳造部品が組み付けられ、パニア搭載に対応している。
左右にゴムブッシュを持つプレート(シートベース)を裏返すとシート高が20mm変えられる。写真はローポジション。

クリアレンズで仕上げられたLED式のテールランプ。パニア搭載も考慮され、シート後部周辺はいかにも堅牢な印象。

シリンダーヘッドは左右に大きく張り出している。シート周辺と比較してタンク回りのボリュームが目立つ。

主要諸元

エンジン型式:空水冷/4ストローク水平対向2気筒
動弁型式:DOHC 1気筒あたり4バルブ、可変カムシャフト
ボアxストローク(mm):102.5 x 76 
排気量(cc):1,254
最高出力(kW/rpm):100 (136HP) /7,750
最大トルク(Nm/rpm):143/6,250 
圧縮比:12.5 : 1
点火/噴射制御:電子制御エンジンマネージメントシステム(DME)、燃料カットオフ機能付
エミッション制御:三元触媒コンバータ、排ガス基準EURO5をクリア
最高速度(km/h):215
燃料消費率(km/L)/ WMTCモード値:21.0(1名乗車時)

燃料タンク容量(L):20(含む予備4L)
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
エンジンオイル容量(L):4.0
オルタネータ(W):510
バッテリー:12 V / 11.8 Ah、メインテナンスフリー

クラッチ:湿式多板、アンチホッピング機能付、油圧式
ミッション:常時嚙合式6速リターン
駆動方式:ドライブシャフト式
1次減速比 / 2次減速比:1.650(33/20)/ 2.910(32/11)
ギヤ比:(ミッションアウトプット:1.061(35/33)
 1速:2.438(39/16)
 2速:1.714(36/21)
 3速:1.296(35/27)
 4速:1.059(36/34)
 5速:0.943(33/35)
 6速:0.848(28/33)

フレーム:トラス構造スチールパイプ
サスペンション(前 / 後):テレレバー(モノショック)センタースプリングストラット / パラレバー、センタースプリングストラット
サスペンションストローク(前 / 後mm):210 / 220

全長(mm):2,190
全幅(mm):980
全高(mm):1,505
軸距(mm):1,505
シート高(mm):870-890
車両重量(kg):266
トレール(mm):100.6
キャスター(度):25.7
ホイール:クロススポーク式
リム(前 / 後):3.00-19 / 4.50-17
タイヤ(前 / 後):120/70 R-19 / 170/60 R-17
ブレーキ(前 / 後):φ305mmフローティングダブルディスク / φ276 mmシングルディスク
ABS:Integral ABS Pro

試乗後の一言!

狭い林道は避けたいが、遠くへ行くのも、出先で舗装路を外れるのもいとわない。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…