西部警察Ⅱの黒カタナ(鳩村仕様)&カーボンカウルの現行KATANA改! “新旧刀”夢コラボ|ユニコーンジャパン

スズキGSX1100Sカタナを始めとした、“カタナ系”のエキスパートショップとしても知られる「ユニコーンジャパン」。同社が東京モーターサイクルショー2022に展示した車両が、西部警察パートⅡで舘ひろしさん扮する鳩村刑事が駆った、スズキGSX1100Sカタナをチューニングした「GSX1100Xカタナ」。その隣には、名車のカタナを現代に蘇らせたKATANA改が鎮座。このKATANA改はカーボン製の外装類を装着。新旧刀の2ショットをご堪能あれ!
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
ユニコーンジャパン https://www.unicornjapan.com/

スズキGSX1100Sカタナ改=GSX1100Xカタナ(西部警察Ⅱ 鳩村仕様)

スズキGSX1100Sカタナを、バイク通で有名な舘ひろしさんのオーダーによりカスタマイズしたGSX1100Xカタナ。西部警察パートⅡの鳩村刑事仕様だ。
シルバーカラーの初代1100カタナをベースに、外装を黒にペイントしたGSX1100Xカタナは、「西部警察仕様のブラックカタナ」「鳩村仕様のブラックカタナ」とも呼ばれ、このカスタム手法を模倣するユーザーも多かった。

 俳優の故・石原裕次郎氏(石原プロ)が製作した人気テレビドラマ「西部警察パートⅡ(1982年 / 昭和57年よりテレビ朝日系列にて放送)」。このドラマで舘ひろしさん扮する鳩村刑事が駆ったのが、当時発売間もない輸出仕様の「スズキGSX1100Sカタナ」をカスタマイズした、ブラックカラーのGSX1100Xカタナ(鳩村仕様とも呼ばれる)。バイク通として知られる、舘さんが自らカスタマイズをオーダーした、カタナ・カスタムの歴史に残る有名な1台だ。

 舘ひろしさんといえば、バイクをイメージする人も多いはず。まずは舘ひろしさんのプロフィールをご紹介。

 舘さんは地元・愛知県名古屋市の進学校・県立千種高校でラグビー部の主将を務めた(生粋のラガーマンである舘さんは、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップのPRキャプテンとしても貢献)。
名古屋市にある舘さんの実家は、代々続く開業医。舘さんは家業を継ぐべく、2浪して難関な大学の医学部を目指したが、受験に失敗(その後、実家の病院は医者になった弟さんが継承)。
 心機一転、舘さんはデザイナーを目指して千葉県習志野市にある千葉工業大学に進学。余談だが、舘さんが大学時代にアルバイトをしていた東京・原宿の洋服店には、現在デザイナーとして名を馳せるドン小西さんも勤務していた。
 千葉工大生時代、舘さんは帝京大学の学生だった岩城滉一さんと出会い、意気投合。同時に岩城さんが乗っていたバイクに興味を持つ。

岩城滉一さんが若かりし頃、映画の中で駆っていたカワサキZⅡ(Z750RS)。ZⅡは1973年に発売。舘さんは1950年3月生まれ。岩城滉一さんは1951年3月生まれだから、舘さんが興味を持った車両やタンデムシートに乗ったバイクは、ZⅡではないと予測。

 当時、まだバイクの免許を持っていなかった舘さんは、岩城さんが運転するバイクのタンデムシートに乗せてもらい、教習所に通ったこともあったらしい(筆者の記憶によれば、昔のバラエティ番組の中で、2人は仲良く若かりし頃の話を時折回想していた)。

GSX1100Xカタナ(ブラックカタナとも呼ばれる)を駆る、西部警察パートⅡ時代の舘ひろしさん。

 舘さんと岩城さんは大学時代、東京・原宿の表参道を拠点とする硬派なバイクチーム「クールス」を結成。その後、クールスは矢沢永吉やジョニー大倉が在籍する人気ロックバンド「キャロル」の親衛隊となり、音楽活動を開始。舘さんはロックバンド「クールス」のメインボーカルとして注目され、芸能界デビュー(音楽に興味のなかった岩城さんは、バンドとしてのクールスには参加しなかった)。

舘さんが西部警察で駆った、今でも根強い人気を誇るハーレーダビッドソンFXS1340ローライダ―(写真は1980年モデル)。巽仕様はリアのシーシーバーの後ろに赤橙が1個装備されていた。

 舘さんと岩城さんはその後、不良役やチンピラ役で映画に主役・準主役として継続的に出演。舘さんは1979年(昭和54年)、テレビ朝日系列で日曜夜8時に放送されたドラマ「西部警察」に、黒いハーレーダビッドソンFXS1340ローライダ―を駆る巽(たつみ)刑事役(通称・タツ)で出演し、一気にメジャーとなった。

GSX1100SカタナをベースにしたGSX1100Xカタナ。

 舘さん扮する巽刑事は、『炎上ハーレー』の回で殉職(契約満了のための降板/ちなみに舘さんがドラマで乗ったハーレーは、公募で視聴者にプレゼントされた)したが、1982年(昭和57年)から放送された「西部警察パートⅡ」に、鳩村刑事(通称・ポッポ/鳩ポッポが基)として復帰。愛機はハーレーから、GSX1100Sカタナをベースにした写真のGSX1100Xカタナ(ブラックカタナとも呼ばれる)にチェンジされた。

 その後舘さんは、数々のテレビドラマに主役級で出演するとともに、ソロで歌ったシングル「泣かないで」が大ヒット。そして日本テレビ系列で日曜夜9時に放送された「あぶない刑事」に出演。鷹山刑事(通称タカ)として、柴田恭兵さん(通称ユウジ)とともに大ブレイクした。

人気のテレビドラマ「あぶない刑事」で、舘ひろしさんがよく一般人から借りていたスズキGSX-R750(写真は1985年モデル)。油冷4気筒DOHC 4バルブ749ccエンジンを搭載。写真は当時から人気のスズキワークスカラー(白/青)だが、ドラマ内では黒/赤バージョンが採用されていた。

 犯人が車で逃走した時、タカは一般人が乗る赤/黒のスズキGSX-R750を、警察手帳を見せて半ば強引に拝借。もしくは停車してあったGSX-R750を勝手に拝借し、追跡を開始。

 毎度お約束のこのシーンを観て、空前のバイクブームだった当時、「俺なら絶対に貸さん!」「緊急時とはいえ窃盗だろ?」とツッコミを入れたバイク好きも多かろう。

 今では到底考えられない、テレビ局に苦情殺到間違いなしの荒唐無稽な演出だったが……GSX-R750に乗りたいがため、試験場には受験者が殺到(放送当時、現在の大型二輪に該当する限定解除は、教習所で取得不可だった)。番組効果でGSX-R750の売り上げは大幅に向上したという。

 タカはスズキGSX-R750に乗り、ヘルメットなし&スーツ姿でネクタイをなびかせ、一般道を爆走。コーナリング時は、映画「ミッションインポッシブル」のトム・クルーズ。とまでは行かないまでも、適度にハングオンを決めていた(舘さんはほぼスタントなしで走行)。

 また、犯人の車が突如スピンターンして方向転換し、正面から突っ込んでくる時には、犯人の車を目掛け、両手放しで拳銃を乱れ撃ち。イマドキの小うるさいコンプライアンスなど、当時はもちろん一切関係なし。フィクションなんだから何でもあり!良い時代だったなぁ……と懐かしく思う人も多いのでは?

舘さん伝説はまだあり!刑事貴族(でかきぞく)の牧刑事「フォード・マスタングマッハ1」

 舘さんといえば、「あぶない刑事」終了後に放送された日本テレビ系列のドラマ「刑事貴族(でかきぞく)」にて乗っていた、牧刑事のフォード・マスタングマッハ1も有名。

 撮影前、ピカピカのフォード・マスタングマッハ1を見た舘さんが、牧刑事のキャラクターをあらためて吟味。犯罪者との度重なる攻防戦によってできた傷跡を、”勲章”として残すため(特に運転席側である左側ドアの損傷が酷かった)、外装に傷・凹み・銃弾の跡を付け、ボディカラーも艶のないボロボロの状態することを提案。製作陣も納得したその車両は、現在も「渋すぎる牧刑事のフォード・マスタングマッハ1」として伝説になっている。

 これまで紹介した劇中に登場するバイク&車はすべて、かつてデザイナーを目指した舘さんならではの、こだわりが伺えるのが特徴。舘さんは俳優であるとともに、根っからのカスタムフリークであると感じる。

鳩村刑事が駆った“本物の”GSX1100Xカタナが、バラエティ番組で約40年ぶりに復活!

 ユニコーンジャパンは、「西部警察パートⅡ」で使用されていたGSX1100Xカタナを、これまで大切に保存。2021年末に放送されたテレビのバラエティ番組において、「舘さんがGSX1100Xカタナを走らせるシーンを撮影したい」というテレビ局からの依頼を受け、これまで眠らせていたGSX1100Xカタナをメンテナンスし、エンジンを始動。撮影当日は、舘さんに乗車してもらったという。

 鳩村仕様のGSX1100Xカタナは、外装のカラーリングをブラックに変更。テール周りは、舘さんの「短いフォルムにしたい」という要望により、テールカウル部をショートカットし、テールランプにルーカスタイプを導入。シートもツートンからブラックに変更されている。

 マフラーはアウトバーン(autobahn)製4-1集合タイプを装着。バックステップを装着し、タンデムステップを撤去するなど、バイク好きの舘さんならではの、こだわりのカスタムが施されている。

外装類をカーボン製にカスタマイズした現行のKATANA

 現代に蘇った現行型の「スズキ KATANA」は、軽量アルミフレームの車体に「GSX-R1000」の直列4気筒DOHC 4バルブ998ccエンジンを改良して搭載。エンジン出力を効率良く路面に伝えることができるトラクションコントロールを装備するなど、昂揚感のある加速と快適なライディングを実現。また、ワンプッシュでエンジン始動が可能なスズキイージースタートシステムや、スムーズな発進を補助するローRPMアシスト機能を採用するなど、市街地走行にも適した扱いやすさも獲得している。

 写真はユニコーンジャパンがプロデュースした、カーボン製カウルをまとったKATANA改。GSX1100Sカタナのスクリーンをモチーフにデザインされた専用スクリーン、ラジエターカバー、カラードシートの装着、リアフェンダーレス化など、カタナを知り尽くしたユニコーンジャパンならではのチューニングが施されている。

スクリーンの素材は樹脂スクリーンとしては最強の強度を誇るポリカーボネートを採用。その中でも国産最高級である「帝人」の最高素材を厳選し、特殊な加工技術で平板をスクリーン形状に成型。
スズキ KATANA(160万6000円)。写真の「グラススパークルブラック」は2019年モデルに設定されていたカラー。

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