スーパーカブで遊ぶためにヤギ(オス)を飼った。|休耕地スクランブル#05

ヤギが草を食べることで、ミニバイクコースが適切に管理される。
休耕地を借りてカブをグルグル走らせればそこはもう私設サーキット! と始まったこの「休耕地スクランブル」。久しく進展のレポートがなく心苦しかったけれど、しかし自宅のすぐそばにコースがあるのが日常になると、それが当たり前になっちゃって特段レポートすることもなくなっちゃうのですよね~
TEXT●ノア セレン

まずは草刈りの話を

 連載の過去4回分を読み返すと、とにかく雑草に苦しめられているという記事が多いです(笑)。いや、本当にそうなんですよ。田舎生活は常に雑草との戦いであって、休耕地コース以前に自宅周りの草刈りだけで精一杯だったりするのです。

 この休耕地コースを手に入れてそろそろ3シーズン目でしょうか。最初は草が本当にボーボーで刈っても刈ってもすぐまた生えてくることにウンザリしていましたが、最近はそんなに生えなくなったんですよね。やっぱりしつこく刈ってたからなんでしょう。誰かが言っていましたが、雑草が生えたらすぐに刈るのが大切、だそう。ちょっと伸びると「あ、ここは生えることができるぞ!」と認識してしまってどんどん増えたがるんですって。なるほど、ヘンに種子を落としたりする前にすぐに刈る!ということですね。

 そういえばホンダのロボット芝刈り機「ミーモ」が同じようなことを謳っていました。伸びたそばから切るから管理がしやすい、と。しかも伸びる前に刈れば、刈った草も少量だから集めなくていいしね。

ヤギ投入!

 我がコースの最新ニュースは、ヤギの投入です。草刈り要員としてヤギを飼うという話は良く聞きますので、どれどれ、お願いしてみようか、とヤギを購入しました。子どもの頃実家でもヤギを飼っていて(メス)、無理にヤギ乳を飲まされた嫌な経験があったのと、オスの方が草をたくさん食べるということで去勢済みのオスをチョイス。よーしよし、頑張りたまえ!

 と思いきや、このヤギが意外やグルメで特定の草しか食べないのです! ウソでしょう? 新しい刈払い機を買えるぐらいしたのに……まさかの草選り好み!? ヤギのくせに!

……まあ、かわいいのでしょうがないですが、草刈り要員としてはちょっと頼りないヤギさんで、引き続き草刈りの日々を過ごす僕を反芻しながら見つめています。やはり300坪(イッタンブ)の草のコントロールは大変! 以上、草刈りレポートでした。

久しぶりのコース改修! 外水道移設でパドック部もコースに。

新コース図

さて、最近の変化と言えばコースが伸びたことでしょうか。コース図PART2ではジャンプスポットが追加されたオーバル形状へと改められていましたが、その時にコース南側にたくさん積んであった薪ストーブ用の薪を移動させたことで、より広くイッタンブを使えるようになったのです。また、今まではパドックとして使っていたエリアをなぜパドックとして使っていたかと言えば、そこに外水道がピョンと生えていたからなんですね。この外水道を移動させてしまえば、このパドックエリアもコースに組み込めるぞ、と、水道管を掘り当てて外水道の位置を変更しました。

これにより、今までのギャラリーコーナーはドウダンツツジの木を回るところだったのですが、外水道を移動できたおかげでもう一つ奥の、今度はナンテンの木を回るコースへと伸ばすことができました。前のコースは1周100メートルほどでしたが、この新コースは120メートル位になったのではないでしょうか。レイアウトを含め、これはなかなか面白いコースへと成長しましたよ!

コース全景
ナンテンヘアピン

ジャンプスポットは使用せず

 前回でせっかく作ったジャンプスポットですが、カブでジャンプすると楽しいは楽しいけれど着地時にガッシャン!とチェーンが暴れサスペンションが悲鳴を上げる感じがどうにもかわいそうで、実際にはあまり跳ぶことがありません。当初の丸太4段積みから3段積みに減らしたりもしたので、たまに気が向いたら飛ぶ程度かな? 前にも登場したCRM80などで周回する場合は飛んだりしますが、やっぱりカブはジャンプするようにはできてませんね。

そして、そもそもジャンプスポットの導入は「梅の木シケイン」が若干逆バンク気味になっているからそこでの減速目的だったのですが、何周、いや、ここまで累積では何百周もしているうちに(もしかしたら1000周ぐらい走ってるかも!?)、この梅の木シケイン部分がイイ感じに踏み固められて、逆バンクながらとてもグリップが良くなったんですよ。そのためパドック方面へと突っ込んでいくハイスピードクラッシュが減りコースの危険度が下がったので、減速目的で導入したジャンプ自体が不要になったわけです。

 また新しいコースレイアウトにより、かつての「ジャガイモストレート」はストレートではなく高速(?)右コーナーになったんです。ということは「梅の木シケイン」を出てきてから「ナンテンヘアピン」までに車体を右に傾ける切り返しが生まれ、それも色々とコースの性格を変えてくれました。せっかく作ったジャンプは使わなくなったけれど、コースはかなり面白くなってきました!

僕のカブ、遅い??

 次回の更新で紹介しようと思いますが、実は競技車両を増やしています。カブを集めてるんです! 田舎だとカブって自然と集まるんですよね。カブが好き、を公言してると、そのうち「動かないけど、あげるよ」って話が舞い込むんです。つい先日も「亡くなった親父が乗ってたヤツがずっと放置されたまま。いる?」とまた一台舞い込んできました。

 こうして複数台の50ccカブを乗ってると、この企画のために入手した自分の走行5万キロカブが妙に遅いことに気付きました。新入りカブでは2速固定でコースを周回できるのに、最初の5万キロ号は1速も使わないと加速しない。シフトダウンした方がドリフトのキッカケを作り出しやすいという楽しみもあったものの、他のカブとバトルになるとパワー不足ゆえに抜くことが非常に困難! どれどれ、買ってきたときに一応実動だったからそのままだけど、キャブやプラグでも見てみようか。

 開けてびっくり! カブで「オイル入ってなかった」というのはアルアルでしょうけれど、キャブ内の汚れたるや「これで良く走ってたな!」と驚くレベル。キャブ清掃と、あとはフューエルフィルター内に溜まっていた大量のサビを除去。プラグもプラス極が減って丸くなってたので交換しよう! プラグキャップも割れてるじゃないか。これで僕のカブもいくらか調子を取り戻すことでしょう。

 キャブへのアクセスが良かったり、仕組みが単純でサンデーメカでも簡単な修理ができたり、整備にコストがかからないのもまたカブの魅力。オフィシャル競技車両をカブにして良かった!

雰囲気も大事。刷毛塗り&ゼッケン装着

 調子を取り戻したカブだけれど、ルックスは連載3回目に施した「むしり取り系カスタム」のみ。前後フェンダーを短く切り、保安部品を外しただけの姿でいくらかアクティブにも見えるもののもう一つアカ抜けない。とはいえ機能的な部分は何も手を加える必要もないし、このノーマルの状態だからこそ安全で楽しく持続可能、かつ競技車両が増えてもイコールコンディションが保たれるわけだから、さて、じゃあ色を塗るに限るな! となったわけです。

 何色が良いか考えたところ、カブって地味なようで歴史を振り返るといろんな色があり、オリジナル色というのは難しい。ホームセンターのペンキ売り場を見てビビッと来たのはオレンジ。オレンジのカブはあまり見たことない気がします。買ったのは油性のいわゆる「ペンキ」。汎用のものだからこそ、余ってもどこかに使えるし、スクランブル競技車両はやっぱり刷毛塗りでしょう! と購入しました。

 レッグシールドだけ外して、あとはなんとなくマスキングして、天気の良い日に「えいやぁ!」と刷毛をふるいました。そのおおざっぱさが楽しい! オレンジはなかなかビビッドで、乾いたらKTMのステッカーでも貼ろうかしら……なんて思っていたら、下地がグリーンのせいか、乾いてみたら山吹色になっちゃった。これはこれでシブいか!

 もう一つ競技車両っぽくするにはやはりゼッケンの装着でしょう。ヘッドライトを外した空洞もカッコ悪かったし、ここはゼッケンを装着しました。サイド部はダートトラックレーサーよろしく右側のみ。楕円形とすることでちょっとクラシカルなフィーリングも出せたかな? 数字がオフセットされているのはキック始動の際に剝がれちゃわないようにです。ゼッケンは坊主頭にした筆者がコーリン・エドワーズに似てると言われることと、今シーズンのMotoGPではヨハン・ザルコに是非とも1勝してほしいという希望を込めて「5」にしました。

リーズナブルでサスティナブルなモータースポーツ

 この企画の当初の目的であった、色々な責任を伴うアラフォーバイク好きにも手軽なモータースポーツを、そして寝ている休耕地を有効活用、というコンセプトは無理なく遂行できております。自宅に隣接したコースだからこそ無理がないのでしょうね。でも自分だけで走るということは少ないな。やっぱり誰かが遊びに来た時に、みんなで走り回るのが楽しいのですよ。

 先日はこのカブを入手したガレージセールにまた顔を出してみたら、ずっと欲しかった油圧ジャッキを800円でゲット。ストーブから灰を掻き出す小さなスコップは200円。良いですね、こういったのんびりとしたバイクライフ。ただ、先日久しぶりに大排気量車でサーキットを走ったらてんでうまく走れず、カブ遊びがライディングスキル向上に効いているかどうかは疑問が残るところです。

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